しゃぶしゃぶは思い出の場面によく出くわすメニューだ。ずっと憧れていて、後に「相棒」シリーズで長く共演した水谷豊さんと念願の初顔合わせの時がそうだった。ドラマ「刑事貴族2」で共演が決まり、引き合わされたのがしゃぶしゃぶ店。集合時刻の1時間前から正座で待った。水谷さんとあいさつを交わした後は、かけられる言葉に緊張で「はい」くらいしか返せない。料理の味は全く覚えていない。

令和2年の今は次の舞台の稽古のまっただ中。稽古場ではほとんど食べ物を口にしない。食べると集中力が切れる気がして、駆け出し時代から続ける習慣だ。だからこそ舞台や稽古を終えてから何を食べようかと考えるのは楽しい。「『食』ってごほうびですよね。『おいしい』と感じられるのは生活が充実している証拠。今していることが間違っていないと確認できる時間なんです」。舞台仲間と次は何を食べに行くのだろう。

絶品、博多の鮭明太

いつも注文する「味市春香 なごみ」の鮭明太(手前右)、カリカリ豚足(手前左)、いかしゅうまい(福岡市博多区、沢井慎也撮影)

寺脇さんが福岡で行きつけにしているのが「味市春香 なごみ」(電話092・411・1647)。舞台公演で博多を訪れた時に紹介されてから通い続ける。「これは絶品。ご飯何杯でもいけそう」と話す看板メニューが、ほぐしたサケとめんたいこが絶妙に絡み合う「鮭明太」(しゃけめんたい、380円・消費税別)。店主の渡辺太さんが考案して工夫を重ねた味で、クリームうどんやピザなどアレンジメニューも人気だ。

他に「脂ぎっていなくてパリッとした食感がいい」と必ず頼む品が「カリカリ豚足」(450円)だ。一人でもしばしば訪れ、カウンターで隣に座っている客に話しかけたり、渡辺さんの妻の誕生日には一緒に祝ったりする。飾らない人柄で店の雰囲気にすっかりなじんでいるという。

最後の晩餐

とにかく漬物が好き。ミョウガ、キュウリ、白菜、一番は水ナスかな。だから白いご飯に漬物セットで十分。漬物というか野菜が好きになった原点はおふくろが我が家風にアレンジした山形の「だし」。高校時代は「ヤマガタ」と呼んで、こればかり食べていたんです。

(河野俊)

てらわき・やすふみ 1962年大阪府生まれ。84年俳優デビュー。「相棒」シリーズやNHK連続テレビ小説「おひさま」などに出演、情報番組「王様のブランチ」で司会も。地球ゴージャス結成25周年公演「星の大地に降る涙 THE MUSICAL」が3月10日から。

[NIKKEIプラス1 2020年1月25日付を再構成]

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