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uni'que代表の若宮和男氏

comemo
次代を担う「旗手」は何を感じ、何を考えているのか――。日本経済新聞社が運営する投稿プラットフォーム「COMEMO」から、ビジネスパーソンにも役立つイチオシの「キーオピニオンリーダー」が執筆した記事を紹介します。今回から4回はIT関連ベンチャー、uni'que(ユニック、東京・渋谷)代表の若宮和男さん。アートとスタートアップに詳しい若宮さんに、ビジネスに「イノベーション」をもたらす思考法として注目を集める「アート思考」について語ってもらいます。

(2)データだけでは計れない 挫折が教えた「アート思考」>>

私は起業家として、女性向けスマートフォンアプリなどを手掛けるスタートアップ「ユニック」を経営しています。当社は「全員複業」をルールにしていて、社員全員がそれぞれ別の仕事を持っています。私自身、フリーランスと企業などを仲介するサイトを運営するランサーズで、「タレント社員」との肩書で「複業社員」をしています。自ら事業を立ち上げつつ、女性起業家を創出するためのインキュベーション事業や新しい働き方の推進、企業の新規事業立ち上げ支援、そしてアートとビジネスを結びつけるための活動をしています。

私は建築士、大学院でのアート研究を経て、NTTドコモなど大企業で新規事業を手がけ、現在は起業家という立場でさまざまな領域を行き来しています。特に、アートとビジネスという2つの領域を股にかけてきたこと、そして新規事業立ち上げに長年携わってきたことが私の経歴の大きな特徴です。

私自身もそうでしたが、新規事業の立ち上げや新製品・新サービスの開発、企画づくりに悩んでいる人は少なくないでしょう。そんな皆さんにお勧めしたいのが、新しい思考法としてビジネスの分野でも注目されている「アートシンキング(アート思考)」です。

一見正反対の言葉がひとつに

以下、私自身が試行錯誤の末、たどり着いたアート思考についてご紹介します。

アート思考は「アート」と「思考」という正反対にも思える言葉が1つになったもので、そもそもこの言葉に違和感を抱く人もいるでしょう。

アート思考は「ロジカル思考」「デザイン思考」との対比から生まれた言葉です。

ロジカル思考は「論理的に考える」思考法で、戦略コンサルタントやMBA(経営学修士)を中心に広がりました。その後、「論理」だけでは解決できない課題のために「デザイン」のアプローチをビジネスに適用するデザイン思考が生まれ、さらにその先、既成概念を超えた価値革新、イノベーションをもたらすためのアプローチとしてアート思考が求められています。

私自身、大企業で新規事業を手掛ける中で、まずロジカル思考を学び、その後デザイン思考も取り入れて、実践してきました。そしてその限界も実感してきたのです。

例えば、ロジカル思考は事業を拡大するときには強力な方法ですが、まだ見ぬ価値を生むためには、あまり役に立ちませんでした。むしろ全く新しい価値を生むためには、ロジカル思考が邪魔になることもあります。企業の中で社内合意を取り付けるためには、合理的な説明を求められたり、数字での証明を求められたりします。

本当に新しいことを証明することはできませんから、ロジカル思考を信じすぎると、新しいことに挑戦できずに終わってしまうことも多いのです。調査データでは「誰もが使う」とされたサービスが、ありきたりすぎて「誰も使わないサービス」になってしまうという逆説的なことがよくあります。

アートにはイノベーションと高い親和性があると考えていますが、それはアートが既存の概念を拡張する力を備えているからです。

所有や「モノ消費」の時代から、体験に価値を見いだす「コト消費」、共感を重視する「ストーリー消費」の時代にシフトし、人工知能(AI)が人間に代わってさまざまな仕事を処理してくれる時代。価値のあり方が大きく変わる現代だからこそ、ユニークさやクリエイティビティー(創造性)がこれまで以上に重要になります。

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