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インフル関連の死者、年約1万人 注意すべき合併症は

Dr.今村の「感染症ココがポイント!」

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

気になる感染症について、がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長の今村顕史さんに聞く本連載。今回は「インフルエンザと合併症」をテーマに解説していく。今シーズンのインフルエンザは例年よりも早い流行開始となり、すでに流行のピークは越えつつあるようにも見えるが、安心するにはまだ早い。依然として多くの人が感染しており、発症後に肺炎をはじめとする合併症を引き起こす人も少なくない。インフルエンザは身近な感染症だが、時には重とくな合併症のリスクがあることを知っておこう。

【ココがポイント!】
●インフルエンザに関連する死亡者数は年間約1万人と推計されている
●インフルエンザの合併症としては、インフルエンザ脳症、インフルエンザ肺炎、インフルエンザ後に発症する細菌性肺炎が代表的
●インフルエンザ脳症は小児に多いが、成人がなることもある
●高熱が4~5日続く、数日経過しても逆にせきが悪化しているなどの症状があるときは、細菌性肺炎の合併が疑われる

流行のピーク越えても、春先まで油断は禁物

――今シーズン(2019~2020年)は例年よりも早い流行開始となったインフルエンザですが、流行のピークはいつごろになるのでしょうか。

国立感染症研究所が1月24日に発表した「インフルエンザ流行レベルマップ」によれば、全国約5000の定点医療機関から報告されるインフルエンザの患者数は、1月13日~19日の1週間で8万3037人。その前の週(2020年1月6日~12日)の9万811人よりも減少しており、流行のピークを越えつつあるように見えます。

しかし、患者数の減少は一時的なもので地域によっては今後再び増加する、と見る向きもあり、予断を許しません[注1]。そもそも季節性のインフルエンザには「A型」と「B型」があり、近年はA型の流行のあとにB型が増えてきて、春先まで流行が続く傾向が見られます。今シーズンは今のところA型が95%を占めていますが、引き続き注意が必要です。

インフルエンザ関連死は年間約1万人

――今回はインフルエンザの重症化についてお話を伺おうと思いますが、以前の記事「インフル、検査陰性でも油断禁物 症状あればマスクを」でもおっしゃっていたように、インフルエンザの感染者数は年間約1000万人、インフルエンザに関連する死亡者数は年間約1万人と推計されているそうですね。「1万人」とはかなりの数で驚きます。

インフルエンザは毎年多くの人がかかる身近な感染症で、そのほとんどは重症化することなく治ります。しかし、時には重症化したり、合併症を起こしたりして、死亡に至る場合もあります。そこまで至るケースはまれだけれど、インフルエンザにかかる人自体が多いので、結果的に大きな数字になるんです。

ちなみに、インフルエンザの流行によって直接的、間接的に死亡した人の数の推計値として世界保健機関(WHO)が推奨する「超過死亡」という概念があり、年間約1万人というのはこの概念に基づく推計。簡単にいえば、インフルエンザの流行がなければ死を回避できたであろう死亡者数を意味します。インフルエンザが直接的に引き起こす脳症や肺炎のほか、二次的に起こる細菌性の肺炎、また、呼吸器疾患や心疾患といった持病の悪化など、間接的な影響によって死亡した人の数も含まれます。

――インフルエンザによって引き起こされる病気、つまりインフルエンザの合併症にはどのようなものがありますか。

インフルエンザ脳症、インフルエンザ肺炎、インフルエンザ後に発症する細菌性肺炎が代表的なものです。ほかに、副鼻腔炎、中耳炎、筋炎、心筋炎、肝障害、腎障害なども見られます。ごくまれですが、手足の筋力が低下し、重症化すると呼吸不全に陥るギラン・バレー症候群を発症する場合もあります。

[注1]https://weathernews.jp/s/topics/202001/240085/

小児に多いインフルエンザ脳症、成人の死亡例も

――国立感染症研究所の発表によれば、インフルエンザウイルスが原因とされる脳症(以下、インフルエンザ脳症)は、2019年9月2日から12月29日までに134例と報告されています。インフルエンザ脳症はどのような病気でしょうか?

