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写真はイメージ =PIXTA

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あり得ないようなトラブルを巻き起こす「モンスター部下」が最近増えているという。相談をよく受ける社会保険労務士の石川弘子氏は、その実態と対処法を近著「モンスター部下」(日経プレミアシリーズ)にまとめた。石川氏が相談を受けたモンスター部下の実態を同書から紹介する。

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W製作所 概要
創業50年の機械部品製造会社。関東近郊と東北地方に工場がある。従業員数120名ほどで、大手との安定した取引から経営は順調。
 
登場人物
F島:30代男性社員。地元の高校を卒業後、W製作所の東北工場に勤務。高校時代ヤンキーまではいかなかったが、いきがっており、いまだに当時の先輩・後輩関係を引きずっている。
U村:数カ月前に関東の工場から東北工場に工場長として赴任した40代男性。真面目な勤務態度が評価されて工場長に昇格した。気が弱くおとなしいタイプ。
D井:W製作所内で特殊部品の製造を下請けで行う個人事業主。組織に属することを嫌い、W製作所から何度か社員の誘いを受けるも断っている。F島の高校の後輩。

上司の言うことを聞かない「イキリ社員」

「工場長、ちょっといいですか?」

始業前に事務所で作業の段取りを確認していたU村工場長に、検品担当の女性社員が話しかけた。女性社員いわく、外注先である個人事業主のD井に対してW製作所から発注している部品に少し不具合があるので、再度作成してほしいと頼んでいるのに、D井は「問題ない」と言い張って困っている、というのだ。

「D井さんも社員のF島さんも、『なんか文句あるのかよ?』っていちいち威嚇してくるんです。ヤンキーじゃあるまいし、いい年してみっともないですよね。検品担当の間では、『イキリ社員』って陰で呼んでいるんですよ」

女性社員から詳細を聞くと、U村は「自分が話してみる」と言って工場に向かった。工場に向かう途中の喫煙所でF島と一緒に煙草を吸っているD井を見つけたU村は、近寄るとD井に検品の件を話した。D井は煙草を吸いながらU村の話を一通り聞くと、「大した問題じゃないんですけどねー。こっちも忙しいのに難癖つけられて、気分悪いっすよ。まぁ工場長が言うならやり直しますけどね」

と面倒くさそうに答えた。様子を見ていたF島が工場長に聞こえるような独り言をつぶやいた。

「東北工場に来たばっかりのくせに偉そうに」

U村は怒りを覚えつつも緊張で体がこわばるのを感じた。東北工場に工場長として赴任してきてから、F島の反抗的で人を見下すような態度に悩まされてきた。学生時代から真面目だったU村は、ヤンキーといわれるようなクラスメートからたびたびいじめを受けてきたが、F島と接しているとその頃の嫌な思い出が蘇る。

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