8歳で年収28億円――。こんなニュースが2019年末、世界を駆け巡りました。米フォーブス誌が発表した同年の「最も稼ぐユーチューバー」のトップに米国の少年、ライアン・カジ君が選ばれたのです。
ユーチューバーとは、インターネットサイト「ユーチューブ」に動画を投稿し、広告などで稼ぐ人を指します。カジ君はおもちゃを紹介する動画などを配信し、2年連続で世界のユーチューバートップとなりました。
フォーブスの上位10人のランキングを見ると気づくことがあります。子ども向け動画が上位を席巻しているのです。3位は5歳で、子どもが好むゲーム関連の番組を扱うユーチューバーも5人ほど入っています。
「子ども番組は視聴度が3倍以上」。米ピュー・リサーチセンターは19年にリポートを発表しました。25万人以上の登録者がいる4万3千チャンネルを分析した結果です。子ども番組は全体に占める数は多くないものの、視聴回数が他の番組より多いことがわかりました。
日本でも子どもの夢にユーチューバーが挙がる中で、悪影響を懸念する人も少なくないようです。米国では、こうした懸念を受け、規制の動きが出始めています。
米連邦取引委員会は19年秋、米グーグルに180億円の制裁金を科すことを発表しました。傘下のユーチューブが子どもの個人情報を集め、広告などが配信されていた実態が、子どものプライバシー保護に違反すると判断したのです。
制裁を受け、ユーチューブも対策を決めました。利用規約を変更し、動画を投稿する際には、子ども向けかどうかの申告が1月から必要になりました。番組内容は人工知能(AI)も使って調べるということです。
ユーチューブは本来「13歳以上が対象」としていますが、実際は年齢を偽って投稿したり、親の端末で見たりできます。今後、子ども番組を見ているユーザーのデータは、年齢に関係なく子どもの個人情報とみなします。それにより、個人の嗜好に合わせた「パーソナライズド広告」を停止します。