ラッキーな人は何をしている? 運を味方につける極意『幸運学 不確実な世界を賢明に進む「今、ここ」の人生の運び方』より

クランボルツの著書の原書のタイトルは『LUCK is NO ACCIDENT』。直訳すると、「ラックはアクシデントではない」となります。アクシデントは日本では「事故」というネガティブな意味で使われることが多いのですが、英語では「予期せぬ偶然」の意味で使われます。

つまり、書名の本来の意味は「幸運とは、単なる偶然によるものではない」となります。逆に言えば、「幸運を得たのにはそれ相応の理由がある」。換言すると、「幸運は自ら機会を創っていくことで獲得できる」。つまり、「幸運は自分で創りだせる」ということです。

成功確率5%のチャンスを生かす方法

ここで質問です。成功確率が5%しかないことを何回も繰り返す意味はあるでしょうか。徒労に終わるだけでしょうか。100回トライした場合に、「少なくとも1回」は成功する確率を計算してみましょう。

・成功の確率が5%なら、失敗の確率は95%
・全敗する確率は、0.95の100乗なので、0.0059
・ということは、少なくとも1回は成功する確率は、1-0.0059=99.9941

つまり、少なくとも1回は成功する確率は99%以上です。1回あたりの成功確率が低いことでも、何度も繰り返していけば、きわめて高い確率でいつか成功するのです。

ですから、幸運を自分のものにしたいのなら、特にトライすることにコストがそれほどかからないなら、試行の回数を増やすこと、つまり何度もめげずにやってみることが、まずは基本戦略です。ビジネスでは少なくとも1回成功すれば立派なものですので、出発点としてはこの単純計算でも悪くないと思います。

パナソニックの創業者で「経営の神様」と称された松下幸之助は、「『自分は運が良い』と思っている人しか採用しない」と言っていたそうです。

ゼネラル・エレクトリック(GE)の会長だったジャック・ウェルチは、次のように言っています。「自分の運命は自分でコントロールせよ。さもなければ他の誰かがあなたの運命をコントロールするだろう(原文は“Control your destiny, or somone else will.”)」

言い方は人それぞれですが、大きな仕事を成し遂げた人は、「運をコントロールする」ということを明確に意識していたのだと思います。

杉浦正和
早稲田大学ビジネススクール教授/国立音楽大学理事(経営戦略担当)。1982年、京都大学を卒業し、日産自動車に入社。海外企画部にてマーケティングなどを担当。90年、米国スタンフォード大学ビジネススクールにて経営学修士(MBA)を取得。経営コンサルティングのベイン&カンパニー、人事コンサルティングのマーサーを経て、シティバンクにてリーダーシップ開発責任者、シュローダーにてグループ人事部長などを歴任。早稲田大学ビジネススクールでは、2005年からコア科目「人材・組織」を担当し、その後2つのゼミ「人材・組織マネジメント」「戦略的人材マネジメント」ほかを担当。人材育成学会(理事)と多数の企業研修を通して、実践と学術の橋渡しを行っている。

幸運学 不確実な世界を賢明に進む「今、ここ」の人生の運び方

著者 : 杉浦 正和
出版 : 日経BP
価格 : 1,980円 (税込み)

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