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子どもの風邪、受診の目安は? 薬の頼りすぎは禁物

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

風邪、インフルエンザ、新型肺炎…と、感染症が流行するこの季節、子どもが頻繁に熱を出したり、夜中にひどい咳(せき)で目を覚ましたりすると、親にとっては不安なもの。しかし、風邪の場合、必ずしもすぐに薬や医療機関への受診が必要というわけではない。どんなときに様子を見て、どんなときに受診したらいいのか、風邪のような症状のときの受診の目安や子どもの風邪の対処法について、国立成育医療研究センター生体防御系内科部感染症科診療部長の宮入烈さんに聞いた。

風邪の原因微生物の多くはウイルス

日ごろ、発熱やだるさなど何らかの体調不良を感じると真っ先に「風邪かな?」と考えるように、「風邪」は一般的な用語で、さまざまな意味で用いられることがある。

「医師が『風邪』と言った場合には、原則としてウイルスによる感染症を指しますが、初期には溶血性連鎖球菌(溶連菌)やマイコプラズマなどの細菌による感染症や胃腸炎とも区別がつきにくいので、こうしたものも含めて一般的に『風邪症候群』とも呼ばれています」と宮入さんは言う。

風邪症候群の原因微生物の約9割はウイルスであり、RSウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルスなど100~200種類あるといわれる。同じウイルスでもいくつもの型がある。これらのウイルスが粘膜から感染して炎症を起こすため、鼻水・鼻づまり、喉の痛みといった気道症状のほか、発熱、頭痛、筋肉痛、食欲不振、下痢、嘔吐(おうと)など多様な症状を引き起こす。

「ウイルスの種類やかかる人の体質によって、風邪の症状は少しずつ違います。『今年の風邪は喉にくる』『胃腸にくる』などの違いは皆さん経験があるのではないでしょうか。風邪症候群の中でも、鼻、喉、咳の症状が同じくらいあるものを感冒といい、そのほか、鼻、喉、咳のうち強い症状によって、急性鼻副鼻腔炎、急性咽頭(いんとう)炎、急性気管支炎など、いくつかのパターンに分類できます(図1)」(宮入さん)

3歳以下の子どもの場合には、細い気管支に炎症が起こる細気管支炎の場合や、「クループ症候群(急性喉頭[こうとう]炎)」といって、ウイルスが空気の通り道である喉頭に感染することで犬が吠えるような咳が見られることもある。

感冒の場合、多くは喉の痛み、鼻づまり・鼻水で始まって、半日から1日程度の違いで咳やたんも出る。その順で治まってくるが咳は1~2週間続き、だんだん乾いた咳から湿った咳に変わっていくというのが一般的な経過のパターンだ(図2)。熱はウイルスにより違い、2~3日で治まるものもあれば、5日間くらい続くものもある。

薬は風邪を早く治すわけではない

基本的に、風邪は上記のような経過をたどって自然に軽快する。薬を使っても風邪自体を早く治すわけではないという。

「風邪は、体の中で増殖したウイルスに対して免疫が反応し、自然治癒力が働いて治っていく、という経過をたどります。原因に対する治療薬があるのはインフルエンザだけで、他のウイルスに対しては、根本原因に有効な薬はなく、あるのは熱や咳などの症状を和らげる薬だけです。ただ、割合としては少ないものの、そうした薬には副作用や有害事象の可能性もあります。発疹などの軽いものから、命にかかわるような重い副作用も報告されているため、リスクとベネフィットを鑑みて、医師の間でも『積極的には使わない』という考えになってきています。もちろん、高熱が出ているときや、咳が出て眠れないときなどに薬を使って楽になる、症状を和らげるという意味はあります」(宮入さん)

子どもには使用が禁止されている薬もある。咳止め薬に含まれるコデインという成分は、それにより呼吸困難になる疑いがある症例が報告され、欧米で使用制限されたのに基づき、日本でも2019年から全面的に12歳未満の子どもにはコデインを含む咳止め薬は使用が禁忌となった。

