「ただ、自分自身の知識や経験、スキルが今の会社から『必要ない』と思われたら考えるかもしれません。40歳代での転職は、20歳代、30歳代の過去2回の転職とは明らかに考え方が違いました。以前は『自分自身の成長』にばかりフォーカスしていましたが、今回は完全に『自分自身が会社に役立つか。貢献できるか』という意識でした」

「それだけに、会社に貢献できなくなるのであれば、自分が役立つ環境へ移ることを考えると思います。実は最終的には自分で商売をしたいという夢があり、家族には『大好きなスペインのバルセロナで唐揚げ屋さんをする』と話しています(笑)」

「仕事」としてではなく「自分ごと」として

――これまでの体験から、ベンチャーならではの特徴は何だと思いますか。

「よく言われることですが、やはり意思決定のスピードが大企業とは全く違います。組織が非常にフラットで、とにかく何でもすぐに決まります(笑)。たとえば昨年秋、東京駅の『プレスバターサンド』の店舗で、京都限定の抹茶フレーバーの商品を期間限定で販売したのですが、わずか2週間で決まりました。すぐに抹茶味の商品が店頭に並び、通常の1.5倍の売り上げを達成しました」

「ベイクという会社の特徴としては、自社ブランド、商品が大好きで、熱い思いを持っている人がとても多いですね。単に『仕事』としてではなく、商品を育てることを皆が『自分ごと』として捉えているという印象です。それゆえ、部署横断の会議では各部署の利害がぶつかり、ヒートアップすることもしばしば。一般論ですが、大企業で白熱した会議というのはあまり多くないように思いますので『ベンチャーらしいな』と感じつつ、真剣かつ熱い議論に参加しています」

「店舗ビジネスはマーケッターとして、腕の見せどころが大いにある」と川原林さんは話す

――ベンチャーで活躍できるのはどんな人材だと考えますか。

「第1に『カオス(混沌)』を楽しめる人。例えば、通常お菓子の新ブランドの立ち上げには1年以上かけることが多いのですが、ベイクでは『半年後で』という依頼を担当者が平気で受けてきます。そこからは本当に混沌とした状況が続きます。部門間の摩擦も少なくないですが、それを含めて楽しめる人でないときついでしょう」

「第2に、主体性を持って仕事に取り組める人。大企業のように、『自分が止まっていても誰かがやってくれる』ということはありません。一人でも責任を全うしない人がいると全てが止まってしまう。ビジネスパーソンとして当たり前のことですが、特にベンチャーでは、自分の仕事の責任を全うする気概が絶対に必要だと思います」

人事部からひとこと

人事総務部 採用・教育チーム 松野千鶴さん

採用の理由として最も大きかったのは、コミュニケ―ション能力の高さです。当社は組織づくりで試行錯誤が続くなか、社内の幾つもの部署、原料メーカーやデベロッパーといった取引先など、多数の利害関係者の意見を聞き、まとめ、皆が同じ方向に向くよう引っ張っていける「コミュニケーションの核」となる人材を必要としていました。

当社は創業7周年を迎えます。スタートアップ期を終えて次のステージに進んだところにあり、組織として転換期を迎えています。新規株式公開(IPO)を目指していることもあって、2019年からかなりの人数を中途採用してきました。現在、募集中のポジションは減りましたが、労務や財務などのプロフェッショナル人材の採用は引き続き強化しています。

採用で重視しているのは、当社の行動指針として設けている「7バリュー(主体性を持つ、論理的に考える、情熱を持つ、など)」を満たしているかどうかです。また、スイーツビジネスの特徴として、既存ブランドの拡大とともに、新規ブランドを定期的に投入する必要があるため、1を10にできる人に加え、ゼロから1を生み出せるような人材にも期待しています。

BAKE(ベイク)
2013年設立。従業員数約300人(19年11月時点)年間販売個数が約3500万個の「ベイクチーズタルト」や約2500万個の「プレスバターサンド」をはじめ、8つのブランドのスイーツ専門店を展開。総店舗数は約110店(中国や米国など海外含む)。

(日経キャリアNET編集チーム 宮下奈緒子)

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