さらば丼勘定 定年後のお金はシニア流三分法で管理経済コラムニスト 大江英樹

写真はイメージ=123RF
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家計の管理や資産形成を考えるとき、「資産三分法」や「財産三分法」という言葉を聞くことがあります。いずれもリスクを分散する目的から、自分のお金を一つの資産に集中しないで異なる複数の資産で持つべきであるとの考え方です。一般的には「現金(預金)」「不動産」「株式」という分け方が多いようですが、運用の世界では「株式」「債券」「不動産」としたり、あるいは不動産の代わりに実物資産として「金」を入れたりすることもあります。

一方、お金の性質から3つに分ける考え方もあります。それは「いつでも必要に応じて使える=現預金」「使う時期、使途、金額がほぼ決まっている=定期預金や債券など」「不要不急で長期の資産運用に回せる=株式や不動産などの金融商品」といった具合に使い道によって分ける考え方もあります。一般的に物事を3つに分けて整理すると頭に入りやすいので、こうした三分法は一定の支持を得ているようです。

定年後のお金を性質に応じて区分

今回お話しするのは、これらのいずれとも少し違うくくりで「定年シニアが実践した方がよい三分法」です。私自身が2012年に会社を定年退職して8年になる生活体験から考えたやり方で、定年退職後のお金を性質に応じて(1)年金収入(2)定年後の勤労収入(3)定年までに蓄えた資産や退職金――という3つに区分し、それぞれ異なった目的に充てるというものです。

まず1番目の年金収入の使途について説明しましょう。公的年金は定年退職後の日常の生活費に充て、支出すべてを公的年金で賄えるようにコントロールします。厚生労働省によると、夫婦2人の場合のモデル年金額は2019年度で月22万1504円となっています。もちろん各家庭によってケース・バイ・ケースですが、この金額は自分自身の生活実感から言えば夫婦2人の日常生活をまかなうには適当な金額ではないでしょうか。

ただし月に約22万円では趣味やライフワークといった自己実現に必要な費用や臨時出費をまかなうには少し心もとないと思います。例えば旅行が好きな人で海外旅行に時々行きたいのであれば、年金の範囲内だけではやや厳しいでしょうし、家の修繕や車の買い替えなどをするなら別途お金が必要になりそうです。通常はそれまでに蓄えた資産や退職金を取り崩して使うことになりがちですが、ここでシニアの三分法の2番目である勤労収入を充てるようにするのです。

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