「鼻水を止める抗ヒスタミン薬も、かえって呼吸を抑制する 、熱性けいれんを誘発する可能性などのリスクが報告されており、小さな子どもには使いません。咳止め薬に関しても、薬で抑えるのではなく積極的に咳を出させてたんを排出する方がよいという考え方が小児科医の間で一般的になっています。咳止め薬や総合感冒薬に関して米国小児科学会は幼い子ども(目安:4歳未満~6歳未満)に対して処方すべきではないとしていて、日本でも風邪に対して医師が処方できる薬は規制が進んでいくと思われます」(宮入さん)

ちなみに、抗生物質は細菌を殺すものなので、ウイルスには効果がない。抗生物質を使うと耐性菌ができる可能性があるうえ、体の中の常在菌(いわゆる善玉菌)まで殺してしまうため、細菌に対する抵抗力を弱めてしまう。吐き気や下痢、アレルギーなどの副作用が起こることもあり、「風邪にも効きそうだから飲んでおこう」などというのは禁物で、本当に必要な場合以外には抗生物質は使わない方がよい。

子どもを少しでも楽にしてあげようと思うのは親としては当然だが、なるべく薬には頼らず、つらい症状を最小限の量で適切に抑えるものと心得よう。市販の総合感冒薬や咳止め薬も、使うときは子どもに飲ませても大丈夫かどうか薬剤師に確認をしたい。

「一般的に市販の総合感冒薬には、アセトアミノフェンなどの解熱剤と、咳止めの成分、鼻水を止める成分など多種類の成分が少しずつ配合されています。不必要な成分の濃度が高くなると肝臓の負担が増しますし、副作用のリスクも高まりますので、咳がひどい場合は咳止め薬など、困っている症状に合わせた薬を選ぶことをおすすめします」(宮入さん)

子どものときにウイルスに出合うことで免疫を獲得

子どもが頻繁に風邪を引くのは、将来、さまざまな菌やウイルスと闘うための免疫を獲得するという意味もある。

「人は一生に200回くらい風邪を引くといわれますが、生後半年は、胎盤を通して母親からもらった高濃度の抗体に守られているため、ウイルスが侵入しても中和して、あまり風邪を引きません。抗体は1カ月ごとに半減していき、半年でなくなると自分の免疫でウイルスと闘うようになります。ですから生後半年から2歳くらいまでは年に7~8回、頻繁に風邪を引きます。その後は年齢とともに、幼児期になると年に3~4回、中学生くらいになる頃には1~2回と減っていきます」(宮入さん)

子どもの体にとって、体に侵入したウイルスは初めて出合う微生物なので、排除するための免疫ができていない。そのため小さいうちは風邪を引きやすく、鼻水に多量のウイルスが含まれていたり、自分でうまく処理できずに色々なところにくっつけて余計に感染しやすくなったりする。外部との接触が感染経路になるので、自宅で見ている子どもよりも、集団保育の子どもの方が風邪を引きやすいともいわれている。

「小さいうちに風邪に繰り返しかかり『気管支が弱い』といわれているお子さんでも学童期になる頃には他のお子さんと変わりないということが多くの研究で分かっています。また水ぼうそうや麻疹(はしか)など大人になって初めてかかると重くなる感染症も少なくありません。入院するほど具合が悪くなったり、あまりに繰り返したりすると心配ですが、子どもが風邪を引くのは自然なことです」(宮入さん)

どんなときに心配したらいいのか

ただし、風邪と思っていたら別の病気だったり、二次的に重とくな病気を発症したりと、医療機関を受診すべきときもある。宮入さんによると、次のような症状が受診の目安になるという。「ふつうの風邪とは様子が違う」「全体的に具合が悪そうに見える」という感覚がポイント。逆に、熱があっても元気に遊んでいれば、それほど心配する必要はなさそうだ。

