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「次の異動先は…」不本意な人事に折れない心の整理法

こちら「メンタル産業医」相談室(39)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

暖かな春の訪れが待ち遠しい2月、皆さまの心と体はお元気でしょうか? こんにちは、精神科医・産業医の奥田弘美です。

さて今回は、「不本意な異動を命じられたとき」をテーマに書いてみたいと思います。

ビジネスパーソンにとって不本意な異動を命じられたときというのは、人生の大きなストレス状態の一つです。当然ながらメンタルを病むリスクが高まります。実際、私自身も産業医・精神科医として、不本意な異動を命じられたことが原因で一時的にメンタル不調になった人と面談をしたことが何度もあります。

彼ら・彼女らは、異口同音に「自分が望んでいなかったのに、異動させられて落胆している」「新しい仕事(部署)は、自分のキャリアプランに合わない」といったことを口にします。なかには「会社に行くのが憂うつで、つらくて涙が出る」といった抑うつ気分や「夜、眠れない」といった不眠症状が出現していることもあります。

医師としてできることは、こうした症状に対しては可能な限り楽になるような医療(薬物療法やカウンセリング)を提案しつつ、本人が何らかの「気持ちの落としどころ」を見つけ、「気持ちの切り替え」ができるように心の整理のサポートをしていくことです。

たとえ不本意な異動であったとしても、心を整理できて、気持ちの落としどころが見つかると、また前を向いて頑張っていける人はたくさんいます。そのためにも、まずは異動という命令が下った事実に対して、自分自身が「そういうことだったら致し方ない」と納得できる理由を見つけることが、気持ちを切り替えていく第一歩となるように思います。

異動の理由を知ることから

不本意な異動を命じられて、もんもんと悩む人のなかには、異動の理由がはっきり認識できていないことが多々あります。その場合は、まずは人事や上司の方に「なぜ自分が異動を命じられたか」の理由を可能な限り尋ねてみることをお勧めします。

私は産業医として人事の方からも話を伺う機会がよくありますが、会社が異動を考えるにはやはりそれなりの理由が存在します。まずすべての異動は、組織にとって最大のパフォーマンスを発揮し利益を上げることを期待して行われています。そのため個人の希望やキャリアプランを優先してもらえないというのは、組織に所属している以上はある程度やむを得ません。

そのあたりを組織人としてしっかり踏まえたうえで、「今回の異動をなぜ命じられたか?」について、冷静に理由を尋ねてみてはいかがでしょうか?

例えば会社側は次のようなポジティブな理由で異動を命じていることはよくあります。

【ポジティブな理由の例】

●一回り大きくなってもらうために、新たなスキルや経験を身に付けてほしい。
●将来、管理職になったときのために支社や支店、工場などの現場を理解してもらいたい。
●○○部長の下で、マネジメント力や交渉能力など現在不足している部分を学び、強化してもらいたい。
●異動先の部署が停滞しているため、新しい視点や考え方を投入して活性化してほしい。

こうした会社の期待や狙いを知ることで、自分が新しい部署で何をすべきか、何を目指すべきかがクリアになり心機一転する人も少なくありません。

また逆に次のようなポジティブではない理由で異動を命じているときもあります。

【ポジティブでない理由の例】

●現在の部署では業績がいまひとつだから、違う部署の方が適性に合って活躍できるかもしれない。
●長期間同じ部署にいるため、仕事ぶりがマンネリ状態になってしまっているようだから、新たな部署で刺激を受けて頑張ってもらいたい。
●本人は気づいていないが、言い方や態度にパワハラ的、イジメ的な傾向がある。または自分勝手な行動(上司の指示に従わないとか、業務中に私用を頻繁に行うなど)があり、部署の人間関係を乱している。
●欠勤や遅刻が多いので、部署のメンバーに迷惑がかかり負担になっている。

ちなみにこうしたポジティブではない理由は、会社側がその事実を本人にしっかりと伝えていない場合も時々あるようです。本人の気持ちを傷つけてはいけない、異動先でのやる気をそいではいけないという配慮もあるようですが、マイナスの要因があった場合はしっかり認識して改善していかないと、また同じことの繰り返しになりかねません。

「何か改善すべきことがあれば改めたいので、ぜひ教えてください」などと、本人から真摯かつ謙虚な態度で尋ねると、きっと人事や上司も親身に答えてくれるはずです。

転職など大きな決断は先延ばしに

さて、マイナス要因であれプラス要因であれ、異動の理由がとりあえず納得できたら、次は新しい部署で頑張るために心の切り替えが必要になってきます。

望んでいない異動を命じられた本人にとっては、しばらくは非常につらいものです。新しい部署の人間関係や仕事に慣れるまでの期間は、精神医学的には明らかにストレス状態であり、不本意な異動であればあるほどそのストレス度は高まっています。