インフルエンザ脳症は小児に多い合併症で、インフルエンザの発症後に、意識がもうろうとする、意味不明な発言や行動をする、けいれんが起こるといった症状が表れます。

小児が多いとはいえ、成人が発症しないというわけではありません。インフルエンザ脳症の報告数のグラフでも、届出時の死亡報告数が10例あり、15歳未満が8例、30代と80代で各1例となっています。

厚生労働省の「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」が行った調査では、全体で毎年50~200例の報告があり、その致死率は10~30%と高め。

また、治っても重い後遺症を残すことがあります。小児に限らず成人でも、先述した意識障害などの症状が表れた場合は、速やかに医療機関を受診するようにしてください。

――インフルエンザに伴う発熱に解熱剤を用いると、種類によってはインフルエンザ脳症のリスクが高まるという話を聞いたことがあるのですが。

非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェン、ロキソプロフェン、ジクロフェナクなど)は、そのほかの薬剤に比べると、インフルエンザ脳症のリスクが多少高まるという報告があります。そのため、医療機関では、解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンを中心に処方しています。インフルエンザで高熱が出たからといって、手持ちの解熱剤を自己判断で飲むのは危険なのでやめましょう。

インフル後も、せきや息切れなど細菌性肺炎の兆候に注意

――インフルエンザ肺炎と、インフルエンザ後に発症する細菌性肺炎は違うものなのでしょうか。

インフルエンザ肺炎は、インフルエンザウイルスが直接的に引き起こす肺炎です。一方、インフルエンザ後に発症する細菌性の肺炎は、インフルエンザによって気道や体の免疫が低下することで、細菌によって引き起こされる肺炎です。いずれも高齢者に多く見られます。特に細菌性肺炎は、高齢者がインフルエンザ後に死亡する大きな原因となっています。

細菌性肺炎の最も多い原因菌は、一般的な肺炎でもよく見られる肺炎球菌ですが、黄色ブドウ球菌が原因となることもあります。黄色ブドウ球菌は皮膚などに存在する常在菌で、通常は肺炎を起こしにくいはずなのですが、インフルエンザの発症後は、それだけ免疫が低下しているということでしょう。

――肺炎を合併する場合は、どのような症状に注意すればよいですか。

インフルエンザ発症から4~5日経過しても高熱が続いている、数日たってもせきが悪化したり、息苦しさを感じたりする場合は、細菌性肺炎の合併が疑われます。

ただ、高齢者の場合は、若い人に比べて高熱が出にくい傾向があるので、微熱が続いている状態でも、せきやたんが増えてきたり、息切れ感が増したり、呼吸が浅く速くなったりしてきた場合は、細菌性肺炎の可能性を考慮した方がいいでしょう。

細菌性肺炎を発症すると、抗インフルエンザ薬では治らないので、抗菌薬の服用が必要になります。

――インフルエンザはどのような人が重症化しやすいのでしょうか。

一般的には、乳幼児や高齢者、妊婦のほか、慢性の呼吸器疾患や心疾患、糖尿病などの代謝性疾患、腎機能障害のある人は、重症化しやすいと考えられます。また何らかの病気や状況で免疫機能が低下している人(ステロイド剤や免疫抑制剤、抗がん剤の投与など)も、重症化のリスクが高まります。

――インフルエンザの重症化を防ぐ方法はありますか。

インフルエンザの重症化を予防するには、ワクチンの接種が有効です。インフルエンザワクチンは感染そのものを防ぐことよりも、重症化を防ぐことに効果を発揮します。高齢者の場合は、インフルエンザ後に発症する細菌性肺炎のリスクを考慮して、肺炎球菌ワクチンを接種しておくのもいいでしょう。

日ごろから手洗いやマスクの着用などでの予防も心がけ、もしインフルエンザと診断された場合には、出勤や登校などの外出は控え、自宅で安静に過ごすことも大切です。

(ライター 田村知子)

今村顕史さん
がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長。1992年浜松医科大学卒業。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。自身のFacebookページ「あれどこ感染症」でも、その時々の流行感染症などの情報を公開中。都立駒込病院感染症科ホームページ(http://www.cick.jp/kansen/)。

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