日本人の給与低い? 平均に惑わされない(澤上篤人)さわかみ投信会長

日経マネー

写真はイメージ=123RF
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最近、日本人の給与が減っている、とよくいわれる。それが個人消費の低迷と日本経済の低成長を招いているのではないかということで、国は企業に対して賃上げを要請している。

今回は、そのあたりを長期投資家の目線で切り込んでみよう。まずは、草刈から問題点を出してもらおうか。

日本人の給与は減っているというが

草刈貴弘(以下、草刈) 新聞や雑誌で日本人の平均給与が伸びていないことを指摘する記事を目にする機会が増えました。特に部長以上の給与がアジア諸国よりも低く、日本の給与体系はグローバルな基準で見ても、時代に合っていないといった意見も散見されます。

確かに日本人の平均給与は1997年をピークに右肩下がりです。97年という時期は、過剰だといわれた雇用・債務・設備の調整が進み、年功序列から成果主義へと給与体系が変わり始めたタイミングでもあります。それが「日本の雇用を変え、価値観をも変え、経済を弱体化させた」と主張する方もいますが、実態は違うでしょう。

平均給与の減少は、賃金が低い女性の就業率が上がり、現役世代の人口が減り、働く高齢者が増え、製造業からサービス業へと産業構造が変化し、給与の低いサービス業の就労人口が増えたことなどが大きな要因です。

また、介護・福祉分野の雇用が拡大している影響も大きいでしょう。これらはサービスの価格を国が決めています。財源が保険料ですから、財政が厳しい現状では仕方がない面もあるでしょう。

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