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事前の検討不足が響いて、転職しても、思い通りに結果を出せないケースも (写真はイメージ)=PIXTA

事前の検討不足が響いて、転職しても、思い通りに結果を出せないケースも (写真はイメージ)=PIXTA

転職活動中の皆さんのなかには、4月の年度変わりのタイミングを狙って活動を進めている人も多いと思います。年度末での退職、新年度からの新天地スタートに向けて移籍先の検討を進めている人が最終意思決定のタイミングに入るこの時期、しっかりと納得のいく意思決定はできているでしょうか。今回は、転職先を決める最終意思決定時に必ず確認したい「現在・過去・未来」それぞれのポイントについてご紹介します。この3つさえしっかり押さえていれば、最終選択は間違いありません。逆にこの3つのどれかひとつでもあいまいだったら危険信号。この機会に確認してみましょう。

現在編・目の前の職務に思い切り没頭できそうか?

第1のポイントは「現在」です。考えるべき点は「選択しようとしている転職先企業では、今の会社以上に目の前の職務に思い切り没頭できそうか?」です。

Aさん(45歳)は新卒入社の大手食品会社でマーケティング職としての経験を積んだ後、投資ファンド傘下の同業系企業にスカウトされ、事業再生のための最重要戦略だったマーケティングとブランドの立て直しを主導しました。無事に再建を果たし、自社が事業売却されたタイミングで、自身も新たな場に転出することに。

そこで当時のAさんは「自分はここまでで一般消費者向けのマーケティングで経験と実績を積むことができた。次は法人向けのマーケティングの経験を積んでみよう」と考え、転職活動をスタート。金融系企業のマーケティング責任者として移籍を実現したのです。

ところが、「これが大失敗でした」。いざ、着任してみると、そもそも異業界ということで知識と土地勘に欠けるという部分は大きかったわけですが、それ以上に「自社の事業やサービス・商品を、全く愛せなかったのです」。目の前の業務に気持ちが入らない。業務を進めよう、関連知識を身につけようと、頭では思うものの、体が拒否反応を示し、入社数カ月後に体調を崩して会社を休むところまで行ってしまったのです。

「これはまずい、このまま頑張ろうとしても会社にも迷惑をかけるし、自分のためにも全くならない」。そう考えて会社に申し出て退職し、改めて仕切り直しの転職活動に入りました。

もう一度、自分を見つめ直したところ、自分は顔の見える消費者相手のビジネスが好きで、性にも合っていると確認。BtoBではなく、BtoCのマーケティングのプロとして生きていこうと決意して、消費財系企業への再就職を選択。その再スタートのおかげで、現職では大活躍。昇進も果たし、手がけたマーケティングは業界やメディアでも注目を浴びるという実績に至っています。「あの時、早期の仕切り直しをせず、自分の性分や相性をしっかり確認していなかったら、今どうなっていたかと背筋が寒くなります」とAさんは述懐しています。

当たり前のことですが、せっかく転職するのに、心機一転の新天地で思い切り職務にまい進、気持ちよく担当職務に没頭できそうにないようであれば、わざわざ転職する意味などありません。そもそも「逃げの転職先」「気持ちのこもらない転職先」は絶対に選んではいけません。Aさんのように「勘違い転職先」の選択は、入社後に図らずも自分を追い込んでしまう結果となりかねないので、十分に注意したいところです。

転職でのチャレンジマインドは大事です。しかし、転職時に絶対チャレンジしてはいけない唯一のことが「自分らしさ、好み、相性」からの乖離(かいり)や飛躍です。自分らしさ、好み、相性をしっかり自覚し、限りなくそれと合致した企業、職場、職務を選択しましょう。

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