確定申告で医療費控除 対象は通院費〇、健診は原則×確定申告の手びき(4)

確定申告をする会社員にとって、なじみの深い手続きの一つが医療費控除だろう。ただ、控除対象となる「医療費」の定義などわかりにくい点も少なくない。

年間の医療費、10万円超で控除

医療費控除は1年間の医療費の合計が10万円を超えると、超過分を所得から控除できる制度だ。控除額に申告者の所得税率をかけた金額が後日、還付される。例えば、所得税率が20%の人で控除額が20万円の場合、還付額は4万円となる。

10万円超というのは、所得が200万円以上の人の場合だ。200万円未満の人は所得額の5%を超える医療費を控除できる。なお、民間の医療保険の保険金、公的医療保険の高額療養費、出産育児一時金などを受け取ると、医療費から差し引く必要がある。控除額の上限は200万円だ。

例えば同居する配偶者や親族など申告できるのは本人だけでなく、家族の支出も合計して控除を受けられる場合がある。別居でも、仕送りした生活費で暮らす子などは「生計を一にする」と認められ合算できる。

「医療費」の対象となるのは、医師による診療や治療を受けたり、医薬品を購入したりした際の支払いが基本だ。市販薬でも風邪薬などの治療や療養に必要な医薬品は対象となる。

美容目的などは対象外

ただ、対象かどうか判断しにくい支出も多い。

例えば、医師による手術でも美容整形は対象外。マッサージの場合、疲れや体調を整える以外の目的で、あん摩マッサージ指圧師やはり師などが施術すれば対象だ。歯列矯正では子どもの不正こう合の治療は対象だが、審美目的は対象外。「治療や診療が目的かどうか、国家資格など一定の資格を持つ人への支払いかどうかで考えるとわかりやすい」(田中卓也税理士)

通院にかかる電車やバスの交通費も対象になる。タクシー代は電車やバスが利用できない場合に限り認められる。一方、自家用車での通院によるガソリン代や駐車場料金は対象外だ。

人間ドックといった健康診断などの費用は原則、控除の対象外だが、診断の結果、重大な疾病が発見され、引き続き治療を受けたときなどは対象となる。

「セルメデ」は1万2000円超

一方の医療費控除の特例「セルフメディケーション税制」では、医療用から転じた「スイッチOTC医薬品」の合計購入額が年1万2000円を超えると控除の対象だ。風邪薬のパブロンSα、解熱鎮痛薬のイブA錠など1700品目超あり、対象品はパッケージに共通識別マークが付いているほか、店舗でもらうレシートにも印があるなど判別できるようにしている。

同制度では、予防接種や定期健診の受診など「健康のための一定の取り組み」をし、領収書や結果通知表の提出が必要となる。医療費控除とは併用できない。

なお医療費控除では明細書などを作成・提出するので、領収書の提出は不要だが、5年間は保管しなければならない。

(藤井良憲)

[日本経済新聞朝刊2020年2月8日付]

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