手取りはなぜ減る 給料の知識、クイズでチェック
令和のお金ドリル(1)働いて稼ぐ編
消費税増税、老後2000万円問題、キャッシュレス決済……令和の時代は、お金の知識があるかどうかで、人生の有利さが変わってくる局面がいっぱい。「令和のお金ドリル」に挑んで、最短距離でお金マスターになろう。
第1回は給与の基本。稼ぎと手取りの差はどこからくるのか? 介護で仕事を休むと手取りはどれくらい保証されるのか? 給与から天引きで雇用保険を支払っていても補助を受けられる人・受けられない人の違いとは?
まずは働いて稼ぐベースとなる給与の基本をしっかり理解しておこう。
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【STAGE1 働いて稼ぐ】稼ぎと手取りの差はどこから?「天引き」で得る権利も知ろう
【ヒント】会社員が給与から引かれるのは「4社保+2税」!
給与の額面から以下の6つが天引きに
1 厚生年金
老齢期やもしものときのための公的保険。給与(標準報酬月額)に保険料率9.15%を掛けた額で同額を会社も負担。国民年金分も含まれる。
2 健康保険
ケガや病気の際の医療費負担が軽くなる公的医療保険。給与(標準報酬月額)に保険料率を掛けた額で、料率は保険組合により異なるが、5%程度が多い。
3 介護保険
40歳以上に加入義務があり、健康保険と一緒に徴収される。給与(標準報酬月額)に保険料率を掛けた額で、料率は組合により異なるが0.8%程度が多い。
4 雇用保険
失業時などに給付を受けるための保険。給与(標準報酬月額)に保険料率を掛けた額で、料率は事業により異なり、一般の事業の場合0.3%。
5 所得税
国に納める税金で、給与が上がるほど税率が5~45%とアップする。毎月源泉徴収されるが、年末調整や確定申告で一部を取り戻すこともできる。
6 住民税
住んでいる都道府県・市区町村に納める税金。税率は地域によって異なるが、およそ10%。前年の所得をベースに当年の納税額が決まるのが特徴。
※「標準報酬月額」とは、実際の1カ月の総支給額(賞与などを除く額面金額)を区切りの良い幅で区分した額。例えば、実際の報酬が19万5000円~21万円の場合、標準報酬月額は20万円となる
【働いて稼ぐ 解説編】
Q1 年収1000万円の手取り年収は?【正解はB】約700万円
額面の給与や賞与から天引きされるのは、4つの社会保険料と2つの税金。このうち所得税は、高収入であるほど税率が高まり、最小5%、最大45%。例えば、課税所得(額面給与からさまざまな所得控除を差し引いた額)が300万円の場合の所得税率は10%。額面年収が1000万円なら、その7割ほどが手取り額となるケースが一般的。
Q2 介護で仕事を休んで保証される手取りは?【正解はA】約12万円×3カ月
介護休業給付金は、介護対象の家族1人につき、最長約3カ月(93日分を3回まで分割可能)支給され、支給額は休業開始時賃金日額×支給日数×67%。ただし、休業期間も社会保険料は休業前と同額(雇用保険は0円)。また、給付金は非課税だが、住民税は前年の所得で決まるので、住民税の負担が軽くなるのは翌年。結果、額面月給26万円なら介護休業中の手取り額は約12万円。
Q3 給与から天引きで雇用保険を支払っていても資格取得の補助が受けられないのはどんな人?【正解はAとD】以下の受給条件にあてはまらない人
一般教育訓練給付金の受給条件
○雇用保険の被保険者期間が3年以上ある
(初めて支給を受ける人は1年以上でOK)
○前回の給付を受けてから3年以上経過している
○無職の場合、退職の翌日から1年以内に受講開始する*
*妊娠、出産、育児、疾病、負傷などの理由で適用期間の延長が行われた場合は最大20年以内
専門実践教育訓練給付金の受給条件
○雇用保険の被保険者期間が3年以上ある
(初めて支給を受ける人は2年以上でOK)
○前回の給付を受けてから3年以上経過している
○無職の場合、退職の翌日から1年以内に受講開始する*
*妊娠、出産、育児、疾病、負傷などの理由で適用期間の延長が行われた場合は最大20年以内
雇用保険の教育訓練給付金制度では、スキルアップのための講座の受講料の一部を国が補助。「一般教育訓練」の場合、国の指定を受けたプログラミング、語学検定、大学院修士課程など多彩な講座が対象で、10万円を上限に費用の20%が受講修了後に支給される。より専門的、実践的な「専門実践教育訓練」の場合は、費用の最大70%が補助される。
この人に聞きました
社会保険労務士。ウェルス労務管理事務所代表。CFP認定者。著書は『30代のための年金とお金のことがすごくよくわかって不安がなくなる本』(日本実業出版社)。
(取材・文 相良朋=日経WOMAN編集部)
[日経ウーマン 2019年10月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。