首都圏から遠隔ワークでOK 地方が招く転職人材とはエグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子

実際に採用されている人材、働き方は?

 「首都圏でビジネス経験を積んだ人が地方企業に転職」と聞けば、「実家がある故郷にUターン転職」を想像する方も多いと思います。ところが、私が主に携わっている「経営幹部採用」に関しては、その土地に縁もゆかりもない方が「Iターン・Jターン」するケースがほとんどです。

 事業拡大を図る場合、「CxO」のほか、マーケティング、新規事業開発、管理部門などの人材が採用されています。首都圏でマネジャークラスだった方が「CxO」へポジションアップするほか、メンバークラスも歓迎されています。

 一例を挙げると、こんな転職事例が生まれています。

●大手ネット企業のウェブマーケティング経験者が地方の大手食品メーカーへ

●大手電機メーカーグループから、「海外事業責任者」として地方の半導体部品メーカーへ

●外資系企業の最高財務責任者(CFO)が、地方でクリニックを展開する福祉企業の管理部長に転身

 事業承継を目的とする場合、オーナー自身、もしくはファンドが求人を出し、社長の後継者となる人材が採用されています。最初から「社長」として迎えられるケースと、まずは「CxO」「事業部長」などとして入るケースがあります。

 後継者が社長の子息で、まだ若く経験が浅い場合は、新社長を支える「管理部長」「経営企画」「社長室室長」といったポジションでの採用となります。

 「Uターン」ではなく「Iターン・Jターン」が多いとお伝えしましたが、通常の転職と異なり、「移住」ではなく「単身赴任」という形をとる方が多いのが、昨今の特徴です。

 子供がまだ幼い30~40代であれば、家族全員で移住するケースも多数あります。「自然豊かな土地で子どもを育てたい」という方、また、大手企業の地方支社に転勤した方がその土地を気に入り、東京本社に戻りたくなくてその地で転職する……という事例も見受けられます。

 一方、子供が独立した50代の場合、家族を首都圏に残して単身赴任し、月1~2回、週末に帰るスタイルが多く見られます。50代の場合、役職定年を迎えて、もしくは数年後の役職定年を見越してセカンドキャリアを模索します。首都圏で転職先を探す中で、たまたま自分の経験が生かせて、やりがいを感じられるポジションが地方にあった……という流れで、地方への転職を決断する方が少なくありません。

 この年代になると、奥さまも自身の生活スタイルを確立しているので、「離れて暮らし、月1~2回会う」という「ほどよい距離感」を歓迎するようです。奥さまが単身赴任先を訪れ、その土地を気に入った結果、ご夫婦で移住するケースも見られます。

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首都圏と地方を行き来する複業・兼業が増加へ
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