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日本IBM 山口明夫社長

日本IBM 山口明夫社長

2019年、日本人の生え抜きとして7年ぶりに日本IBM社長に就任した山口明夫氏はエンジニア出身。システム運営・保守の現場で「顧客に教わり、育ててもらった」との意識を強く持つ。社長となった今も現場重視の姿勢を貫く背景には、リーダーとして「一人一人としっかり向き合い、信頼関係を築く」大切さへの思いがある。

<<(上)色眼鏡捨て多様性を強みに 任せて社長超える力を期待

――リーダーの役割は何だと考えていますか。

「組織のあるべき姿や進むべき方向について、自らの考えをオープンにしながら判断する。そのビジョンや方向性を皆でしっかり共有して、さまざまな経験や技能を備えた多様なメンバー全員が、存分に能力を発揮できる環境を整える。それこそがリーダーの役割だと思います」

――リーダーとして忘れがたい失敗はありますか。

「失敗はたくさんありますが、最も印象深いのは2002年にインフラサービス関連の部長になったときのことです。40~50人の部員のうち半分が新人や入社数年という、若くて元気のいい職場でした。みんな目を輝かせて成長しようと頑張っていました」

「しかし、若いだけに挫折に直面する人もたくさんいました。有名国立大の大学院を出た新人女性が配属になりました。半年ほどして、彼女の担当企業を一緒に訪問したときのことです。最初は明るく話をしていた彼女が、途中からわんわん泣き始めたのです。突然のことで、私も困惑しましたが、話を聞くと『自分は何でもできると思ってきたけれど、初めてできていないと感じた。自分自身が情けない』というのです」

なぜ早く気づいてやれなかったのか

「とても優秀だと思っていた彼女がそんなに悩んでいるとは、それまで全く分からなかったのです。『何でもっと早く気付いてあげられなかったのか』と反省しました。このとき私は『優秀な経歴なのだからできるだろう』と色眼鏡で見ていたのですね。日ごろからもっとコミュニケーションを取るべきでしたし、一人一人の悩みを聞くべきだったと本当に後悔しました」

――リーダーとして、信頼関係の大切さを思い知らされたのですね。

「人間関係の軸は信頼だと思います。新人だろうが先輩であろうが、立場は関係ありません。役職や役割ではなく『その人の中身を見なければならない』と思いました。どこの事業部だとか、担当分野の売上高の大小だとか、どうでもいいことです。そんなことで、その人の価値が決まるわけではありません。リーダーはそこにいる一人一人をしっかり見ることが必要なのです」

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