広がるクラウド出版 著者と読者の「思い」を直結クラウドファンディングが変える社会(3) MotionGallery代表 大高健志

MotionGallery代表の大高健志氏
MotionGallery代表の大高健志氏

次代を担う旗手たちは何を感じ、何を考えるのか――。日本経済新聞社が運営する投稿プラットフォーム「COMEMO」から、「キーオピニオンリーダー」が執筆したビジネスパーソンにも役立つ記事を紹介します。小口資金を集めるクラウドファンディングサイトを運営するMotionGallery(モーションギャラリー、東京・港、サイトも同名)代表の大高健志さんによる「クラウドファンディングが変える社会」、第3回は「出版」について語ってもらいます。

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 私が「モーションギャラリー」を運営して強く思うのは、クラウドファンディングがさまざまな課題を解決するだけではなく、プロジェクトに参加する人たちの社会との関わり方まで変えてしまうことがあることです。今回は、モーションギャラリーに立ち上がったいくつかの出版プロジェクトを紹介しつつ、クラウドファンディングで変わろうとしつつある出版事情についてお話しします。

出版業界では、本が読者に届くまでに「版元(出版社)」「取次(卸問屋)」「書店(小売店)」と、たくさんのステップが存在しています。そのおかげで、さまざまな本が全国に効率よく配本されているのですが、半面、まだ一般的ではないテーマを取り扱った先端的な書籍や、小規模な出版社の本と、既存の流通体系とは相性が悪いといわれています。

流通には乗りづらい本を届ける

 こうした課題を解決できる手段のひとつがクラウドファンディングだといえます。今勃興している「ダイレクト・ツー・コンシューマー(D2C)」、ネット直販の領域ともいえるでしょう。

 まず紹介したいのは、著者や編集者が立ち上げたプロジェクトです。

移転問題に揺れた旧築地市場(東京・中央)で働く人の写真を撮り続けた沼田学さん。写真集の発売も決まり、サイズは書店で取り扱いやすいA5判にすることになりました。しかし、沼田さんと版元の東京キララ社(東京・千代田)は、「写真の魅力を存分に伝える大判写真集をつくりたい」という気持ちが諦めきれず、クラウドファンディングに挑戦します。その思いに多くの人が共感し、目標金額を上回る約150万円を集めることができました。

築地で働く男たちの写真集をクラウドファンディングで出版(「特装版 築地魚河岸ブルース」、沼田学)
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