能力プラス人脈づくりがカギ 女性キャリアUPの秘訣

日経doors

パフォーマンスが測りづらい領域ではネットワークが成功を促す

まずは、ネットワークの重要性についてお話ししましょう。ネットワーク科学の研究者である理論物理学者のアルバート・ラズロ・バラバシは、成功の法則を調べました。彼は成功の第1法則をこのようにまとめています。

「パフォーマンスが成功を促す。パフォーマンスが測定できないときには、ネットワークが成功を促す」

彼の一連の研究によれば、客観的な数値で個人のパフォーマンスが測れるものは、その人のパフォーマンスがそのまま成功へとつながります。学校の学力テストや、スポーツ選手の勝敗というパフォーマンスと選手の人気度という成功の指標などがその範囲に入るでしょう。しかし、アートなどのパフォーマンスが測りづらい領域においては、パフォーマンスよりもネットワークが成功の可否を左右するというのです。

ここでの「成功」とは社会的なものであり、個人の内的な成功ではありません。そう考えたとき、社会のひとつである人間関係やネットワークが私たちの成功を決めることも、渋々ながら納得せざるを得ないのではないでしょうか。

私たちは直観的に、ネットワークが私たちの成功につながることを知っています。例えばMBA スクールで手に入るものは、ビジネスに役立つスキルではなく、そこで培われる「人脈」や卒業生のネットワークであるとしばしばいわれています。

別の研究を見てみましょう。フローの概念を提唱したことでも有名な心理学者、ミハイ・チクセントミハイの1970年代の研究によれば、成功したアーティストは「ロフト」と呼ばれるスペースを持っていた、とされています。ここでいうロフトとはアーティストたちが制作をする場所であり、また制作物を保管しておく場所でした。それと同時に、広いスペースでパーティーなどを開くこともあったようです。

ロフトのメリットは製作環境だけではなく、実はそのパーティーにありました。パーティーを開くたびに新しい人が来て、人脈が作られていくからです。さらにそこに並べられている完成品や制作途中の作品は、あたかも展示されているかのようにその場を彩ります。そうした繰り返しが、アーティストの作品制作能力を培いながらネットワークを育み、そしてそのアーティストの成功を支えてきたと言えるのです。

誰もがネットワーキングパーティーへ出掛けるべきなのか?

私たちの成功は、ネットワークに大きく依存するというのは、内向的な人には少々つらい事実でもあります。では新しい人脈を作るために「誰もがネットワーキングパーティーに行くべきなのか」といえば、そんなことはありません。

コロンビアビジネススクールのポール・イングラム教授らの調査によれば、ネットワーキングイベントに参加した企業幹部の95%が新しいつながりを求めて参加していたにもかかわらず、平均すると約半分の時間を、既に知っている人たちとの会話に使っていたそうです。しかもその調査では、参加者の中に占める知り合いの数は3分の1程度だったにもかかわらず、人は知り合いに話しかけてしまうようなのです。

目的を持って参加した人、しかも企業幹部という比較的外向性の高そうな人たちですらこのような結果なのですから、人付き合いが苦手な人がネットワーキングイベントに参加したところで、新しいつながりを作ることはなかなか難しいでしょう。そもそもネットワーキングパーティーなどに積極的に行けるような人は、キャリアに迷うことも少ないように思います。

そうしたイベントで自ら動けない内向的な方々に私がおすすめしたいのは、まず関係性を維持するところから始めることです。新しい人脈やネットワークを作ることではなく、既存の関係性をきちんとメンテナンスしていくのです。

次のページ
弱いつながりよりも強いつながりのほうが有効
今こそ始める学び特集