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東京五輪で高まる感染症リスク 受けたいワクチンは…

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日経Gooday(グッデイ)

麻疹(はしか)や風疹のほか、急速な感染拡大が報じられている新型コロナウイルスなど、様々な感染症のリスクが高まっている。そんな中、日本感染症学会と日本環境感染学会は、今夏の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)に向けて、感染症予防連携プロジェクト「FUSEGU 2020」を発足した。1月に行われた記者発表会における日本感染症学会理事長で東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授の舘田一博さんによる講演「マスギャザリングで注意すべき感染症」の中から、一般市民が知っておきたい情報を紹介する。

◇  ◇  ◇

「マスギャザリング」とは、スポーツイベントやコンサートなど、一定期間に限定された地域において、大勢の人が集まること。東京2020大会はまさに、国内外から多くの人が集結するマスギャザリングの機会だ。

国際的なマスギャザリングでは特に、国内では流行していない感染症が海外から持ち込まれるリスクがある。また、感染症にかかった人が多くの人と接触し、気づかぬうちに感染を拡大させる危険性もある。

過去のオリンピックでは、2010年のバンクーバー冬季オリンピックと2014年のソチ冬季オリンピックでは麻疹、2016年のリオデジャネイロオリンピックでは蚊が媒介するジカ熱の感染事例が報告されている。

東京オリンピックには206の国や地域から約1万1090人の選手が、パラリンピックには182の国や地域から約4400人の選手が参加。各国の選手や関係者と濃厚に接触する可能性もある両大会のボランティア数は約8万人に上り、チケット販売数は1010万枚となる見込みだ(以上、1月時点の推計)。舘田さんは「日本中でキャンプが張られ、選手や関係者が滞在する。色々な感染症が散発的に、全国で発生するリスクがあると考えておく必要がある」と言う。

感染を防ぐ3つのポイント

現在、中国から感染が拡大している新型コロナウイルスも、「マスギャザリングで問題となる感染症の一つと認識しておく必要がある」と、舘田さんは指摘。コロナウイルス自体は風邪の原因となるありふれたウイルスだが、変異するとSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)のように、死亡率の高い感染症を引き起こすことがある。「今回の新型コロナウイルスは、SARSコロナウイルスに近いことを考えると、変異の可能性も十分に認識しながら、決して油断することなく、かつパニックになるようなことがないように対応していかなければいけない」(舘田さん)。

感染症を防ぐには、下記の3つのポイントがある。

(1)ウイルスや細菌、真菌、寄生虫などの感染源を減らすこと

 (病原体の消毒、患者の早期治療など)

(2)感染源からヒトにうつらないように、それぞれの感染経路を遮断すること

 (安全な水・食品、手指衛生、マスク装着など)

(3)宿主(ヒト)の免疫を上げること

 (ワクチンの接種など)

新型コロナウイルスの場合は、ヒトからヒトへの感染が確認されており、その感染経路は主に、くしゃみやせきなどによる飛沫感染といわれる。ウイルスが付着した手や指を介して、鼻や口、目を触ることからも感染する。新型コロナウイルスに対するワクチンはまだ開発されていないため、感染防止には手指衛生やマスクの着用が有効となる。

「病原体と感染経路が分かっていれば、それに対して適切な情報を提供することで、効果的な対策が取れる」と、舘田さんは話す。「感染症は医療従事者だけの問題ではない。学会や企業・団体と、メディア、一般市民がワンチームとなって向かっていくテーマ」だとも語り、「FUSEGU 2020」のプロジェクトとして一般市民に向けた啓発活動や情報提供を実施していく考えを示した。

また、「FUSEGU 2020」では2020年3月に大学生を対象とした感染症カレッジや、4月には市民公開講座などを計画している。ウェブサイトなどでの情報発信も随時行われる予定で、それに先駆けて2019年7月には、日本感染症学会のホームページに「感染症クイック・リファレンス」( http://www.kansensho.or.jp/ref/ )を開設した。本サイトは主に医療従事者を対象としているが、誰でも閲覧することができる。国際的マスギャザリングに関連したワクチンの情報や、76の感染症の情報がコンパクトにまとめられているので、参考にするといいだろう。

事前に受けておきたいワクチンは?

舘田さんは東京2020大会に向けた感染症予防対策の一つとして、日本感染症学会と日本小児感染症学会が「事前に受けておきたいワクチン」として推奨している7つのワクチンを紹介した(表参照)。接種対象者は一般市民、医療関係者、大会関係者、メディア関係者に区分され、それぞれに接種が推奨される度合いが示されている。

これによると、一般市民には麻疹と風疹に対するMR(麻疹風疹混合)ワクチンの接種が強く推奨されている。特に風疹に関しては、妊娠初期の女性が感染すると、生まれた子どもが「先天性風疹症候群」を発症するリスクがあるため、国としても対策が進められている。

厚生労働省はワクチンの定期予防接種制度の関係で、一度も風疹の定期予防接種を受ける機会がなかった特定世代(1962年4月2日から1979年4月1日生まれ)の男性に、原則無料で抗体検査・予防接種を行う措置を講じている。2019年から2021年度末までの3年間に、年齢に応じて段階的に、市区町村から抗体検査の無料クーポン券が配布される。舘田さんは「せっかく行政がサポートする制度があるのだから、うまく利用して防いでいくことが大切」だと呼びかけた。

そのほか、一般市民に「接種が好ましい」とされているのは、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチン、インフルエンザワクチンの3種。インフルエンザは冬に流行する感染症というイメージがあるが、「東南アジアなどの熱帯地域では一年中、インフルエンザが流行している。そうした地域からも人が訪れれば、小さな流行は起きてしまうかもしれない」(舘田さん)

日本では流行していない感染症のリスクも

また、髄膜炎菌ワクチンは一般市民には強く推奨はされていないが、「髄膜炎菌はマスギャザリングで注視すべき感染症の一つに挙げられる」と、舘田さんは指摘している。髄膜炎菌は現在の日本ではまれなため、ほとんど知られていないものの、世界ではいまだに流行している国や地域があり、感染すれば死亡率が高い感染症として知られている。

実際、2019年に開催された「ラグビーワールドカップ2019日本大会」では、観戦のために来日したオーストラリア在住の男性(50代)が、日本国内で侵襲性髄膜炎菌感染症を発症する事例が発生した。幸いにもその後の感染拡大は見られなかったが、東京2020大会でも注意が必要になるだろう。

マスギャザリングでは「こうした様々な感染症のリスクがあることを知り、防御をしていくことが重要」だと、舘田さんは強調する。私たちがまずできる対策としては、手指衛生、マスクの着用、ワクチンの接種があるが、「日本では一般の方への教育・啓発がまだまだ必要であり、そうした背景を受けて『FUSEGU 2020』のプロジェクトが始動した」(舘田さん)。

日本では東京2020大会以降も、大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)が開催されるなど国際的なマスギャザリングの機会があり、感染症のリスクはさらに増大することが懸念される。私たち一人ひとりが、感染症や予防対策への意識を高めていくことが求められている。

(ライター 田村知子)

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