「渋谷幕張の奇跡」 急成長の源は3つの目標と校長講話渋谷教育学園幕張中学・高校(上) 教育ジャーナリスト・おおたとしまさ

校章はかつての国際都市「長安」のシンボル「えんじゅ」の葉をモチーフにしている
校章はかつての国際都市「長安」のシンボル「えんじゅ」の葉をモチーフにしている
渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(渋幕、千葉市)は近年、東京大学合格者数のランキングでトップ10の常連となっている。ランキング上位校で共学というのは珍しい。飛躍の背景には、建学の精神への強い信念があった。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が学校を訪ねた。

卒業生から作家が出たら一人前

1983年にまず高校が、そして1986年に中学が開校した。創立からたった30年で東大合格者数では全国トップ10に名を連ねるようになり、海外大学にも多数の合格者を出すなど、「渋幕の奇跡」と呼ばれるほどの急成長を遂げた。

進学実績だけではない。最年長の卒業生でもまだアラフィフだが、俳優の田中圭氏、アナウンサーの水卜麻美氏、元プロサッカー選手の田中マルクス闘莉王氏、落語家の立川志の春氏など幅広い分野でのユニークな活躍が目立つ。

現役生も負けていない。模擬国連部は米国のニューヨークで開催される「高校模擬国連国際大会」に日本代表としてたびたび出場する強豪だ。物理部は2019年の「知能ロボットコンテストマスターズコース」で優勝した。

彩瀬まる(第158回直木賞候補)および小川哲(山本周五郎賞受賞、第162回直木賞候補)も卒業生。「作家が出れば学校として一人前だと思っていたけど、とうとう本格的なのが出てきた! 渋幕の学校文化に影響を受けた人間の人生観が広く他人の人生に影響を与えるということですから」と創立者で校長の田村哲夫さんは目尻を下げる。

自分を調べ、自分を考える

私もこれまでさまざまな学校の歴史を調べてきたが、ふつう学校文化はそう短期間に成熟するものではない。渋幕の学校文化の種子が、創立当初から掲げられる3つの教育目標だ。

物理部の活動風景

・自調自考の力を伸ばす

・倫理感を正しく育てる

・国際人としての資質を養う

解釈を、田村聡明副校長に聞いた。数年前から校長に代わって副校長が表に立つことが多くなってきている。

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
次のページ
グローバル人材はふつうのひと
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら