機内でのウイルス感染が心配 安全な席はどこ?

日経ナショナル ジオグラフィック社

2020/2/14

ランドン氏は、過去のコロナウイルスが全て飛沫感染によって拡大したことから、新型のウイルスが異なる感染経路を持つというのは考えにくいと語る。また、多くの点で新型コロナウイルスはSARSと同様の振る舞いを見せている。どちらも人獣共通感染症であり、動物から始まって人へ感染した。どちらも、感染源はおそらくコウモリだろうとみられている。

また、人から人へも感染し、長い潜伏期間がある。新型コロナウイルスの場合、これまでで最も長い潜伏期間は14日だった。一方、インフルエンザの潜伏期間は約2日しかない。潜伏期間が長いと、症状が出る前に多くの人に感染させてしまう恐れがある。

それらすべてを念頭に置き、飛行機に乗る際にはCDCの感染症予防ガイドラインに従うようランドン氏はアドバイスする。

感染する可能性のあるものに触った後は、石鹸で手を洗い、手指消毒用アルコールを使う。コロナウイルスは、他のウイルスよりも表面での生存時間が長く、3~12時間生存するという報告がある。

また、手で顔を触れず、咳をしている乗客がいたらできるだけ近寄らないこと。

コロナウイルスとインフルエンザ、どっちが深刻?

病気によるリスクを推定する方法はいくつかあるが、ここでは公衆衛生の研究者がしばしば使う2つの数字に着目する。「基本再生産数」と「致死率」だ。

基本再生産数(R0またはr naughtと表記)とは、ひとりの感染者が何人に感染させるかという数だ。

1月26日までのデータを使った、ボストン子ども病院およびハーバード大学医学大学院所属のマイア・マジュンダー氏の暫定計算結果によると、新型コロナウイルスの基本再生産数は2.0~3.1人だという。インフルエンザの1.3~1.8人と比較すると高く、SARSの2~4人に近い。つまり、コロナウイルスの人から人への感染率は、インフルエンザよりもわずかに高い。

致死率は、その感染症による死亡者数を患者数で割ったものだ。季節性インフルエンザは世界的に大流行するが、致死率は0.1%と比較的低い。ところが、SARSの致死率は10%で、インフルエンザの100倍も高い。そして、新型コロナウイルスの致死率は、今のところ3%近くと計算されている。これは、1918年のスペインかぜとほぼ同等だ。

もしSARSや武漢のコロナウイルスが数百万人に拡大すれば、大変な被害をもたらすだろう。インフルエンザと違い、誰も過去に感染したことがないため、誰にでも感染する恐れがあり、ワクチンなどの治療法もない。

そのため、医療関係者も一般大衆も、手を洗う、感染者との接触を避ける、感染者を隔離するといった従来通りの感染症予防措置をしっかり行うことだ。そうすれば、SARSのときのように、さらなる感染の拡大を防げるだろうと、モント氏は考える。

「期待するとしたらそこです。基本的な公衆衛生対策によって、これを封じ込めることができればと願っています。それしか手がないのですから。インフルエンザの場合、ワクチンがありますし、抗ウイルス剤も数種類あります。でも、コロナウイルスにはそういったものがありません」

(文 Amy McKeever、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年1月30日付]

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