他人が得するのは許せない あなたの出世を阻む悪感情20代から考える出世戦略(77)

プロジェクトが半ばを過ぎてからのそもそも論

「ちょっとまってください。そもそも今回のプロジェクトは、何をゴールにすえたものなんでしょうか」

プロジェクトが半ばを過ぎ、そろそろ最終結論を出そうとするタイミングでこんなことをおっしゃる方々がいます。

「会社としての新しい戦略を実行するために、今まで以上に一人一人が活躍できる仕組みを構築することがゴールですよね。最初にそのことについてはしっかり合意ができたと思うのですが」

「だとすると、なぜ『チャレンジする人』『成長し続けるための自己研鑽(けんさん)をする人』を高く処遇する仕組みにしようとするんでしょうか。あらためて考えると納得がいかないのですが」

今更の質問に、プロジェクトのみんなが首をかしげます。しかし穏やかでない口調に、みんな返答に困ってしまうのです。そこで外部から招聘(しょうへい)されたコンサルタントが仕切り役として、そもそもプロジェクトの前提として何度も繰り返し確認し、確実に合意したことを口にします。

「既存事業が縮小する中で、新しい事業をつくりだしていく組織になるため、ですよね」

そう答えたとたん、机がたたかれます。

「それはつまり! 既存事業に携わっている従業員を切り捨てるということであり、私や私の部署の人間たちをないがしろにするということじゃないですか! そんな改革には納得がいきません!」

いらだつように、プロジェクトリーダーである人事担当役員が反論します。

「……会社の戦略は取締役会で決定し、社長方針としてすでに公表もされているのですが、それにも反対するということですか?」

「戦略に反対なんてしていません。戦略を理由にリストラをしようとする人事改革に賛同できないと言ってるんです!」

「リストラをするなんて今まで議題にすらのぼっていないでしょう」

「この先にはリストラがあるでしょう」

「誰もそんなことは言ってません」

「じゃあ、新規事業に携わる連中だけが得をするのはどういうことですか」

「チャレンジして自己研鑽する人なら、どの事業の人でもちゃんと認められる仕組みにする計画として検討してきました」

「チャレンジだけが仕事じゃないでしょう。今までの伝統を守ることだって大事なことなんだ! 年を取ってもう学ぶことが難しい人だっているのに、一律で自己研鑽っていわれてもついていけない場合だってあるんですよ!」

そんなやりとりでプロジェクトが疲弊します。

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