最強プレーヤー絶賛のクイズは? 日経イチグラ個人賞
日経1問グランプリ 徳久賞、廣海賞、水津賞
全国の学生サークルなどのクイズ団体がとっておきの1問を競う「日経1問グランプリ」(略称日経イチグラ)。24日に発表した団体賞の日経賞とQuizKnock賞に続き、個人賞を発表します。
審査員は、著名クイズプレーヤーである徳久倫康氏、廣海渉氏、水津康夫氏の3氏。問題の着眼点や切り口、構成などについて、それぞれの観点から優秀な作品を選んでもらいました。
徳久賞は、問題の中に意外なつながりを忍ばせた仙台二高クイズ研究会に決定。廣海賞は、クイズの裏にあるテーマ設定が秀逸だったMQC(一橋大学クイズ研究会現役・OB・OGサークルに。水津賞は、解答者の立場を考慮した素直な問題づくりが評価された信州のクイズサークル(SQL)に決まりました。
多様なクイズ文化を尊ぶという「日経クイズのとびら」のコンセプトに基づき、各賞の間に序列はありません。
本来は3月20日開催の全日本クイズリーグ(AQL)大会の会場で受賞作の発表と表彰式を行う予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で取りやめとなり、U22上でのお知らせとなりました。
徳久倫康賞 仙台二高クイズ研究会
団体紹介 仙台二高クイズ研究会は週3~4日活動しています。問題集の読み込みを主に行っていますが、部員による部内杯も開催されています。
廣海渉賞 MQC(一橋大学クイズ研究会現役・OB・OGサークル)
団体紹介 「MQC」は、一橋大学クイズ研究会の現役・OB・OGからなるサークルです。メンバーの交流を目的として「みんなのクイズサークル」の略で名づけられました。年に1回のサークル内最強決定戦MOMの開催や、AQLや天などへの参加など積極的に活動しています。
水津康夫賞 信州のクイズサークル(SQL)
団体紹介 「SQL」は、信州松本を拠点に、2008年から活動するクイズサークルです。県内各地から毎回10名前後の参加者で、1~2カ月に1回のペースで活動を続けています。メンバーは社会人中心ですが、近隣の学生など、誰でも出入り自由なゆるい雰囲気で、ゲスト参加も歓迎しています。
各賞への講評はこちら
徳久倫康賞 仙台二高クイズ研究会への講評
腕によりをかけた問題ばかりで楽しめました。よそ行きでいかにも「日経向き」な問題ばかりだったらどうしようと危惧していましたが、素材から調理法まで多様で、全国津々浦々、幅広い年代の方々からご応募いただいたのもよかったです。
名刺代わりのご当地問題も多く勉強になりましたが、郷土自慢クイズグランプリではないので、純粋に1問ごとの価値で判断しました。
仙台二高クイズ研究会の作品は、「ポムポムプリン」というファンシーなキャラクターと、「イメルダ・マルコス」という、存命だがもはや近現代史上の人物(しかもけっこう渋い悪役)と言ってもよい人を、意外な共通点で結びつける意欲作で、受け手に与える驚きや情報量などどれをとっても一級品。
惜しかったのは駿東クイズスクエアの「マティス法」で、これはとにかく題材が良い。胸を打たれました。問題文がもう少し洗練されていればこちらを選んだかもしれません。
言葉遊び系では国立クイズ愛好会の「猫ちぐら」がいいですね。遊び心と出題価値を両立させているのが好印象です。(徳久倫康)
これまで寄せられたクイズは、U22のクイズ専用ツイッターアカウント(@nikkeiquiz)で確認できます。
競技クイズ大会の年間勝利数ベースで「競技クイズ界最強」と呼ばれる強豪プレーヤー(2019年は優勝16回、うち個人15回、団体1回)。東京都立日比谷高校、早稲田大学文化構想学部卒。高校・大学を通じて、クイズ研究会に籍を置かず、アーケードゲーム機『クイズマジックアカデミー』を入り口に実力を蓄えた。2018年に『Knock Out~競技クイズ日本一決定戦~』(ファミリー劇場)の第3回大会で優勝。
廣海渉賞 MQC(一橋大学クイズ研究会現役・OB・OGサークル)への講評
思った以上に素晴らしい問題が多くて、正直迷いました。いくつかよかったポイントを挙げさせてください。
まず、MQCさんの問題文は作りがきれいで、聞いていてあるいは読んでいて違和感がありませんでした。
初心者の人が作問するとき、問題文にいろんな情報を入れてしまったり、言い回しがわかりにくかったりと、「廃棄率が高い問題」を作ってしまいがちです。今回の問題のように、短い問題文に効率的に必要な情報が入っている「廃棄率が低い問題文」はお手本にすべきかなと思いました。
また、「廃棄率」という、あまり成文化されなかった問題を上手に成文化した点もよかったです。最近流行りの「クイズにあまり出ない問題を成文化する試み」が上手くできたのかなとも感じました。
そして、一番いいなと思ったのが、「ナスは花を無駄にせず実をつけ、実自体も無駄にならないエコな野菜です」という、裏テーマの存在でした。1問1問がスピーディに消費されていく通常の早押しではスルーされそうな裏テーマを読んでもらえるイチグラの強みを実感しました。
いい問題がたくさんあって正直非常に迷いましたが、この強みを最大限にいかしたMQCさんに初代廣海賞をあげたいなと思います。おめでとうございます!(廣海渉)
医師(放射線科)。灘中学・高校、京都大学医学部卒。『頭脳王』(日本テレビ系)で準優勝2回。番組での別名は「京大出身の最強クイズドクター」。『Qさま!!』『東大王』など、テレビ出演多数。2018年に『KNOCK OUT~競技クイズ日本一決定戦~』の第2回大会で準優勝。最大規模のフルオープン大会「勝抜杯」で17年に優勝。京都大学クイズ研究会OB。
水津康夫賞 信州のクイズサークル(SQL)への講評
早押しクイズは解答者を惑わせず、スムーズに正解へ導くのが最大の使命。余計な枝分かれは、かえって落とし穴になってしまいがちだ。その点からみて、ほぼ一本道で正解ワードに向かう、本問のストレートなこしらえが好ましく映った。段階的にヒントが示される構成も丁寧に練られている。歴史と科学の両方がヒント要素として織り込まれていて、幅広い知見を試す構成になっている点も好ましい。
神事を執り行う八剱神社(やつるぎじんじゃ)の名前を前半に織り込むというアレンジもあり得るだろう。早押し用の作問にあたって、文章をこねくりまわすと、ろくなことにならない。「答えてもらってナンボ」だから、本問のような「解答者ファースト」の姿勢で、素直な作問を心がけてほしい。(水津康夫)
知識の奥深さで別格扱いの伝説的クイズマニア。『水津康夫のクイズ全書』をはじめとする一連の著書は「水津本」と呼ばれ、難問ファンの間でバイブル的な存在。『ギミア・ぶれいく 史上最強のクイズ王決定戦』(TBS系)で4回優勝、2回準優勝。『パネルクイズ アタック25』(テレビ朝日系)初の年間チャンピオン。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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