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古い愛車が先進安全装備に 後付けAIカメラの利点

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日経クロストレンド

AIドライバーアシスタント「Pyrenee Drive(ピレニードライブ)」を開発するピレニー(東京・千代田)は2020年1月23日、同製品のプロトタイプを公開した。開発中の装置を搭載したテストカーに乗り込み、実際に公道を走りながら、ピレニードライブの認識精度を体験した。

ピレニーは、16年創業のスタートアップだ。開発中の「Pyrenee Drive」はカメラで前方を監視し、危険を察知すると、音と画面で警告する運転支援システム。弁当箱サイズの本体をクルマのダッシュボードに置き、電源コードをシガーソケットにつなぐだけで利用できる。設置場所とシガーソケットさえあれば、どんなクルマでも「後付け」で使えるのが最大の特徴だ。

21年には、衝突被害軽減ブレーキの新車への装着が義務化される見通しであるなど、近年クルマの安全装備は急速に進化している。だが、そうした先進的な安全装備を持たないクルマも、まだまだ多いのが現状だ。ピレニードライブは、そうした既存の自家用車や中古車をターゲットにしている。

ピレニーの三野龍太代表取締役CEOは、もともと家庭用品を中心に開発・販売する会社を経営していた。6年ほど前に「人の安全を守る製品を作りたい」と考え、構想を練り始めた。そして最新のテクノロジーを研究する中でたどり着いたのが、「交通事故を防ぐ」というテーマだ。

交通事故の9割以上は認識エラー

三野氏によると、交通事故の90%以上は、見落としや判断の誤りといったドライバーの認識エラーによって起こっている。そこで、従来のドライバーの目に加え、AI(人工知能)という別の「視点」を導入し、人と機械でダブルチェックすることで認識エラーを減らそうというのが、ピレニードライブのコンセプトだ。仮にドライバーの見落とし率が1%、AIの見落とし率が1%だとすれば、ダブルチェックすることで理論上は見落とし率を0.01%まで下げられる。

後付けの装置なので、最近の自動車に搭載されている衝突被害軽減ブレーキのように、自動的にブレーキをかけるような機能はない。あくまで音と画面での警告になる。だが、「ブレーキと連動しないことにはメリットもある」と、三野氏はいう。ブレーキと一体となった装置は、厳密な動作が要求される。何も無いところでブレーキが作動するとかえって危険だからだ。一方、ピレニードライブのように画面上の警告だけなら、最終的な判断は人間がするため、そこまでシビアな動作は要求されない。このため、最新技術を取り入れながら柔軟にアップデートしやすいのだ。

AIが状況を認識して危険を予測

ピレニードライブは、2つのカメラを並べたステレオカメラによって前方の状況を捉え、危険を予測する。基本的な原理はスバルの「アイサイト」と同じだ。一方のドライバー側にはタッチパネル式液晶ディスプレーを備え、ここにカメラが認識した前方の車両や危険時の警告が表示される。さらにドライバー側にもカメラを備えており、これを使ってドライバーを監視。居眠り運転などの危険を感知すると、大きな音で警告を出す。

本体内には、現在位置を把握できるGPSや衝撃を感知する加速度センサーをはじめ、各種センサーを内蔵。さらに携帯電話の4Gネットワークを用いるLTE通信モジュール、Wi-Fi、Bluetooth 5.0も搭載する。常にインターネットにつながっていることで、ユーザー間で交通情報を共有したり、緊急時に自動で助けを求めたりといったコネクテッドカーの機能を提供する。

AIドライバーアシスタントという風に「AI」を名乗る理由は、歩行者や車両の認識、危険の予測という2つの機能でディープラーニング(深層学習)を使っているためだ。三野氏は、ピレニードライブの認識技術について、クルマに後付けする装置であるがゆえの難しさがあったと振り返る。どういうことか。

一般的なステレオカメラシステムは、クルマの製造時にカメラを組み込むため、どの車種のどの位置に取り付けられているかという前提条件がはっきりしている。一方、ピレニードライブはほぼすべてのクルマに取り付けることができ、ダッシュボード上の設置位置も人によって異なる。このため、既存のステレオカメラの画像認識技術を流用することはできず、部分的に新たな技術を自社開発する必要があったという。ピレニードライブは、AI処理に強いNVIDIA製のGPU(画像処理半導体)を搭載し、1秒間に10回という高速で物体を認識している。

対向車も即座に認識

今回はピレニードライブの中核機能の1つとなる認識機能の体験デモとして、実際に製品を搭載した2台のテストカーに同乗し、その精度を確認した。走行したのは、ピレニー本社がある秋葉原駅周辺の道路。今回は分かりやすいよう助手席の前に本体が設置されていた。

出発すると、目の前のモニターに前方の様子が映し出された。映像中の乗用車は赤、トラックはオレンジ、バスは水色、歩行者は緑の枠で囲まれている。これは、AIがそれぞれを認識している証拠だ。その認識速度は速く、移動中やすれ違う車両もほぼ遅れなく追随していた。

デモを体験したのは周囲が薄暗くなった夕方で、街は帰宅する人であふれていた。クルマのヘッドライトに照らされて人物がシルエットになり、肉眼でも見えにくい状況だ。だがピレニードライブは、横断歩道上を歩く人物はもちろん、歩道にいる人まで捕捉し続けた。道路上の車両は直方体で囲まれており、立体として認識していることが分かる。三野氏によると、車両の向きに加え、進行方向も判定しているという。

今回は認識機能のみのデモだったため、実際に警告が出るような場面を体験することはできなかった。だが、テスト動画では、動作する様子を見ることができた。その中には歩道から自転車が飛び出した瞬間に警告を出すなど、確かに人間が見落としそうな場面で、早いタイミングで警告を出しているシーンがあった。

ピレニードライブは2種類の方法で危険予測をする。1つは車両や歩行者などの動きから進路を予測し、衝突の可能性を判定する方法。もう1つはユーザーから集めたデータをディープラーニングによって学習し、危険なシーンを予測する方法だ。ユーザーが増えれば増えるほど多様なシーンが集まるため、予測の精度が高まり、幅広く対応できるようになっていく。ピレニードライブは本体にLTE通信機能を内蔵するため、購入後もアップデートされ、賢くなっていくのが特徴だ。

ピレニードライブの販売価格は10万円台を想定しており、それに加えてLTE通信料を含む月額使用料が必要となる見込みだ。CPUに加えAI処理用のGPUを搭載し、背面のステレオカメラと前面のインカメラ、タッチパネル付きディスプレー、各種センサーやLTE通信モジュールなど、搭載しているハードウエアは高性能なスマホ並みだから、この価格は納得感があるだろう。

日本や欧州では、21年にも衝突被害軽減ブレーキの新車への装着が義務化される見通しだが、その恩恵を受けるのは新車を買った人だけだ。既存のクルマに最新技術を使った運転支援デバイスを導入できるピレニードライブは、愛車に長く乗り続けたい人、クラシックカーに乗りたい人などにとって、心強い製品となりそうだ。

(文・写真:出雲井亨)

[日経クロストレンド 2020年1月31日の記事を再構成]

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