子どもの風邪、受診の目安は? 薬の頼りすぎは禁物

日経Gooday

どんなときに心配したらいいのか

ただし、風邪と思っていたら別の病気だったり、二次的に重とくな病気を発症したりと、医療機関を受診すべきときもある。宮入さんによると、次のような症状が受診の目安になるという。「ふつうの風邪とは様子が違う」「全体的に具合が悪そうに見える」という感覚がポイント。逆に、熱があっても元気に遊んでいれば、それほど心配する必要はなさそうだ。

【受診の目安となる症状】

●生後3カ月以内に38度以上の発熱がある
●1~2歳までの乳幼児で39度以上の高熱がある
●乳児がミルクを飲まない
●元気がなく、ぐったりしている
●呼吸が速い、息苦しそう
●けいれんを起こした
●手足が冷たく青紫色になっている
●皮膚の色が異常(唇の周りが青ざめている)

「自然経過の途中で、風邪が元になって二次的に中耳炎や鼻副鼻腔炎、肺炎などに移行することもあるので、いったん軽快してきたのに再び悪化するような場合も受診するほうがいいでしょう」(宮入さん)

なお、年齢別に起こしやすい感染症もあるので、症状に注意しよう。

また、年齢にかかわらず、特に注意したい感染症に「髄膜炎」がある。脳を包んでいる髄膜と脳の間に細菌が感染するもので、けいれんを起こしたり、意識を失ったりすることもある。次のような症状が見られる場合、髄膜炎を疑ってすぐに受診する方がよい。

【髄膜炎が疑われる症状】

●ふつうでない強い頭痛や吐き気
●首のこわばり(あごを胸につけることができない)
●明るい光を嫌がる(光がまぶしい)
●意識がおかしい、けいれんを起こした

けいれんは一度でも起こしたら受診を。髄膜炎、脳炎、てんかんなどを除き、高熱が引き金となって引き起こされるけいれんを「熱性けいれん」といい、小さな子どもは風邪や突発性発疹などで「熱性けいれん」を起こすことがある。体質によっては繰り返し熱性けいれんを起こしやすい人もいる。

「熱性けいれんであれば自然に治まることがほとんどですが、髄膜炎などの怖い病気でないことを確かめる必要があるので、けいれんを起こしたらその都度受診してください」(宮入さん)

緊急性があるときは119番に電話して救急車を呼ぶべきだが、どうしたらよいか分からないときは、下記の相談窓口に電話をしてアドバイスを求めよう。

【困ったときの相談窓口】

●厚生労働省「小児救急電話相談」 ♯8000

自宅で様子を見るときはどうすればいい?

では、「自宅で様子を見ていれば大丈夫だろう」という場合に、どのようなことに気をつけたらいいのだろうか。

「まずはしっかり水分補給をして脱水を防ぐことです。乳幼児ならオムツの交換回数が普段より減っていないか留意しましょう。水分だけでなく塩分・糖分をバランスよく補給させ、経口補水液が飲めればそれを使ってもよいと思います。食事はあまりとれなくても2~3日は問題ないので、本人が食べやすいものを食べさせ、ゆっくりと休ませましょう。また、親が健康でなければ世話もできませんから、親自身がうつらないような対策も大事です」(宮入さん)

まずは手洗い、うがい、マスクなどの基本を徹底しよう。そのうえで、風邪を引いている人は入浴の順番を最後にする、手洗い場のタオルを共用せずペーパータオルにするなど、ウイルスにできるだけ接触しないための工夫を実行してみよう。

「マスクは高機能のタイプを鼻の上から顎の下まで覆うように装着し、外すときに表面を触らないように正しく扱えば、予防効果も期待できます」(宮入さん)

子どもを思う親心から、「風邪を引いたら一大事」「すぐに受診して薬をもらう」という感覚を持つ人も多いかもしれない。しかし、「風邪はある程度、必要なもの」「本当にその薬は必要か?」という冷静な感覚も必要だ。知識を持って、賢く対処しよう。

(ライター 塚越小枝子、図版作成 増田真一)

宮入烈さん
国立成育医療研究センター生体防御系内科部統括部感染症科診療部長、感染制御部統括部長、米テネシー大学微生物学免疫学生化学科アシスタントプロフェッサー。1995年慶應義塾大学医学部卒業。専門は小児科学、小児感染症学。医学博士、日本小児科学会専門医、日本感染症学会専門医、米国小児科学会専門医、米国小児感染症学会専門医ICD(インフェクションコントロールドクター)。

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