子育てに懸命にぶつかってきた大泉さんにとっても、今回の作品はいろいろ考えることが、そして感動があったそうです。

「妻が豪田トモ監督と知り合いだったことで、ナレーションの話をいただきました。お母さんの大変さというのはもちろん知っているから、新たな気づきなんてないだろうと想像していたんですが、見終わって号泣しました。作品で高校生の時に母親が蒸発した方が、わが子の接し方に悩む姿が映し出されます。僕には計り知れない世界。感動しました」

映画『ママをやめてもいいですか!?』より

「子育てはいきなり仮免で外に出されるというコメントも出てきます。本当にその通りで、準備が不十分でも、生まれた瞬間からやるしかない。相手は赤ちゃんで、自分ではどうしようもないことも多い。上手にできるわけではないんだけれど、完璧を求めてしまう人もいる。もっと気楽に、考えすぎず、いい意味でどこか適当にやるしかないのかもしれないですね」

ものをつくるのが楽しそう

「一つだけ映画のお母さんに『それはダメ』と注意したかったのが、(旦那さんに)何か言わないでもわかってよというセリフ。往復ビンタかな(笑)。なし。言わなくて勝手に不機嫌になるのは勘弁してほしい。何度お願いしても直さないのは、こちらがいけないのですが」

ネット社会の現代は子育てに関する情報があふれています。それが逆にママたちを苦しめているのではと映ります。

映画『ママをやめてもいいですか!?』より

「妻がネットを見過ぎているなと感じたこともあります。ネット社会ゆえに、いくらでも調べられるから、ママたちの取捨選択が難しくなってきます。ほかの親はこんなことしてる、自分もやらなきゃって。自分がつらくなるほどやり続けなくてもって、思ってしまいます」

「あるとき、おふくろが妻を見て『もう一回子育てをし直したい』とこぼしたことがあります。何もしてあげられなかった、と。例えば、僕たちの子どもの頃はみんな虫歯がありました。おふくろから磨きなさいと注意されても、面倒といったら『うがいだけでもしなさい』。でも磨いてなんてくれなかった。だから虫歯だらけ(笑)。今の親は必死になって磨いてあげる。僕もそうでした。昔に比べれば、十分やっていると思いますよね」

「娘が早くやりたいことを見つけてくれればと願っています」

「子どもって親の思い通りにはならない。娘の未来はこうなってほしいという希望は持っていますが、これは娘が決めること。僕の両親もまさかこんな仕事に就くなんてみじんも想像してなかったでしょう。それよりも、少しでも娘が早くやりたいことを見つけてくれればと願っています」

「子どもにすべてをかけてきた面がある」と振り返る大泉さん。子育てが一段落すれば、どんな生活を目指すのでしょうか。

「気づくとアラフィフですからねぇ。さみしいけれど、そうなったらもう少し自分のために何かできるかなって気がします。今は演じること以外に何かしたいとはあまり思えないのですが。やっぱりものをつくるのが楽しそうだなと感じています。プロデュースなのか、監督なのか。漠然とできればいいなと思います。面倒くさがりなので、なかなか自分からは何もしないんですけどね」

『ママをやめてもいいですか!?』
企画・監督・撮影:豪田トモ
ナレーション:大泉洋
2020年2月29日(土)より新宿シネマカリテほか、全国の映画館で順次公開
映画『ママをやめてもいいですか!?』より

【ストーリー】
大切でいとおしい。だからこそ、ときどき苦しい。産後鬱を乗り越えて、新たな命の誕生を迎えるママ。母の産後鬱による自死と、その傷に向き合うママ。我が子を抱きしめることができないママ……。子育てに奮闘する家族は、それぞれどんな答えを見つけ、歩んでゆくのでしょうか。