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時短勤務でも管理職昇進あり ローソンの女性幹部育成

柳田衣里ローソン人事本部人事企画部部長(上)

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NIKKEI STYLE

365日24時間営業のあり方が問われているコンビニ業界。店舗を支える本部側の働き方にも注目が集まっている。なかなか女性が活躍しにくいこの業界で「女性活躍」で成果を着実に上げているのがローソンだ。何が成果を上げる秘訣なのか、柳田衣里ローソン人事本部人事企画部部長に聞いた。

採用は男女ほぼ同数

白河桃子さん(以下敬称略) 御社は、東洋大学が2019年9月に発表した「女性活躍インデックス」法人ランキングで17~19年通期最優秀賞を獲得しました。構造的に長時間労働になりやすいコンビニ業界の快挙ともいえると思うのですが、どういった点が高く評価されたのでしょうか。

柳田衣里さん(以下敬称略) 評価項目の中では、特に女性役員比率の高さ(33.3%、人数にして4人)や、男性の育児休業取得率が9割を超えている点が評価されたようです。

白河 まず女性の幹部候補育成について伺わせてください。従業員全体としては、まだ女性比率はそれほど高くないそうですね。

柳田 はい。全体の平均で女性は2割に届かない程度です。新卒採用で女性比率50%を目指すことは、05年に当時の社長(新浪剛史氏)が宣言しまして、以降、順調に増え続けているのですが、上の年代になるほど女性の採用人数は少ないですし、残っている女性も多くありません。全社員の平均年齢は39.6歳。全体を見渡すと、まだまだ女性は少ないですね。私自身は社歴20年ほどでして、私が20代だった頃と比べると、だいぶ風景は変わってきたと感じているのですが。

白河 男性とほぼ同数で女性が採用されるようになってから10年以上が経過したということですね。そろそろ昇進に向けての選抜が本格的に始まってくるころでしょうか。

柳田 30歳くらいから係長クラスの初級管理職になるステップがあり、30代半ばに課長職になるのが通常のコースです。

白河 実際に管理職になっている女性はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?

柳田 課長職になっている女性は18年度で104人。比率にすると9.7%ですので、まだ課題は多いですね。それでも10年前には1%だったので、だいぶ上がってはいるのですが。

白河 順調に伸びてはいるんですね。そもそも女性が正社員を続けやすくなったのはここ10年ぐらい。時間がかかるのは当たり前です。女性をしっかり採用し、着実に育成してきた成果だと思いますので、具体的施策を伺わせてください。まず、入社してからのキャリアコースについては、男女に違いはないのでしょうか。

柳田 はい。男女に違いはなく、外国籍の社員も同じです。まずは全員、店舗での経験を積んだ後に、早ければ2年目に店長に。その後、4年目くらいにスーパーバイザー(SV)と呼ばれる店舗指導員になります。

その後は、地域のSVを束ねる支店長(課長職級管理職)になるパターンと、本社で商品開発など本部機能の職種にキャリアチェンジするパターンに分かれます。女性の支店長はまだ1名しか登場していないのですが、支店長補佐として働く係長級の女性はだいぶ増えてきました。その先の、課長職の育成までがあと一歩まで来ているという段階です。

女性向けのキャリア開発研修に注力

白河 そこのひと押しをどう支えていくかが、今の御社のテーマなのですね。多くの日本企業も向き合っている問題です。どんなことが効果的ですか。

柳田 女性向けのキャリア開発研修を充実させています。12年から力を入れているのが、大きく分けて2つの研修です。20代後半の女性社員を対象にしたキャリア開発研修と、管理職一歩手前の30代半ばを対象にした選抜型の女性リーダーシップ研修です。

前者に関しては、当初は30歳くらいを対象年齢としていたのですが、だんだん前倒しして現在は27歳くらいに。入社して5年ほどたち、SVになった後のキャリアに悩む時期をサポートするねらいがあります。現実として、女性の先輩が少ない分、いざ現場をまとめる立場になってくると、「このまま私はやっていけるのだろうか」と不安になる人が多いんですね。こちらは年1回、全国から該当社員を呼んで実施しています。

もう一つの選抜型のリーダーシップ研修のほうは、参加者に目標を宣言してもらって、半年後に進捗を聞くフォローアップ研修も行っています。社長の竹増(貞信氏)や役員全員にも同席してもらうんです。