中には「こんな異動には耐えられない」と、会社に辞表を提出してしまい、性急に転職活動を始めようとする人もいますが、精神科医としては基本的にはお勧めしません。なぜならばストレスの渦中にあるときに重要な決断や行動をすると、勘が鈍っているため判断ミスを起こしやすいからです。

精神医学では「心身がストレス状態にあるときに、人生を左右する大きな決断はしてはいけない」というのは基本中の基本セオリーです。

焦って転職した先が、より悪い条件の会社だったということもありますし、何よりも前向きな雰囲気を漂わせていない人は面接をパスできないことも多いため、求職期間が予想より長引いてしまい、より精神状態が悪化してしまうこともあり得ます。

異動した先で過労死ラインを超えるような残業が常態化しているとか、心身を病むレベルのパワハラが横行しているといったブラック職場である場合は、早急に逃げ出すべきですが、そうでない場合はネガティブな心境で焦って転職活動しても良い結果は出にくいことが多いのです。

そこで異動したのちにまず必要なのは、数カ月間は睡眠と栄養のある食事をしっかりとって体のコンディションを整えることです。慣れない環境、人間関係のストレスで異動当初の2~3カ月は自分が思った以上に体が疲労するため、6時間以上の睡眠をしっかりとって、たんぱく質やビタミン・ミネラルが豊富な食事をしっかりとって体のケアにまず集中してください。ついやってしまいがちな深酒は慎んで、過度なダイエットは一度休止して、とにかく疲労改善に集中します。

体の疲労が回復しエネルギーが十分に戻れば戻るほど、メンタル面でもパワーが出てきますので、新しいアイデアや発想が湧きやすくなってきます。また視点も広がるため、いやだいやだと思っていた異動先の仕事の中にも、意外な面白さや興味が見つかる可能性もあります。

このように心身のケアをしっかりしつつ半年ほどはしっかりと熟慮し、その末に転職を決意するのであれば行動を冷静に起こしていけばよいですし、さらに異動先で様子を見ようと判断するのも大いにアリだと思います。

期限を決めて頑張ってみる

例えばどのような異動先であっても、新しい学びや経験は積めるはずですので、「まずは1年間はこの部署で与えられた仕事をきっちりとやって、一通りのことはできるようになってみよう」と、「1年間だけ」など期限を決めて腹をくくって頑張ってみるのもお勧めです。

以前別件で面談した某メーカーの管理職の男性は、「異動を命じられたときはまったく興味のない分野の仕事で落ち込んだけれど、自分のキャリアの引き出しを増やすために、まずはこの部署の仕事を一人でできるレベルまでマスターしてみよう」と気持ちを切り替え、「2年間だけ頑張る」と期限を決めたそうです。その結果、想定以上に業績が上がって上司に認められ、その分野の仕事がどんどん好きになったと語っていました。

逆に期限を決めて頑張ってみたがどうしてもその部署の仕事になじめない、好きになれないという場合は、会社へは異動願いを出し続けながら「生活のためにと割り切って与えられた仕事を最小限のエネルギーで淡々とやっていこう」と心を切り替えてみるのもよいと思います。そして余ったエネルギーを使って、アフターファイブにキャリアアップの勉強にいそしんだり、地道に落ち着いて転職活動を行っていく。そうやっているうちに会社の状況が変わって新たな異動を命じられて心機一転して活躍し始める人もいましたし、新しい会社と縁ができてステップアップの転職がかなう人もいました。

ともかく異動は人生の大きな転機の一つであるため、まずは焦らずじっくりと心を整理したうえで、人生のプラスに転換できるように心を切り替えることが大切だと思います。

一人で心を切り替えにくい場合は、キャリアカウンセラーや心理カウンセラーを活用して話し相手になってもらってもいいでしょう。また異動のショックで睡眠が十分にとれない、憂うつな気分がどうしても払拭できず仕事に行くのがつらいという場合は、精神科や心療内科で相談されて心身の立て直しを図るのも一策です。

心身のエネルギーを整えて前向きに心の切り替えができたのちに、新たな行動をスタートされるときっとうまくいくはずです。

奥田弘美
精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント。1992年山口大学医学部卒。精神科医および都内約20カ所の産業医として働く人を心と身体の両面からサポートしている。著書には『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)、『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想(めいそう)の普及も行っている。

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