動き出す中銀デジタル通貨 現金は消えるか(加藤出)東短リサーチ社長チーフエコノミスト

キャッシュレス決済の手段は多様化している(写真はイメージ)=123RF
キャッシュレス決済の手段は多様化している(写真はイメージ)=123RF

世界の中央銀行がデジタル通貨の導入に向けた検討を始めている。日本銀行、欧州中央銀行(ECB)、スウェーデン中銀のリクスバンクなど中銀6行と国際決済銀行(BIS)は2020年1月21日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を研究するグループを設立したと発表した。中銀デジタル通貨の活用のあり方、技術・機能面などのノウハウといった点を話し合い、知見を共有する。

各国の中銀デジタル通貨が実現した場合どんな形態になるかは全くの未知数だが、経済のデジタル化をより促進する可能性はあるだろう。金融機関や小売店などにとっては現金の輸送、管理、警備のコストを削減できるといったメリットが考えられる。

現在各国で流通している現金(紙幣と硬貨)がデジタル通貨にとって代わられる時代はいつか来るだろう。しかし特に日本においては現時点で課題は多く、実現するのは当分先になるのではないかと筆者はみている。主要国の最新の現金流通状況やキャッシュレス化の進展を踏まえて、CBDCの先行きについて考えてみよう。

現金離れ進むスウェーデン

主要国のなかでキャッシュレス化が進み、現金流通高が顕著に減っているのはスウェーデンである。主要国の現金流通高の推移をまとめた下のグラフをみると、スウェーデンは19年末時点で10年前に比べ4割以上も減っている。筆者が昨年秋にストックホルムを訪れた際は「現金お断り」の店が多く、小売店やレストランで圧倒的に利用されていたのは非接触式デビットカードだった。

日本円換算で数千円以内なら端末に「ピッ」とかざすだけで暗証番号なしで瞬時に決済が完了するため、高齢者にも比較的利用されやすい。携帯端末を使う決済サービス「Swish(スウィッシュ)」は携帯電話番号と銀行口座をひも付けており、個人間送金などで盛んに利用されている。これら電子マネーの浸透によって「前回現金を触ったのは何年前だったかなあ」などと話す人がスウェーデンでは少なくない。

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