お酒の飲み方でも風邪を遠ざける ポイントは「頻度」風邪と飲酒【後編】

日経Gooday

風邪予防ならビタミンCよりビタミンD!?

次は食事である。酒のつまみを含め、普段からどんなものを食べるといいのかを大谷さんにアドバイスいただこう。

「風邪予防だけに限らない“総合的な体調管理”を考えるなら、血管にダメージを与える血糖値の急上昇(食後高血糖)を防ぐために『食べる順番』は大切です。食物繊維が豊富な野菜を先に摂取することを心掛けましょう(ベジタブルファースト)。酒席なら海藻を選んでもいいですね。もずく酢、めかぶ酢、海藻サラダなど、居酒屋定番メニューにも海藻類はたくさんあります。そして、炭水化物は最後にしてください[注2]」(大谷さん)

そして、「筋肉などを作る材料となるたんぱく質を意識して摂取してください。たんぱく質は、肉や魚だけでなく、乳製品や卵、大豆製品など、さまざまな食品から摂取するのがお勧めです。そして、ビタミン類やミネラル類、食物繊維もバランス良くとりましょう」と大谷さんは話す。

たんぱく質は、酒の肴からも多くとることができる。例えば、鶏もも肉のグリル、冷ややっこ、刺身の盛り合わせ、納豆の天ぷらなど、思わず喉が「ゴクッ」となるものばかりだ。なお、糖質の摂取量については、「減らしすぎることなく、総エネルギーの50%程度を目安に適量をとってください」と大谷さんはアドバイスする。

そして、風邪予防のために意識してとってほしいビタミンがあると大谷さんは話す。

風邪予防のビタミンといえば、レモンなどでおなじみ「ビタミンC」であろう、と思いきや、意外な答えが返ってきた。

「風邪予防をメインに考えるなら、ビタミンCよりもビタミンDを多く含む食材を選んだほうがいい」と大谷さん。えっ、「風邪にはビタミンC」が常識じゃなかったの!?

「エビデンスの観点から言うと、ビタミンCよりもビタミンDのほうが風邪予防には有効と言えます。実はビタミンCに関する研究は結果が一致しておらず、結論が出ていないのが現状です。それに対しビタミンDは風邪、インフルエンザ、さらに肺炎も含む呼吸器感染症の予防に役立つというエビデンスがあるのです」(大谷さん)

これまでせっせとビタミンCをとっていたが、ビタミンDも意識してとらなくては…。ビタミンDを多く含む酒の肴は、いわしやさんまなどの青魚、あんこうの肝、サケなどと、これまた酒飲みにとっては、涎(よだれ)が出るものばかり。「適量」という言葉が思わず頭から吹っ飛びそうになるが、適量を守りつつ、ビタミンDたっぷりで低糖質、さらには高たんぱく質の肴で一杯やれば、しっかり風邪予防につなげられそうである[注3]

「風邪の引き始め」は軽い運動もお勧め

ここまで紹介した風邪予防をしてもなお、「リスクゼロ」というワケにはいかないのが忙しい現代人である。「あれ、もしかして風邪引いちゃったかも?」となった場合、どう対処したらいいのだろう? 昔から言われる「安静にしている」ことが一番いいのだろうか?

「いえいえ、そんなことはありません。私は『風邪かな?』と思ったらスポーツクラブで5分ほど泳ぎます。『えっ!?』と思いますよね(笑)。実は軽い運動をすることによって、免疫のために働くNK細胞が活性化されるのです。水泳に限らずウォーキングでもOK。逆に激しい運動をしてしまうと免疫力が落ちるので注意しましょう」(大谷さん)

軽い運動をしてもいいのは、あくまで「風邪の引き始め」の時だけである。「風邪の症状が強く出ていたら運動は避け、安静にしてください」と大谷さん。なお、軽い運動といっても、人によってレベルが異なるので、自分に合った運動をセレクトしよう。

「風邪の引き始めに軽い運動」で軽いジャブをくらったところで、さらに大谷さんは驚くアドバイスを付け加えた。

「風邪の引き始めには、サウナも有効と考えられます。これも『えっ!?』と言いたくなりますよね。前回も解説しましたが、風邪の代表的なウイルスの1つライノウイルスは、33℃程度では活性化しますが、37℃以上になると増殖しづらくなることが知られています。こうしたことからも、サウナに入ってカラダを温めることに意味があると考えられます。実際、私が米ミシガン大学に留学していたときの友人は、風邪の引き始めにサウナに入ると話していました」(大谷さん)

では、日本人が大好きなお風呂は? 「もちろんサウナに限らず、お風呂でも効果は期待できると考えます。寝る1~2時間前にお風呂に入り、湯冷めしないうちに布団に入るようにしましょう」(大谷さん)

かつては「風邪を引いたらお風呂はNG」が常識だったと思うが、ここで情報をアップデートしておかねばならない。確かに風呂に入ったほうがカラダも温まるし、リラックスすることもあってか、眠りの質も良くなると感じる。大谷さんは、「十分な睡眠もまた風邪予防には大切」と話す。

◇  ◇  ◇

乾燥が続き、寒い時期の間、風邪やインフルエンザの流行はまだまだ続く。お酒は適量を守りつつ小分けにして飲む、そしてアップデートされた風邪予防対策でしっかりケアを行い、万全の体調でうまい酒を飲みたいものだ。

[注2]食物繊維だけでなく、たんぱく質を糖質より先に食べることも、血糖値上昇を抑える効果を期待できる。

[注3]ビタミンDは、日光に当たると体内で作られるので、日の光を浴びることも心掛けたい。「1日に必要なビタミンDを合成するために要する手の日光浴の時間は、冬の関東であれば1日22分程度になります」(大谷さん)

(酒ジャーナリスト=葉石かおり)

大谷義夫さん
池袋大谷クリニック院長。1963年生まれ。群馬大学医学部卒業。東京医科歯科大学呼吸器内科医局長、同大学呼吸器内科兼任睡眠制御学講座准教授、米ミシガン大学留学などを経て、2009年より現職。日本呼吸器学会専門医・指導医。日本アレルギー学会専門医・指導医。近著に『65歳からの誤嚥性肺炎のケアと予防 9割の人は持病では死なない!』(法研)、『絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理』(日経BP)など。

[日経Gooday2020年2月7日付記事を再構成]

絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理

著者 : 大谷 義夫
出版 : 日経BP
価格 : 1,540円 (税込み)

医療・健康に関する確かな情報をお届けする有料会員制WEBマガジン!

『日経Gooday』(日本経済新聞社、日経BP社)は、医療・健康に関する確かな情報を「WEBマガジン」でお届けするほか、電話1本で体の不安にお答えする「電話相談24」や信頼できる名医・専門家をご紹介するサービス「ベストドクターズ(R)」も提供。無料でお読みいただける記事やコラムもたくさんご用意しております!ぜひ、お気軽にサイトにお越しください。


ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント
注目記事
ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント