東宝シンデレラの福本莉子 型にはめる演技が楽しい

日経エンタテインメント!

浜辺美波、上白石萌音・萌歌姉妹と近年活躍が目立つ「東宝シンデレラ」出身女優。特色は5~6年に一度の開催でローティーンの才能を発掘し、映画を主戦場にじっくりと育てるというシステムが確立されている点。世に出るまでにしっかりと基礎を叩き込まれるから、息の長い女優として活躍できるのだ。

2000年11月25日生まれ、大阪府出身。役作りや監督からの注意、気になったことを書く演技ノートを常に持ち歩く勉強家。食べることも料理も好き。『パパがも一度恋をした』(土曜23時40分/東海テレビ・フジ系)に出演中(写真:中川容邦)

2016年、15歳のときに第8回東宝シンデレラのグランプリを受賞した福本莉子の場合は、本格始動した18年は映画、舞台、声優、歌の仕事を同時期にこなし、幅広く可能性を探る期間とし、才能が一気に開花した。

「映画、舞台、声優、歌と高3の年は何もかもが初めての挑戦で、すごく楽しかったし、充実していました。なかでも印象的だったのがミュージカル『魔女の宅急便』です。そもそも舞台経験がなかったので、発声はもちろん、後ろを向いて芝居をしない、などの初歩の初歩から教わって…歌も好きですけど、友達とカラオケで楽しむ程度だったので、毎日必死に練習しました。

舞台は生の掛け合いだし、お客さんの反応も含めて、その回ごとに違う色になる。同じ物語なのに毎回いろんな発見があって、面白いんですよ。同じシーンを何度も稽古するので芝居が自分の体に染み込んで、舞台の上で自然に動けるようになるのも楽しかったです。

テレビアニメ『ひそねとまそたん』では声優と主題歌を担当させていただきました。声だけで役の心情を表現するためには、もちろん気持ちを作ることも大切ですけど、まずは技術が必要で、共演の方々に基本的な技術を教えていただきました。周りは梶裕貴さんなど有名な声優さんばかりで、今思い返しても、二度とないような貴重な体験でしたね」

三木孝浩監督作品で主演

高校を卒業し、女優業に専念できるようになった19年は、映画やドラマの撮影を精力的にこなした。今年は『思い、思われ、ふり、ふられ』『しあわせのマスカット』と主演映画の公開や、連続ドラマ『パパがも一度恋をした』の出演も控える。表情豊かで舞台度胸もあり勉強熱心。今の時代に求められる“陽”を持ち味に、いよいよその才能がベールを脱ぐ。

「『ふりふら』は一番悩んだ作品です。演じた由奈は自分とはまるで違うタイプで、誰と話していても目が合わないような極端な人見知りなんですよ。なので目線を意識してお芝居しました。浜辺美波さん演じる朱里はサバサバ系なので声は低め、由奈は女の子らしく高い声でという三木孝浩監督からの注文があったので、地声よりも高い声で演じたんですけど、それも難しかったですね。意識してトーンを上げるのではなく、自然に声が高くなる心理状態を作ろうとか試行錯誤しながら演じていました。

浜辺さんとは3度目の共演。同い年ですけど、先輩としてすごく尊敬しています。初共演の『センセイ君主』で浜辺さんの演技があまりにも面白くて、びっくりしたんですよ。私、大阪出身で新喜劇を見て育ったような人間なので、人を笑わせる芝居が一番難しいと思っているんです。『賭ケグルイ』や『屍人荘の殺人』の演技もキレキレだし、本当にすごいなって。

実は今撮影中の作品で初めてキャラっぽい役を演じているんです。今までは心情重視のお芝居が多かったので、いかにこのキャラクターを表現するかという型にはめる演技がすごく新鮮で楽しいんです。毎日声を張り上げて、暴れ回っています(笑)。

今年はいろいろな作品でいろいろな私をお見せできると思うので、今からワクワクしています。飛躍の年になるように頑張ります!」

『思い、思われ、ふり、ふられ』
 咲坂伊緒の大ヒットコミックを映画化。コミュ力が高い朱里(浜辺美波)、ネガティブな由奈(福本莉子)、王子様な理央(北村匠海)、好青年の和臣(赤楚衛二)が織りなす青春を描く(2020年8月14日公開/東宝配給) (C)2020 映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 (C)咲坂伊緒/集英社

(ライター 蒔田陽平)

[日経エンタテインメント! 2020年2月号の記事を再構成]

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