腰痛引き起こす「脊柱管狭窄症」 どんな動作がNG?

日経Gooday

答えと解説

正解は、(2)腰を後ろに反らす動作です。

私たちの体を支える背骨(脊椎)は、合計26個の椎骨(上から順に7個の頸椎、12個の胸椎、5個の腰椎、仙骨、尾骨)でできています。椎骨の背中側の椎弓と呼ばれる部分には空洞があり、その中に脊髄という神経の束が通っています(下図)。脊髄は細かく枝分かれしながら体のすみずみまで届き、脳からの情報を伝えています。この脊髄の通り道が、脊柱管(せきちゅうかん)です。

脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭くなって中を通っている脊髄を圧迫し、神経障害を引き起こす病気です。脊柱管狭窄症のほとんどが腰椎で起こり、腰痛や坐骨神経痛(お尻から足先にかけての痛みやしびれ、感覚異常、筋力の低下)を引き起こします。

背骨(脊椎)は、頸椎、胸椎、腰椎、仙骨、尾骨の計26個の骨(椎骨)からなっている。椎骨の背中側には脊髄という神経の束が通り、隙間から枝分かれして体のすみずみまで伸びている。原図左:(C)nerthuz-123RF 右:(C)alexmit-123RF

なぜ脊柱管が狭くなってしまうのでしょうか。腰痛や坐骨神経痛の名医として知られる日本赤十字社医療センター脊椎整形外科顧問の久野木順一さんは、「生まれつき脊柱管が狭い人もいますが、原因のほとんどは、老化による骨や靱帯、椎間板の変性です」と話します。

年をとると腰椎の椎骨に突起ができたり、椎骨と椎骨の間にある椎間板がふくらんだり、周辺の靱帯が厚くなったりして、脊髄を守っている脊柱管が狭くなってくるのです。

脊柱管狭窄症の患者は50代以上が多く、年齢を重ねるほど増えていきます。腰を後ろに反らすと、脊柱管がさらに狭くなって神経を刺激するので、痛みが強くなるという特徴があります(ちなみに20~40代に多い腰椎椎間板ヘルニアでは、腰を前に曲げると痛みが出ます)。歩くと脚に痛みやしびれを感じるため、休み休みでないと歩けない「間欠跛行」という症状も現れます。

【脊柱管狭窄症の特徴】
●背骨や靭帯の老化によって神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経を圧迫して痛みやしびれが出る
●50代以上に多く、年齢が上がるほど増えていく
●腰を後ろに反らすと痛みが出る
●歩くと脚に痛みやしびれを感じ、歩けなくなる。少し休むとまた歩けるようになる(間欠跛行)

7割は手術をしなくても保存療法で改善する

脊柱管狭窄症に対しては、まずは十分な保存療法が行われます。保存療法とは、薬によって痛みや炎症を抑えたり、運動によって骨を支える筋肉を保護・強化したり、コルセットを付けたりすることで症状を和らげる治療方法で、「脊柱管狭窄症の約7割の人は、手術をしなくても保存療法で症状が改善します」と久野木さんは話します。

ただし、何も対処をせずに症状が進めば、歩行困難や排尿障害(頻尿や失禁)が生じてきて重症となり、手術が避けられなくなることもあるので、放置は禁物です。

「病気の背景には老化もありますが、それだけではなく、長年にわたる不適切な姿勢や動作が深くかかわっています。医師に任せるだけではダメで、日常の動作や姿勢を改善しなければ治りません。つまり、治療には “自分で治す”という気持ちが欠かせないのです。その気持ちがあれば、手術を回避し、再発を防ぐことは可能です」(久野木さん)

脊柱管狭窄症は腰を後ろに反らせると痛みが出るため、運動の際には、痛みの出る方向には腰を動かさないことが基本です。例えば、仰向けに寝て両手でひざを抱え、上半身に押し付け数秒キープする「ひざ抱え体操」や、正座の状態から上半身を前に倒し、両腕を伸ばして数秒キープする「ひれ伏し体操」がお勧め。いずれも10回ほど繰り返しましょう。

日常生活では、反動をつけて重いものを持ち上げる動作、腰を落とさずに床の物を拾う動作、腰を大きくひねる動作、デスクワークや車の運転などで長時間同じ姿勢を続けることなどは、腰に大きな負担をかけるので避けるようにしましょう。

(日経Gooday編集部)

[日経Gooday2020年1月27日付記事を再構成]

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