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佐々木蔵之介 ふらっと出た旅で出合った薩摩切子

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NIKKEI STYLE

『嘘八百 京町ロワイヤル』『記憶屋 あなたを忘れない』と2本の映画が公開中。大河ドラマ『麒麟がくる』と『知らなくていいコト』と2本のドラマにも出演し八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍を見せる佐々木蔵之介さん。50代に入った人気俳優が語ってくれたのは、「2、3日休みがあれば出かける」という旅の思い出の品々だった。

旅先の鹿児島で一目ぼれした「薩摩切子」

「僕は正直に言うと、モノにこだわりがないんです。時計にこだわっているとか、何かを集めているとか、そういうことがない。ただ……1個挙げるとすれば、薩摩切子かな。

10年くらい前に、急に休みができて、気分転換にどっか行こうと思ったんですよ。僕はよく東京駅に行ってからどこ行くか決めて旅行に行くことがあるんですけど、そのときは羽田空港に行って、行くところを決めようと思って。最初は八丈島とか、島がいいかなと思ったんです。でも『ひょっとして、天候が悪くなって帰れないといけないな』と考えて、陸路で帰れるなるべく遠い場所にしよう、と。それで選んだのが、鹿児島でした。1泊2日、ホテルを押さえて飛行機に乗りました。

事務所の会長が鹿児島出身なので、一応連絡したところ、ちょうど鹿児島の実家に戻られていて『せっかくやから、来い』と(笑)。お宅にお邪魔して、お酒飲んで、いろいろ話してたら、『もうホテルはキャンセルして、ここに泊まれ』と。『いやぁ、今からキャンセルなんてできないけど……まあまあ、泊めさせてもらいます』と言って、結局、一泊させてもらったんです。その翌日、何かお土産買おうと思って探して出合ったのが、薩摩切子でした」

薩摩切子は、鮮やかな色と繊細な切子模様が特徴のガラス工芸品だ。江戸時代、島津家28代当主・島津斉彬が海外との交易品として育てたものの、死後に生産が中止。それを1980年代、島津家の末裔(まつえい)である鹿児島の島津興業が復元し、今では鹿児島を代表する工芸品として知られる。

「見た瞬間、『ああ、キレイだなあ!』と思いまして。薩摩切子にも、いろんな色があるんです。黄色とか青とか赤とか、紫もあって。なかでも紫が一番出にくいから、値段が高いんだそうです。『せっかくなら紫を買おう』と思って、買って帰りました。

これがね、何用のものかわからないんですよ(笑)。高さは10センチくらいかな。茶器でもないし、いかにもなグラスでもない。いまだに『何用なんだ?』という感じ(笑)。それに日本酒とかを入れて飲んでいます。近々、もう一回鹿児島に行くんですよ。ちょっとまた、見てみようかな」

陶芸品も人も、ゆがみが「個性」になる

1月31日から公開中の出演映画は、2018年に公開されてヒットした「嘘八百」の続編となる「嘘八百 京町ロワイヤル」。佐々木さんは、うだつの上がらない腕利き陶芸家・野田佐輔を演じ、同じくくすぶり続ける口八丁の古物商・小池則夫(中井貴一)とともに「お宝」をめぐって大騒動を起こす。

「前作の撮影は16日間。寒い中、短期間で撮りきって、無事に公開されただけでも『良かったなぁ』という感じだったんです。だから続編ができるなんて、誰一人思ってなくて。続編の話を聞いたときは、『あの苦しい思いを、またするのか』というのが正直な僕らの気持ちでした(笑)。

今回も作陶シーンがありますが、明らかに前作よりも難易度が上がりましたね。監督が工房の隅にあった『蹴ろくろ(けろくろ)』を見つけて、使うことになったんですよ。これが文字通り、足で蹴ってろくろを回すので、なかなか難しい。ガーッと蹴り続けながら、指先に集中しなきゃいけないんですよ。稽古に行った次の日は、体中が筋肉痛になってました」

今回の「お宝」は、千利休の茶の湯の継承者で、歪(ゆが)みや傷に美を見いだした武将茶人・古田織部の幻の茶器。野田は試行錯誤しながらその偽物作りに挑み、悪徳古美術商らに一泡吹かせようとする。

「(中井)貴一さんがこの作品に入る前に、古田織部のお茶わんを持っている方にお会いして、本物を触らせてもらったんですって。そのときに『ああ……』と納得がいったと。形は歪んでいるけれども、それは適当に歪ませたんじゃなくて、実は機能性を持たせつつ歪んでいる。だから『手にぴったりきた』と。

人間も、歪んでいるからいいんじゃないですかね。歪みもまた、個性。今はみんな寛容じゃないところがありますから、歪んでいたり傷ついたりしていても、ちゃんと許してほしいなと思いますね。