【受診の目安となる症状】

●生後3カ月以内に38度以上の発熱がある
●1~2歳までの乳幼児で39度以上の高熱がある
●乳児がミルクを飲まない
●元気がなく、ぐったりしている
●呼吸が速い、息苦しそう
●けいれんを起こした
●手足が冷たく青紫色になっている
●皮膚の色が異常(唇の周りが青ざめている)

「自然経過の途中で、風邪が元になって二次的に中耳炎や鼻副鼻腔炎、肺炎などに移行することもあるので、いったん軽快してきたのに再び悪化するような場合も受診するほうがいいでしょう」(宮入さん)

なお、年齢別に起こしやすい感染症もあるので、症状に注意しよう。

また、年齢にかかわらず、特に注意したい感染症に「髄膜炎」がある。脳を包んでいる髄膜と脳の間に細菌が感染するもので、けいれんを起こしたり、意識を失ったりすることもある。次のような症状が見られる場合、髄膜炎を疑ってすぐに受診する方がよい。

【髄膜炎が疑われる症状】

●ふつうでない強い頭痛や吐き気
●首のこわばり(あごを胸につけることができない)
●明るい光を嫌がる(光がまぶしい)
●意識がおかしい、けいれんを起こした

けいれんは一度でも起こしたら受診を。髄膜炎、脳炎、てんかんなどを除き、高熱が引き金となって引き起こされるけいれんを「熱性けいれん」といい、小さな子どもは風邪や突発性発疹などで「熱性けいれん」を起こすことがある。体質によっては繰り返し熱性けいれんを起こしやすい人もいる。

「熱性けいれんであれば自然に治まることがほとんどですが、髄膜炎などの怖い病気でないことを確かめる必要があるので、けいれんを起こしたらその都度受診してください」(宮入さん)

緊急性があるときは119番に電話して救急車を呼ぶべきだが、どうしたらよいか分からないときは、下記の相談窓口に電話をしてアドバイスを求めよう。

【困ったときの相談窓口】

●厚生労働省「小児救急電話相談」 ♯8000

自宅で様子を見るときはどうすればいい?

では、「自宅で様子を見ていれば大丈夫だろう」という場合に、どのようなことに気をつけたらいいのだろうか。

「まずはしっかり水分補給をして脱水を防ぐことです。乳幼児ならオムツの交換回数が普段より減っていないか留意しましょう。水分だけでなく塩分・糖分をバランスよく補給させ、経口補水液が飲めればそれを使ってもよいと思います。食事はあまりとれなくても2~3日は問題ないので、本人が食べやすいものを食べさせ、ゆっくりと休ませましょう。また、親が健康でなければ世話もできませんから、親自身がうつらないような対策も大事です」(宮入さん)

まずは手洗い、うがい、マスクなどの基本を徹底しよう。そのうえで、風邪を引いている人は入浴の順番を最後にする、手洗い場のタオルを共用せずペーパータオルにするなど、ウイルスにできるだけ接触しないための工夫を実行してみよう。

「マスクは高機能のタイプを鼻の上から顎の下まで覆うように装着し、外すときに表面を触らないように正しく扱えば、予防効果も期待できます」(宮入さん)

子どもを思う親心から、「風邪を引いたら一大事」「すぐに受診して薬をもらう」という感覚を持つ人も多いかもしれない。しかし、「風邪はある程度、必要なもの」「本当にその薬は必要か?」という冷静な感覚も必要だ。知識を持って、賢く対処しよう。

(ライター 塚越小枝子、図版作成 増田真一)

宮入烈さん
国立成育医療研究センター生体防御系内科部統括部感染症科診療部長、感染制御部統括部長、米テネシー大学微生物学免疫学生化学科アシスタントプロフェッサー。1995年慶應義塾大学医学部卒業。専門は小児科学、小児感染症学。医学博士、日本小児科学会専門医、日本感染症学会専門医、米国小児科学会専門医、米国小児感染症学会専門医ICD(インフェクションコントロールドクター)。

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