研修以外の場でも、女性のキャリアアップを目的とした動きは、いろんなシーンで増えてきました。例えば、19年に理事執行役員に就任した大谷(弘子氏、マーケティング戦略本部副本部長)が、後進育成にも熱心でして。女性社員を集めてのランチミーティングを開催したり、社内のネットワーキングを強化したりしています。

白河 社長も同席するって大事ですよね。育休中や時短勤務中の女性の評価についてはいかがでしょうか。やはり、「出産・育児がキャリアに不利に働くのでは」という不安の解消は、女性活躍に不可欠だと思います。

柳田 おっしゃるとおりだと思います。その点、当社の場合は、育休中も評価を下げるようなことはせず、ABCのうち平均的評価のBをつけますし、時短勤務中だからといって、理由なく評価を下げることはありません。通常勤務の社員と同様に、個人の業績評価のために設定した目標に達しているかどうかで評価を決めます。現に、時短勤務期間中に管理職へ昇進した女性もいます。

白河 時短中でも昇進ありは珍しい事例ですね。育休中の他社事例でも徐々に「同期の平均の評価をつける。ゼロポイントにはしない」というところも出てきました。きっと10年以上かけての地道な取り組みが、実を結び始めたフェーズに到達しているのでしょうね。他にも、女性活躍のための施策として、成果が見えてきた取り組みがあれば教えてください。

社内保育園は祝日も利用可能

柳田 14年に開設した「ハッピーローソン保育園」という事業所内託児所が好評です。待機児童問題の影響で、「保育園の決定通知が来るまで、復職できるかどうか分からない」という育休中の社員の不安を解消するために設置しました。万が一、地域の保育園に入れなくても、社内保育園でカバーできるという安心感があれば、精神的な負担をかなり減らせます。地域の保育園の申し込みをする時点で、社内保育園に預け始めておくことで、入園のためのポイントを加算できるというメリットもあります。また、「地域の保育園に通い始める前の、『慣らし保育』のために利用している」という声もよく聞きます。

白河 会社がオフィスビルに託児所を設置することに対しては「通勤の電車に子どもを乗せていくのは大変」といったネガティブな意見も聞かれますが、「いざとなれば、ここに預け先がある」という安心感のメリットはとても大きいですよね。公的なインフラが整っていない現段階では、とても価値のある役割だと思います。

柳田 私自身も子どもが2人いまして、1人目の時にとても苦労したんです。2人目を産んだ後には社内保育園ができていたので、大助かりでした。そして、運営をする立場として、私が強くこだわったのは「祝日保育」にも対応すること。当社は祝日に出勤するのが原則なんですね。ところが、一般的に保育園は、土曜は対応しても日曜や祝日は休みなんです。結果として、同僚がそろって出勤している時に自分だけが休まないといけない日が生じてしまって、非常に心苦しい思いをしてきました。

周りのママ社員も同じ気持ちだったので、当時の社長に子連れ出勤を許してもらい、会議室を保育室として利用し、ベビーシッターさんに来ていただいての集団保育を06年度から始めたんです。保育園ができてからも、祝日対応は継続していて、もう14年ほど定着していることになります。

多い日で10人ほどの利用があり、最近はパパ社員がお子さんを連れてくることも増えましたよ。「祝日も安心して働ける」という安心感が、早い復職の後押しにもなっていると思います。

白河 365日の業界ならではの取り組み! まさに女性の後ろめたさの解消につながる、素晴らしい取り組みですね。「女性がなかなか管理職になりたがらないのは、自信がないから」とよく言われますが、私は実は違うんじゃないかと思っていたんです。「自信がないから」ではなく「後ろめたいから」。自分は皆と同じように働けないかもしれない、あるいは、皆と同じように働くことができなかったという後ろめたさが、一つのハードルになっているのではと。

柳田 そうなんです。祝日対応までする社内保育園というのは、他に聞いたことがないのですが、社員のニーズに応えられる取り組みになっていると自負しています。

(以下、来週公開の後編では男性育休取得への取り組み、女性にキャリア開発に取り組んでもらうための活動などをお聞きします)

白河桃子
 少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)、「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「ハラスメントの境界線」(中公新書ラクレ)。

(文:宮本恵理子、写真:吉村永)

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