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「困った」と思ったときに頼れる人は?(写真はイメージ)=PIXTA

「困った」と思ったときに頼れる人は?(写真はイメージ)=PIXTA

サッカーで求められるのが「決定力」なら、ビジネスで期待されるのは「解決力」だろう。職場は常に課題だらけ。しかし「解決力は企業で教わる機会が少ない。だから自ら高めないと、生産性が上がらない」と『実は、仕事で困ったことがありまして』(大和書房)を書いた寺下薫氏は「独学」を勧める。たくさんの相談事を受けてきた経験から導いた、解決スキルの高め方を聞いた。

1万5000件の相談メールを分析

ヤフーで人材開発の責任者を務めた。問題解決養成塾「SV 研究会」を2013年に立ち上げ、電話応対を受け持つコンタクトセンター担当者の問題解決スキル向上に努めた。経験を生かして『世界一速い問題解決』(ソフトバンククリエイティブ)を出版。18年に起業した。講演や研修の依頼テーマで最も多いのは、やはり「解決力」だ。「働き方改革のあおりで生産性アップがあらためて求められるようになり、解決力への関心が高まった」という。

今では解決力アップの導き手として依頼が相次ぐ寺下氏だが、もともとは「仕事ができない部類の社員だった」と振り返る。最初から結果を出せるエリートではなかったという。いろいろな失敗を重ねて「結構、遠回りした」(寺下氏)。その苦い体験があるからこそ「これからのビジネスを担う人たちが自分と同じような失敗を繰り返してほしくない」という気持ちで本書を書いた。「余計な失敗を回避できれば、その分のエネルギーや時間を本来、自分が取り組みたかった仕事に充てられる」と、失敗回避のメリットを説く。転職にあたっても、解決力の高さは「即戦力として魅力的に映る」という。

書籍タイトルになっている「実は、仕事で困ったことがありまして」は、寺下氏に寄せられた相談メールの書き出しだ。「折り入ってご相談が~」といった形で申し込まれた相談の数々が解決力のベースになった。その数は1万5000件にのぼる。そのうち、典型的な20パターンを本書で取り上げた。それぞれのケースを解決するうえで役立つアドバイスを添えた。20パターンは少ないと思うかもしれないが、「相当数の相談は共通点が多い。この20パターンで大半の悩み事に解決策を用意できるはず」と寺下氏はトラブルに類似性を見いだす。

行動パターンはなかなか変えられない

副業を認める企業が増えてきた。しかし本業できちんと評価を得ていないと、副業に乗り出しにくくなってしまう。本業で成果を出すうえでも、目先の業務を効率的に片付けるスキルは欠かせない。「解決力は様々なスキルの集合体。後付けでの習得が可能で、しかも副業先や転職先でも役立つポータブルな能力」と、寺下氏は早めの習得を促す。要領のよさはその人のキャラクターとひも付けて考えられがちだが、「人柄に関係なく、学んで身につく技能」と「先天説」を打ち消す。

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