冤罪弁護士のヒロインに共感 法廷ドラマに新ヒット作
2019年12月 海外ドラマ月間レンタルランキング
海外ドラマで人気の職業ものといえば、刑事、医療、法廷。なかでも近年、日本で人気が高まっているのが弁護士や検事を主人公にした法廷ドラマだ。その新たなヒット作となったのが『プルーブン・イノセント 冤罪弁護士』。TSUTAYA海外ドラマ月間レンタルランキング12月度では10位と、7位で初登場した前月に引き続きトップ10入りした。
『プルーブン・イノセント~』は、無実の罪で収監され、10年間服役した女性が、釈放後に弁護士となって、自分と同じような冤罪(えんざい)で苦しんでいる人々を救おうと闘う1話完結の法廷ドラマ。全米では2019年2月からFOXにて放送が始まった。
ストーリーはこうだ。マデリンは、18歳のとき親友のローズマリーを殺害したとして、無実にもかかわらず、兄リーヴァイと共に第1級殺人で有罪を宣告される。10年間の服役期間中にマデリンは学士号を取得し、釈放後ロースクールを卒業して弁護士となる。そして、自分と同じく無実でありながら有罪とみなされた人々を救おうと奔走していた。そんななか、自分を刑務所に送り込んだ地方検事ベローズが司法長官への立候補を表明。マデリンと仲間たちは、彼の不当捜査で有罪となった無実の人々を救うことでマスコミの注目を集め、彼の政治的野望を阻止しようと決心する……。
様々な冤罪事件が1話完結で描かれ、社会的に弱い立場の人々を、同じ経験を持つマデリンが救おうとする姿が共感を呼ぶ。一方、全編を通してマデリンの10年を奪った殺人事件の真犯人捜しが描かれ、事件の真相を巡って検事ベローズとの因縁の対決がスリリングに展開するのも大きな見どころだ。
マデリンを演じたラシェル・ルフェーブルは映画・ドラマなどで幅広く活躍しており、『アンダー・ザ・ドーム』(13~15年)のジュリア役で人気女優となった。本作が久しぶりの主演作となる。
TSUTAYAマーケティングカンパニー UX・MD部 映像レンタルの後藤信之氏によると、「レンタルユーザーの男女比は6対4。年齢層は50代以上が約7割で、60代がメイン。まずは海外ドラマのヘビーユーザーに強く支持されています」という。
米国では、長きにわたって法廷ドラマの人気が高く、『ザ・プラクティス』(1997~04年)、『アリー my Love』(97~02年)、『ダメージ』(07~12年)、『グッド・ワイフ 彼女の評決』(09~16年)、『SUITS/スーツ』(11年~)といったヒット作が多数生まれている。その流れをくむ新作として、海外ドラマのコアファンが『プルーブン・イノセント~』に飛びついたようだ。また、近年は日本でも、米倉涼子主演の『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』や、日本版『SUITS/スーツ』、日本版『グッド・ワイフ』などが作られ、高視聴率を獲得。昨年は、同じく冤罪のテーマを扱うドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』も放送された。日本で法廷ものの人気が高まっているタイミングも追い風となったようだ。
チェルノブイリ原発事故の実録ドラマ
ランキング全体を見ると、12月は新作のリリースが少なく、人気シリーズの新シーズンが上位を占めた。後藤氏は、「1~3月には新作が多くリリースされるので活況が期待できます」という。なかでも、TSUTAYAが推すのが『タイタンズ』(1月15日レンタル開始)と『チェルノブイリ-CHERNOBYL-』(3月4日レンタル開始)だ。
『タイタンズ』はアメコミヒーローが活躍するDCドラマで、バットマンの相棒ロビンが悪と戦うチームを結成する。「スタイリッシュな映像と毎回がドンデン返しのストーリーがおすすめの理由。クオリティーに自信があるので、TSUTAYAでは内容保証として、レンタルして面白くなかったら200ポイントプレゼントのキャンペーンを実施します」(同氏)
『チェルノブイリ -CHERNOBYL-』は1986年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原子力発電所の爆発事故を描く実録ドラマ。第71回エミー賞で計10部門を受賞するなど高い評価を受けている。「事故の描写が細かく、リアリティーにあふれ、人間ドラマがうまく描かれてます。この事実を多くの人に知っていただきたく、おすすめしたい作品です」(同氏)
いずれも今後、ランキングの上位に入ってくる話題作となりそうだ。
(日経エンタテインメント!小川仁志)
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