貴一さんが『歪んでなきゃ、役者の仕事なんてできないよ。いろんな人を演じるんだから、まっすぐじゃできない』と言われたんですけど、本当にそう。まっすぐでキレイな人は、なかなかいない。僕も歪んでいて、台本でセリフに誤字脱字を見つけると、『このまま言ってやろう』とか思いますからね(笑)。まあ、それは極端な例ですけど。『このセリフを何とか笑えるようにできないか』『もっと違う読み方ができないか』と考えられるのも、歪みがあるから。そうやって角度を変えて考えて、答えを見つけたときに喜びを感じます」

旅に持っていくモノは「台本」

今や主演・助演を問わない活躍で映画やドラマになくてはならない存在だが、その出発点は舞台。90年代は劇団「惑星ピスタチオ」の看板俳優として活躍し、肉体一つで宇宙からミクロの世界まで表現する「パワーマイム」で人気を博した。

「あの10年間があったから、『個性的な役者』というふうに見てくれている方もいると思います。そう考えると、体を使ってバカやって良かったなあと思いますね。バカだけじゃなく、真剣にやってたんですけどね(笑)。

今も年1本は舞台をやるようにしていて、今年は5月にパルコ劇場でやります。体もだいぶ衰えてきたので、しんどいんですけど。でも、お客さんに良いものを見せたいので、体のメンテナンスには気をつけています。楽屋にもストレッチポールを持っていったり、加湿器をわざわざ持っていったりとか。まあでも、それはみなさんと変わらないと思います」

仕事の合間のリフレッシュとなっているのが、一人旅だ。これまで40カ国以上を旅してきた。

「旅の魅力は、不自由なところ。日本だと何とかなりますけど、国外に出れば、自分の常識が通じないんです。料理を注文したら想像していたのと全然違うものが来たり、『こんなに1人で食べられないよ』という量が出てきたりする(笑)。でも不自由だからこそ、いろんな発見がある。海外では誰も僕のことを知らないから、普通に対応してもらえるのもいいですね。仕事のことを忘れて、リセットできます。

とはいえ、休み明けには仕事があるから、台本は常に持っていきます。ホンマは持っていきたくないですけど(笑)。自宅でセリフを覚えようとするとダラダラしてしまうので、環境を変えるために旅に出ているところもありますね。

長い休暇が欲しい

この前は、ポルトガルに行ったんですよ。モザイク模様や魚が描かれていたりする石畳がキレイでしたね。陶器にも引かれるものがあって、白地に青の模様が入ったプレートを買って帰りました。普段、海外で割れ物は買わないんですけどね。

そのプレートがまた、何用なのか、使い方がわからへん(笑)。玄関で上に小物を置いてます。そんなふうに、旅の思い出に何か買うことは多いかもしれないですね。それをたまに見て、『あそこ、行ったなあ』と懐かしく思うことはあります。

冬だから、次はもっと寒いところに行こうかなぁ。流氷もいいですよね。僕、流氷は見に行ったことがあるんですよ。テレビで『北海道に流氷がやってくる』というニュースを見て、そのまま翌日、飛行機に乗って網走に(笑)。

いや~、良かったですよ! 海のそばのホテルなのに、朝起きたら波の音がしないんです。窓の外を見たら一面流氷で、氷の上に、キツネが歩いた足跡があったりして。

今、欲しいものは、長期休暇。でしょう? この流れで言うとね(笑)」

佐々木蔵之介
 1968年生まれ、京都府出身。90~98年まで劇団「惑星ピスタチオ」の看板俳優として活動。2000年にNHK連続テレビ小説『オードリー』で注目されて以降、ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。05年には演劇ユニット「Team 申」を立ち上げ、プロデュース公演も行う。主な出演映画に『間宮兄弟』(06年)、『アフタースクール』(08年)、『空母いぶき』(19年)など。『超高速!参勤交代』(14年)で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。出演ドラマに『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』(18年)、『シャーロック』(19年)などがある。

『嘘八百 京町ロワイヤル』

さえない目利き古物商・小池則夫と、くすぶったままの腕利き陶芸家・野田佐輔。ある日、2人は「だまし取られた父の形見の器を探している」と話す京美人と出会う。その器は、千利休の弟子で「天下一」と称された古田織部の幻の茶器【はたかけ】だった。京美人の思いにほだされ、人助けに乗り出した2人は、悪徳古美術商や国家機関を相手取り、嘘八百の大勝負を仕掛ける。監督・武正晴 脚本・今井雅子、足立紳 出演・中井貴一、佐々木蔵之介、広末涼子、友近、森川葵、山田裕貴、坂田利夫、前野朋哉、木下ほうか、塚地武雅、竜雷太、加藤雅也 1月31日(金)全国ロードショー

(文 泊貴洋、写真 藤本和史)

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