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高専に「起業部」 スタートアップ魂を部活で鍛える

高専に任せろ!

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NIKKEI STYLE

高等専門学校(高専)の卒業生は様々な業界で活躍しているが、注目されるのがスタートアップ人材としての可能性だ。「考えるよりも手を動かす」。実践重視の高専生気質はスタートアップ企業とも親和性が高い。北九州高専発の「高専起業部」は、起業を志す高専生のための修練の場だ。全国の他の高専や企業をも巻き込み、チャレンジを後押しする。

スタートアップを「生きた教材」に

北九州市の郊外。北九州高専の学舎の一角に、高専起業部の拠点「ファブラボ」がある。室内にはパソコンや作業台のほか、工作機械や3Dプリンターが並び、設計から製作まで様々な作業をこなすことができる。

「こんなアイデアがあるんだけど」。ある日の放課後。ファブラボでは、作業台でオリジナルのロボットを製作する学生の横で、思いついたビジネスの「ネタ」について話し合う学生がいた。

「部」と銘打っているが、厳密には部活動ではない。高専生が集うコミュニティーの一種。運営主体は、北九州高専発のスタートアップ企業で、企業から製品の試作や開発を請け負うネクストテクノロジー(秦裕貴代表、本社は同高専内)だ。

ファブラボに集うのは北九州高専の学生有志、約20人。ネクストテクノロジーの学生スタッフも兼務している。学生らは実際にスタートアップの運営に携わりながら、自分たちでも起業の芽を日々うかがっている。

「高専生は技術ギーク(オタク)と見られがちだが、とにかく手足を動かせるのが強みだ」。北九州高専准教授の滝本隆氏(38)はこう述べる。滝本氏はネクストテクノロジーの創業者。同社を生きた教材に、起業の魅力とノウハウを教えるため、19年春に高専起業部を立ち上げた。

アフリカで活動も

まだ1年にもならないが、成果が出始めている。しかも日本ではなく、遠くアフリカの地で。

19年夏、アフリカのケニアやナイジェリア、ルワンダで7人の高専生が汗を流していた。

高専起業部では「よろず相談」の窓口を持つ。ものづくりの街・北九州で地元企業らを手助けする試みだ。そこに、北九州市に拠点を持つ国際協力機構(JICA)から依頼があった。「アフリカの農業が抱える課題の解決に高専生の発想を生かしたい」――。

これを受けて、高専起業部ではビジネスアイデアを競う「ハッカソン」の開催を企画した。

高専生は横のつながりが強い。他校にも呼びかけたところ、ハッカソンには6高専から計約50人が参加。審査を通過した高専生らが現地に乗り込んだ。

ケニアでは、飼料や肥料に使うアブの幼虫に着目。高専生は培養に使われるごみから幼虫をふるい分けるための回転ドラム式の分別装置を作り、現地で提案した。またナイジェリアでは人手を使わない水道検針メーター開発に協力。電源となる水流発電メーターなどを試作した。いずれも協力企業などと連携しながら、実質2週間の突貫工事で試作品を仕上げた。

「自分たちの小さなアイデアが世界の課題解決への足がかりになった。感動したし、モノづくりの素晴らしさを実感した」。参加した2年生の男子学生はこう話した。

ハッカソンは今後も継続して開催する予定だ。

「自分たちで試行錯誤することが楽しい」。高専起業部に参加する男子学生はこう笑顔を浮かべる。「入学した頃は卒業したら就職するつもりだったが、今は起業も選択肢として考えるようになった」とも。

自分たちが興味を持った技術やサービスで起業を模索。中には全長2メートルで積載量がある物流向け大型ドローンの試作に取り組む学生もいる。

ビジネス感覚、磨く場に

そんな学生らに、滝本氏は「失敗したら学業に戻ればいい」と笑って背中を押す。

滝本氏自身、北九州高専時代に起業家精神を学んだ。恩師は「ビジネス感覚を持て」と言って、青色発光ダイオード(LED)開発で知られる中村修二氏の講演を聴きに行かせるなどして、後押ししてくれた。滝本氏が高専起業部を立ち上げたのも、「今度は自分が」という思いがある。

ネクストテクノロジー代表の秦氏も北九州高専の卒業生だ。秦氏は技術者であり創業者という高専生ならではの起業スタイルに注目する。「高専生はとにかく技術が好き。そして技術がよくわかっている。いわば(米アップル共同創業者の)スティーブ・ウォズニアック氏のような人材がたくさんいるはず」。

北九州高専では起業家育成の講義も拡充している。19年11月から「スタートアップ概論」を開始。希望する学生に全15回で学ばせる。講師には自動車メーカーやコンサル、スタートアップ支援企業などから現役のビジネスパーソンが登壇。授業では「高専生による高専受験予備校はどうか」といった起業のアイデアを話し合いながら、プレゼンや議論をするなど、起業に必要なセンスやアイデアを磨く。正式に単位認定もする。

講座を支援するデロイトトーマツベンチャーサポート(東京・千代田)の池尚大氏は「高専生はアイデアをモノに収められる強みがある。北九州から全国の高専にこの動きが広がることを期待している」と話す。

地元のサポートも厚い。北九州市と北九州高専、日本政策金融公庫の北九州支店は8月、地元就職や起業人材の育成で連携協定を結んだ。日本公庫が地元中小の具体的な人材ニーズや事業課題を持ち込み、高専生が就労体験する仕組みだ。北九州高専の原田信弘校長は「地域が求めるグローカル人材を育て、約10%の地元就職率を20~30%に引き上げたい」という。

滝本氏らの狙いは、高専起業部を全国の高専生が集うプラットフォームに発展させることだ。「互いに刺激し合って切磋琢磨(せっさたくま)したり、情報交換やプロジェクトのメンバー集めにも活用できる」と見る。

北九州高専以外からの参加者も徐々に増えており、名を連ねる「部員」は現在では10高専で計45人。製造業のまちから全国へ、さらに世界へ。広がる舞台の先に、ビジネスチャンスが待つ。

(福本裕貴、北九州支局長 山根清志)

[日経産業新聞 2020年2月3日付]

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