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恐竜を絶滅させた隕石衝突 温暖化緩和に貢献?

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ナショナルジオグラフィック日本版

今から6600万年前、巨大な隕石が地球に衝突し、世界は死に覆われた。隕石の落下地点は現在のユカタン半島近く、直径約180キロメートルの巨大なクレーターができた。衝突により5万立方キロメートル以上の物質が大気中に散らばり、「核の冬」のような状態が数十年続き、海は酸性化した。

世界を覆っていた死のとばりが上がったとき、ほとんどの恐竜を含め、地球上の全生物種の4分の3が絶滅していた。

だが2020年1月17日付けで学術誌「サイエンス」に発表された論文によると、この出来事は悪いことばかりではなかったらしい。白亜紀末の隕石衝突による大量絶滅のおかげで、同じ時期に起きた火山噴火によるダメージを和らげられた可能性があるという。

論文を発表したのは36人の研究者からなる国際共同研究チーム。当時、現在のインドにあたる地域のデカン・トラップという溶岩台地から、火山噴火に伴って膨大な量の温室効果ガスが放出されていた。

大噴火は隕石衝突の40万年前から続いていたことが、これまでの研究で示されている。この火山ガスが大量絶滅の一部に関係していると考える研究者もいる。だが今回の論文では、当時の世界各地の気温を新たに見積もった結果、火山噴火が非鳥類型恐竜の絶滅をもたらした可能性は低いとしている。

さらに、火山噴火は大量絶滅後30万年にわたり続いたが、海がそのガスの一部を吸収してくれるようになったおかげで、地球温暖化が緩和されたという。それがなければ地球はもっと温暖化し、初期の哺乳類をはじめ、衝突を生き延びた多くの生物を脅かしていたかもしれない。

プランクトン化石が教えてくれた

海底から採取した堆積物を調べると、石灰質の殻をもつプランクトンが突然消滅する時期と、隕石衝突の証拠である微小なガラス粒の層が出現する時期は同時であることが多いと、論文の著者である米エール大学の古海洋学者ピンチェリ・ハル氏は説明する。

「プランクトンは、隕石の衝突による影響を最も大きく受けたようです。衝突時に放出された硫黄と亜酸化窒素が海を酸性化し、プランクトンの殻を溶かしたのだろうと、私たちは考えています」とハル氏は話す。ちょうど、お酢の中にチョークを入れるようなものだ(チョークは石灰質でできている)。もっとも、海はお酢ほど酸性度が高かったわけではないため、プランクトンの殻はゆっくりと溶けたはずで、発泡したりはしなかっただろう。

「海底から採取したサンプル中の細かい泥には、歯磨き粉のような粘りけがあります」とハル氏は言う。「陸上で見られる泥は岩石が細かくなったものですが、この泥は、石灰質の殻をもつプランクトンが死んで海底に降り積もった微化石でできているのです」

海底堆積物のさまざまな層に埋もれたプランクトンを特定するだけでも、当時の海の気候を推測できる。ある種のプランクトンが見つかると「北極でヤシの木を発見することに相当する」意味があるとハル氏は言う。

だがプランクトンの殻の化学組成には、さらに多くの情報が含まれている。

なぜなら、プランクトンの殻に取り込まれた炭素や酸素の同位体によって、当時の海水温を読み解くことができるからだ。研究者たちは、世界各地の深海から採取した泥のデータを組み合わせることで、数十万年間の地球の温度変化を再構成することができた。

巨大噴火は絶滅の原因になったのか

研究チームはこうして、現代を含むさまざまな時期の地球の温度変化と炭素循環の関係を示すコンピューターモデルを構築した。

このモデルは、ある40年来の論争について考えるのに役に立つ。それは、火山活動の時期に関する議論であり、2019年2月に同じく「サイエンス」に発表された2本の論文によって再び火がついた。

特に支持されているシナリオは2つ。1つは、デカン・トラップから放出された温室効果ガスの量は、白亜紀末の大量絶滅の20万~35万年前が最も多かったとする説。もう1つは、大量絶滅の前と後に、それぞれ同じくらいの量が放出されていたとする説である。後者の可能性は、米フロリダ大学の地質年代学者コートニー・スプレイン氏らの19年2月の論文によって初めて示された。

スプレイン氏は、「今回の論文は私たちの発見を裏付けており、非常に興奮しています」と話す。

スプレイン氏の論文ともう一方の論文には似た点も多いが、大きな違いは、後者が大量絶滅の直前の10万年間に激しい火山活動が起きたと提唱している点だ。そうだとすると、この火山活動が環境を破壊し、隕石衝突と相まって大量絶滅を引き起こした可能性がある。

けれどもこのシナリオは、今回のコンピューターモデルでは支持されない。今回のモデルでは、巨大隕石が衝突する直前の地球の気温は低かったと計算されたからだ。

大量絶滅が温暖化を抑制した?

巨大隕石の衝突前後の温暖化の様子を見ると、大量絶滅の約20万年前に約2℃の温暖化が起きているのがわかる。もう1つ、それよりはるかに小規模な温暖化が、大量絶滅の約20万年後に起きた。

衝突後の温暖化の規模が小さかったからといって、デカン・トラップの噴火で放出されたガスの量が少なかったことにはならないと、新しいモデルの共同作成者であるエール大学の地質化学者ドナルド・ペンマン氏は指摘する。それについて、氏はもっと興味深い説明ができるかもしれないと言う。

「石灰質の殻をつくるプランクトンのほとんどが絶滅したあと、その殻に使われるはずだった化合物が海に蓄積したことで、海は火山から放出された二酸化炭素をより多く吸収できるようになり、地球温暖化が抑えられたのではないかとモデルからは考えられます」

隕石衝突後のプランクトンの組成は大きく変化しているように見え、それが炭素の吸収に影響した可能性があることは、英ブリストル大学の微古生物学者ヘザー・バーチ氏も同意する。ただし、「化石化するのはプランクトンのごく一部なので、大量の二酸化炭素がどのように吸収されたかを知るためには、さらなる研究が必要です」とも釘をさす。なお氏はこのモデルの作成には関与していない。

現在、人間の活動に起因する二酸化炭素濃度の上昇により、海は再び酸性化しつつある。石灰質の殻をもつプランクトンの大量絶滅が再び起きて、私たちを最悪の気候変動から救ってくれたりするのだろうか?

それを当てにしてはいけないとハル氏は言う。白亜紀の終わりにプランクトンが死滅したあと、海が二酸化炭素の吸収量を増やしはじめるまで、気温は何千年間も上昇を続けたのだ。人間社会のタイムスケールを考えれば、そんなに気長に待っていられないことは明らかだ。

(文 Tim Vernimmen、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年1月21日付]

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