渋滞なしのアリの行列 マラソン大会に応用した数学力使える数学(前編)

「マラソンって、スタートのときにものすごい数のランナーが待っているじゃないですか。よーいドンで列の先頭のほうの人が走り始めてから、最後の人がスタートラインを通過するまで、ものすごく時間がかかるんですよ」

――ものすごくってどれくらい?

「通常は23分くらいかかるけれど、なんとか20分を切れないかという相談を大会の主催者から受けたんです。そしてみごと19分で全員を通過させました。やった!」

――おおお! なんと! 数字苦手すぎて、それどのくらいすごいかよくわかんないけどたしかに4分も縮めるって大変そう!! どうやったのですか?

マラソンの混雑を解消した「ふわっとスタート」

「ふわっとスタートです」

――え? ふわっと?(笑)

「ランナーをふわっと並ばせるんです。ふつうの感覚だと、とにかく早く走らせたいからできるだけぎゅっと詰めて並ばせてしまうじゃないですか。でも、それだと、前の人が走り出して自分の前にスペースができるまで動けないんですよ」

「それでわたし、計算してみたんです。そうしたら、最初から前の人とのあいだにスペースをあけてふわっと並ばせて、動きながらスタートさせた方がいいという結果が出たんですよ! 実際にやってみたら、みごと計算通りに19分に短縮できました。ちなみに、渋滞を緩和するためには、ぎゅうぎゅうに詰めずに、間隔を空けたほうがスムーズに動くって教えてくれたのは、アリです」

――アリって、あの虫のアリですか??

「アリの行列って絶対渋滞しないの。あるとき、人間とかかわるのに疲れてしまって(笑)、アリの行列を観察していたら、アリは間隔を空けて並ぶから渋滞しないということに気づいた。人間はすぐ前のめりになるけれど、アリはすごいんですよ。そう考えると、人間はアリ以下ですね(笑)」

――アリって冷静なんだなあ。そして、ふわっとってそういう意味ですね! たしかに、それでは全体のタイムが早くなるのは私でも何となくだけど想像できる気がする。ちなみに、ふわっとスタートにはどんな数学を使ったんですか。難しい計算が必要なの?

「足し算、引き算、かけ算、割り算の四則演算と、最後に一瞬だけ微分を使っただけです。この計算結果を採用してもらって、うまくいった。これはうれしかったですねえ。関係者の皆さんからも拍手喝采でしたよ」

――すごいね! なんか数学ちょっとおもろいじゃん、って思ってきました。上から目線でスミマセン。ほかにもいろいろなプロジェクトにかかわっているんですか?

「詳しいことは言えませんが、東京オリンピック・パラリンピックのプロジェクトにも入っています。例えばですね、人間は1メートル四方の中に2人以上いると混雑しているなと感じてしまうんですね。なので、人口密度が2人以下になるように、競技場の周辺の混雑緩和の計算などをしています」

「ほかには、空港の出入国の混雑緩和も担当しました。窓口の数とか並び方を考えるのも数学だし、顔認証の機械だって、裏側では数学が動いているんです」

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