60歳からは好きなことで稼げ 中長期計画で手応え実感『定年後の稼ぎ力』著者に聞く

――宮津さんはどうやってもう1本の「稼ぐ力」を見つけたのですか?

宮津 30歳のとき、草間弥生さんの作品を見て忘れられず、夏冬のボーナスをつぎ込んで購入したところから「現代アートの収集」という趣味を見つけました。そもそもアート収集は富裕層のもので、お金のないサラリーマンの私は自分の買える額でいかに納得できる収集をするかでいつも苦心惨憺(さんたん)。ところが、それを突き詰めるうち、「まだ評価の定まっていない(つまり安く購入できる)作家の作品を発掘する目利き」として評価されるようになりました。

とはいえ、40代の前半までは、仕事の辛さを忘れる逃避場所でした。展覧会のために来日したアーティストの東京案内をかってでたり、ちょっとした会合でアートについて話したり。ボランティアでできることを全てやっているうちに、本を書く、講演するなど「副業」になりそうな芽を見つけることがでてきました。本業が辛い時期でしたから、なんとか仕事につながるチャンスをつかみたいという気持ちもあったと思います。

セカンドキャリアは「仕事」×「好きなこと」の二刀流で

――「人事のスキル」と「現代アート収集の趣味」はどう掛け合わせたのですか?

40歳で広告業界からIT業界に転職後、度々のM&Aで買収される側の企業に勤める中、50代からのキャリアデザイン「人生二刀流メソッド」を考案した

宮津 会社で担当していた通常業務と新規事業を本業=1本目の刀としてこなしながら、現代アートはカルチャーセンターの講師やコラムの執筆など、ボランティア的な2本目の刀=副業として育てる活動を3年ほど続けました。以前から非常勤講師、客員教授と、本業の傍ら積み重ねた経歴により、53歳の時、現在勤務する大学から教授のお話をいただき、二刀流ライフから卒業することに。遂に夢が叶いました。

今担当している講義の一つが「クリエイターサバイバル論」。これからクリエイターを目指す学生にキャリア戦略を教えています。まさに「人事で培った知識」と「現代アートの趣味」の掛け合わせから生まれた授業なんです。

退職したら副業で月に数万円稼いで年金にプラスしようというプランでしたが、予定変更になりました。その一方で、自分も研究を続けるために大学院で学び直しています。

――著書には50代から5年で好きを仕事にするノウハウが満載ですね。

宮津 日本型雇用システムが崩れ、社員のボランティア活動や副業を後押しする企業も登場するように流れが変わってきた今、これを生かさない手はありません。「好きなこと」や「趣味」をそのまま楽しむのも良いでしょう。しかし、一層の年金支給年齢引き上げや、支給額引き下げが現実味を帯びる時代ですから、「稼ぐ力」は持っておきたい。

5年くらいの間に「趣味」「好きなこと」の中から「稼げる副業」の種を見つけ、それをいかに「お金をもらえる」仕事にまで持っていくか。ポイントは会社にいるうちのトライ&エラー。私がやってきた道筋と、蓄積した人事の知識を本では披露しています。

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