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異色のダブルシェフ 個性かけあうイタリアンの魅力

1月のコースの一品「鰆(さわら)と西洋ネギのカラブレーゼ」 カラブレーゼとは「カラブリア(州)風」の意味。料理には同州名物のンドゥイヤ(トウガラシが入ったペースト状のサラミ)を使ったピリ辛ソースが添えられている

カナダで料理を2年学んだ後帰国。門をたたいたのは老舗フレンチ「シェ・イノ」だった。親に送ってもらった雑誌を読み込み、「一流の店で働きたい」と選んだ3店のうちの一つだ。いずれもフレンチの名店だったが、最初にOKの返事が来た同店に迷いなく飛び込んだ。雑務からのスタートだったが、店に入って2カ月目でフランス人のシェフパティシエのアシスタントとして働くことに。

「菓子のことは全く分からず、足手まといもいいところ」と振り返るが、懸命に働き3年でフランス菓子をしっかり学んだという。「シェフパティシエが食材とか街並みとか、フランスのいいところをとてもよく話してくれて。聞けば聞くほどこの目で見なきゃ、体感しなきゃと思って、フランス行きを決意しました。あの時期があったから、今の自分がいるんだと思います」(弓削さん)

1月ランチコースの一品「トルテッリ イン ブロード 牛肉のリピエノとビーツ」。トルテッリとは詰め物入りパスタのこと。牛のラグーが詰まったパスタが浮かぶスープには、干しブドウのバルサミコ漬けやビーツ、松の実がのぞき変化のある味わい

フランスでの修業先選びも、「シェ・イノ」の時と同様。フランス料理の一番いい店を見たいと、ミシュラン三つ星の店12軒に手紙を出し、OKの返事がきた2軒のうち最初の1軒、パリの「ギー・サヴォワ」の一員に加わった。「お店では、一流ってこういうことなんだということを実感できました。調理人、食材はもちろんですが、ロッカールームでぼうっとしたようなサービスマンでも、営業中は自分で超一流のサービスマンの姿をイメージして最大限の『演技』をしている。仕事に携わるプライドを持っているんです」(弓削さん)

こうしてフランス料理の「王道」を歩んできた弓削さんだが、フランスから帰国後は一転、イタリア料理の世界に足を踏み入れることになる。「働きたいと思っていたフレンチレストランが一時休業中だったので、ほかに行くならイタリアンを学んでみようかと思って」

1月のコースの一品「そば粉のクレスペッレ ウサギとビエトラ」。ビエトラは、最近日本でも人気が高まっているフダン草のこと。パリッとしたクレスペッレ(クレープ)が軟らかなウサギ肉を包む

2011年、「SALONE2007」の属するイタリアンレストラングループ、サローネグループに入社。少し学ぶつもりが、入社2年目には同グループの大阪初の店「QUINTOCANTO(クイントカント)」の初代シェフを務めることになり、その後現在のポジションに就いた。「パスタなどは、本当に全く知らない料理で、この州にはこんなパスタがあるんだといった、ごく初歩から勉強しました。パスタは突き詰めがいがある。例えば、お菓子を作っているような感覚で、手打ちパスタ作りから最後の仕上げまで一貫してやれる面白みがあるんです」(弓削さん)

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