佐藤健さん 自分の言葉でスタッフ・共演者を魅了

希望の言葉で信頼を勝ち取る

それはドラマの現場だけでなく、一般的なビジネスシーンでも言えることでしょう。

言葉は心身のエネルギーの源です。言葉を変えることで心が変わり、思考が変わり、行動も変わります。行動が変われば周囲からの評価も変わります。先輩の立場であれば後輩からの信頼を得ることにつながるでしょうし、部下の立場であれば、上司からの期待を得ることになるでしょう。

周囲を見渡せば気づくかと思いますが、信頼を得ている人は、周囲をリスペクトする言葉を投げかけ、期待や希望の言葉を口にしますが、怠ける人は周囲に対して不満や愚痴を口にしがちです。

よく政治やビジネスの世界で、「失言」が問題になりますが、セクハラ発言やパワハラ発言も、軽んじて放たれた言葉が全ての源であり、他人との関係性を築く礎であることを軽く捉えすぎているからこそ生じてしまうのではないでしょうか。その基本に気づかずにいると、軽率な発言でした……では済まされない問題へ発展してしまいます。

言葉がその人の思考や行動へとつながり、それが周囲との関係性を築きあげるからです。

自分の言葉を持つ佐藤さんは、17年公開の映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞した後、この映画の大ヒット記念舞台挨拶に登壇した際に、次のようなコメントを残しています。

「役者の力っていうのはものすごくちっぽけなものだと思っていて、どんな作品にあたり、どんなクリエイターの方にあたるか。今回の(日本アカデミー賞)受賞は瀬々敬久監督のおかげだなと思っています。(同時に受賞した土屋太鳳さんは)賞を取っても何も驚かないような力を持っている女優さんだと思っていたので、いい出会いさえあれば賞を狙える女優だと思っていました」と、やはり周囲を自分の言葉でたたえていました。

言葉で築く周囲との関係性

自分の言葉で伝えるという行為は、ともすると主観的になりすぎ、伝わりにくくなっったり、独りよがりになったりするものですが、佐藤さんのように共感を得られるメッセージを自分自身の言葉で伝えられる仕事人は、上下関係を含めた周囲との間で、良好な関係性を築くことができるようになります。

自分の言葉を持つためには、まずは自分自身が努力を積み重ねていく過程で、実感や体感したことを言葉で蓄積していく必要があります。

佐藤さん自身の言葉で賛辞を贈られた土屋さんも、「佐藤健さんは本当に私にとっては最高の役者さんであり、師匠。こんなに才能があるのに努力し続けるなんて、本当に素晴らしい方」と、努力し続けている佐藤さんの姿勢を評していました。

20年は夏に『るろうに剣心 最終章』が公開予定となっています。普通の青年役とは違い、かなりハードなシーンの連続となる佐藤さんの華麗で迫力あふれるアクション技が今から楽しみですが、同時に、公開に合わせて佐藤さんが放つ言葉にも注目しながら、自分の言葉を持つ大切さを意識していきたいものです。

鈴木ともみ
経済キャスター、ファイナンシャル・プランナー。日本記者クラブ会員。多様性キャリア研究所副所長。テレビ、ラジオ、各種シンポジウムへの出演のほか、雑誌やWeb(ニュースサイト)にてコラムを連載。主な著書に『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。株式市況番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重TV・ストックボイス)キャスターとしても活動中。近著に「資産寿命を延ばす逆算力」(シャスタインターナショナル)がある。
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