テスラが昨年から販売を始めた「モデル3」。従来のテスラ車は1000万円を超える価格だったが、モデル3はその半額程度の500万円台から購入できる。ぐっと身近な存在になったこともあり、これまでとは違ったオーナーが増えているという。モデル3とはどんなクルマなのか。そして、どんな人たちが購入しているのか。自動車ライターの大音安弘氏が解説する。
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モデル3は、BEV(バッテリーEVの略称。ガソリンエンジンとのハイブリッドではなく電気のみで走行するEVを示す)をいち早く市場に投入したテスラが、2019年に発売した新型セダンだ。
写真では、コンパクトなセダンにも見えるかもしれないが、サイズは全長約4.7×全幅約1.9×全高約1.5メートル。メルセデス・ベンツEクラスセダンやBMW5シリーズなどと同じミッドサイズセダンとなる。
ラインアップは3種類。エントリーモデルの「スタンダードレンジプラス」は1モーターの後輪駆動仕様で、満充電の状態で409kmを走行できる(航続距離はWLTPモードの数値。以下同)。上位2モデルは2つのモーターを搭載し前後の車輪を駆動する4WDモデル。「ロングレンジ」はその名前が示すように3モデルの中で最も航続距離が長く、満充電で560kmを走ることができる。一方、フラッグシップといえるのが「パフォーマンス」。航続距離は530kmだが、0-100km/h加速は3.4秒、最高速度は261km/hという性能を誇る(ロングレンジは4.6秒、233km/h、スタンダードレンジプラスは5.6秒、225km/h)。
実際に、モデル3を街中でドライブしてみたが、静かな車内空間、そして、モーターによるリニアで俊敏な加速が味わえるのは、ラージセダン「モデルS」やラージSUV「モデルX」と同様だった。それに加えてモデル3の特徴といえるのがシンプルなインテリアデザイン。目立つ装備といえば、中央に備わる大きなタッチパネル式ディスプレーだけ。このディスプレーがインフォメーション・ディスプレーとメーターパネルを兼ねているという大胆さだ。実際に運転していて「自分が未来のクルマに乗っている」という気持ちにさせてくれる点はモデル3が一番かもしれない。ちなみに、シフトレバーなどの運転に必要な操縦系統は、ハンドル回りに集約されている。
