日経マネー

(イラスト:平田利之)

DCの改正も進みそうです。大綱ではDCとiDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出可能期間が現在の60歳から65歳に引き上げられます(厚生年金または国民年金への加入が条件)。企業型DCでも、規約で定めれば現状の65歳という上限を70歳まで引き上げられるとしています。

定年を迎えても継続して働く人は多くいます。しかし、既に60歳の私には、改正は遅きに失しています。この恩恵を受けられないのです。改正実施までのエアポケットに落ち込んでいる同輩は多いはずです。ちょっと残念ですよね。

制度はより簡素であるべし

もともと私は簡素な制度が必要だと思っています。これはロンドンに出張のたびにISAの専門家である財務省、金融当局、業界、アドバイザーなどから聞かされた「ISA成功のポイント」でした。

しかし、現実にはそれがなかなか実現しません。しかも制度が現役世代にばかり向いています。

最も簡素な方法は、一生涯に拠出できる上限額だけを決める「生涯上限額NISA」だと思っています。マイナンバーが導入され、生涯の拠出額を管理する方法は従来よりも簡単になりました。

これを生かし、毎月一定額で投資する積み立て投資であろうと、ここぞと思って上限額いっぱいに投資する一括投資であろうと、ボーナスだけで投資する変則投資であろうと、退職金を使って投資する分割投資であろうと、全ての拠出上限の合計を一律に決めてしまうのです。制度が恒久化され、非課税期間も恒久化されていることは当然の前提です。

少々愚痴っぽいコメントになりましたが、私は資産形成だけではなく、高齢者が資産を運用しながら取り崩す「資産活用時代」にも非課税制度を使えるようにすべきだと考えています。前述したISAはどんどん資産活用者のニーズを組み入れています。超高齢社会の日本こそ、もっと資産活用の視点を加えてもいいはずです。

野尻哲史
フィデリティ退職・投資教育研究所所長、フィンウェル研究所所長。一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て2006年にフィデリティ投信に入社。07年からフィデリティ退職・投資教育研究所所長。19年にフィンウェル研究所を立ち上げ「複業」をスタート。アンケート調査を基にしたお金に関する著書・講演多数

[日経マネー2020年3月号の記事を再構成]


日経マネー 2020年 3 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP
価格 : 750円 (税込み)


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