マスクが品薄でも焦らない 新型肺炎予防で大切なこと

日経Gooday

【日常生活での感染予防策】

ウイルスを自宅に持ち込まないために、玄関先で手指だけでも消毒を

では具体的に、日常生活での感染予防策を考えていきましょう。

私たちは、家の外に出れば、様々なものに手を触れざるを得ません。電車やバスのつり革、ドアノブ、スーパーのかごやカート、エレベーターのボタン、エスカレーターのベルト、ATMの画面、人の手から手へと移りゆく紙幣やコインなど、手を触れる全てのものに、感染者の口から飛び出した飛沫が付着している可能性があります。こうしたものに触れた手を、無意識のうちに口や鼻に持っていって触ることで、ウイルスが体の中に入ってしまいます(接触感染)。

このような接触感染を防ぐには、こまめな手洗いが大切です。新型コロナウイルスにはアルコール消毒が有効とされています。外出から帰ったら、手をしっかり洗ってアルコール消毒をしましょう。ウイルスを自宅に持ち込まないためには、玄関先で手指だけでも消毒しておくとよいでしょう。靴を脱ぎ、最初に手を洗いに行ったとしても、洗面所のドアのノブや水栓には触れざるをえません。石鹸で手を洗った後にそれらを触れば、ウイルスが手に戻るかも知れません。ウイルスや飛沫が目に見えないからこそ、想像力を十分に働かせる必要があります。外出先でも、消毒用のアルコールを携帯して使用すれば、手荒れはしても、感染リスクは下げられます。

手洗いに気を付けていても、近くにいる誰かが咳やくしゃみをして、そのしぶきと共にウイルスを吸い込んでしまうかもしれません(飛沫感染)。例えば、電車の中で座席に座っている状況を考えてみましょう。隙間のないようマスクをし、スマートフォンや本を手にして乗車している数十分のうちに、近くに立っていた感染者が、咳エチケットを守らずに(マスクやハンカチなどで鼻と口を覆わずに)くしゃみや咳をした場合、何に気を付ければ感染せずに済むでしょうか。

近くの人から飛び散った飛沫は、自分の髪、顔や手の皮膚、マスク、衣類、スマートフォン、本、バッグなどに付着している可能性があります。イヤフォンやヘッドフォン、ノートパソコンを使用していれば、それらの表面にも飛沫は存在するでしょう。それぞれの表面で、新型コロナウイルスがどれくらい感染力を維持しているのかは現在のところ不明ですが、インフルエンザウイルスの場合には、2~8時間と言われています(国立感染症研究所感染症情報センターホームページ[注3]による)。

飛沫を直接吸い込んでしまうと、感染を防ぐことは難しくなりますが、飛沫が物に付着していた場合、それらが手指を介して眼や鼻、口の粘膜に至らないようにすることが何より大切です。できるだけ速やかに正しい手洗いをすること、その後も、シャワーを浴びるまでは、手で目や鼻をこすらず、食べ物をつまんで口に入れないことを肝に銘じましょう。

スマホの液晶画面はトイレの便座より汚い!?

自分の体以外で汚染リスクがある物品の取り扱いについては、以下を参考にしてください。

◆衣類

通常の方法で洗濯をすれば、おそらく安全になります。厚生労働省の新型インフルエンザに対する注意点をまとめたページ[注4]には、「患者の使用した食器類や衣類は、通常の洗濯・洗浄および乾燥で消毒できる」とあります。

◆スマートフォン、タブレット

スマートフォンは意外に汚れている・写真はイメージ=(c) Wavebreak Media Ltd-123RF

スマートフォンの液晶画面はトイレの便座より汚い、とも言われるように、様々な細菌やウイルスが付着している可能性がありますが(関連論文1[注5]、関連論文2[注6])、帰宅時に表面を清掃する人は多くありません。さて、どのような方法で手入れをすればよいのでしょうか。

Apple社の公式見解はこちら[注7]にあります。機種によって異なりますが、基本は「柔らかい布(レンズクロスなど)を少し湿らせて使います」とあり、「ガラスクリーナー、家庭用洗剤、エアダスター、スプレー式の液体クリーナー、溶剤、アンモニア、研磨剤は使わないように」と指示されている機種もあります。

一部のユーザーから、アルコール消毒をしたら画面にシミができた、といった報告もあるので、エタノールを直接噴霧してはいけないようです。また、エタノールを含むウェットティッシュなどの使用もダメージを与える可能性があるので、自己責任で行うことになります。

こちらの研究[注8]は、病院で使用されているiPadの画面に院内感染の原因となる2種類の細菌を付着させて、滅菌水で湿らせたマイクロファイバー製のレンズクロス、アルコール綿、次亜塩素酸ナトリウムを含む拭き取り布のそれぞれで画面を清掃したものですが、マイクロファイバー製のレンズクロスの有効性が示されています。

現在のところ、液晶画面に付着したウイルスを完全に除去できることが確認された方法はないため、ウイルス感染症の流行期には、取り扱いに十分注意し、それぞれの判断で清掃する必要があります。

[注3]http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/QAFlu09-2.html

[注4]https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_nyumon.html

[注5]Zakai S, et al. J Microsc Ultrastruct. 2016 Sep;4(3):143-46.

[注6]Zhang N, et al. Int J Environ Res Public Health. 2018 Aug;15(8):1699.

[注7]「iPhone のお手入れをする」https://support.apple.com/ja-jp/HT207123

[注8]Kiedrowski LM, et al. Am J Infect Control. 2013 Nov;41(11):1136-37.

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