住宅ローン、「頭金は多い方がお得」の常識が変わる

NIKKEIプラス1

 住宅ローンコンサルMFS(東京・千代田)の中山田明社長は「歴史的な低金利が続き、頭金を多く入れる方がかえって損な場合もある」と話す。着眼するのは通常、各年末のローン残高の1%などが税額控除される住宅ローン減税だ。1%未満の低金利で借りられる人なら利息より控除額の方が大きい。この場合、頭金が多く、借入額が少ないと控除額も減ってしまう場合が多い。

利息、減税、手数料を比較

 もう一つの注意点が事務手数料だ。不動産会社コンドミニアム・アセットマネジメント(同・中央)代表でFPの渕ノ上弘和氏は「頭金を多く入れて低金利にするローンは手数料が高めだ」と指摘する。事務手数料は金利とは別に金融機関に払う費用で、一般的なフラット35は借入額の1.1%程度に抑える金融機関もあるが、住信SBIネット銀や日本住宅ローンのフラット35保証型は同2.2%だ。

 利息、ローン減税、手数料のそれぞれを考え、3000万円の住宅を購入する時、頭金が20%と10%の2つのローンで、どう差が出るのだろうか。頭金20%なら借入額が少なく、金利も低いので払う利息が節約できる半面、ローン減税と手数料では頭金10%が有利になる。トータルでは頭金20%のローンの方が約90万円、総支払額が少なかった。

メリット、デメリットを知る

 決して小さくない節約額だが、「当初300万円多く払い、35年間かけて得るメリットとしては物足りない」(渕ノ上氏)という見方もある。頭金10%を選んで、300万円は手元に温存し、教育費などの出費がそれほど増えなかった場合は住宅ローンを繰り上げ返済する選択肢もある。

 FPの久谷氏は「頭金を全く入れない『フルローン』は薦めないが、適切な頭金の水準が何割とも一概には言えない」と話す。年齢や家族構成などによって手元に残しておきたいお金の水準も大きく変わるからだ。半年から1年程度の生活費をまかなえるだけの貯蓄は最低限の必要額だが、これとは別に子供の教育資金や自らの老後資金も必要になる世帯は多い。

 住宅購入時、頭金を多く入れることにはメリットとデメリットがそれぞれ存在する。両方を知り、慎重な資金計画を立てるように心がけたい。

(堀大介)

[NIKKEIプラス1 2020年2月8日付]

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