長く働き続けたい? ならば女性こそ管理職を目指そう『女性管理職1年目の教科書』 野見山玲子氏

管理職の仕事はコミュニケーションが8割といわれる(写真はイメージ=PIXTA)
管理職の仕事はコミュニケーションが8割といわれる(写真はイメージ=PIXTA)

「女性管理職を増やそう」という動きが広がってきた。だが、女性の働き手側からは「管理職昇進を望まない」という本音も聞こえてくる。『女性管理職1年目の教科書』(野見山玲子、斉藤麻子著、日本経済新聞出版社)を書いた野見山氏は「実際に就いてみれば、管理職はおもしろいところが多い。食わず嫌い的に遠ざけてしまうのはもったいない」と言う。女性管理職を取り巻く現状と、求められる新たな管理職像を聞いた。

管理職は報われない役割なのか?

「そもそも『管理職』という呼び名から変えたほうがいい」と野見山氏は再デザインを促す。「管理」という言葉には予算や人員をルール通りに動かすようなイメージがつきまとう。自由な動きを許さず、計画にしばりつける雰囲気も帯びる。しかし、野見山氏が考える管理職とは「経営目標を達成するために必要な役割として権限を与えられ、任された会社のリソースをコントロールしながら目標を達成する人」のことだ。現場での方法や裁量を委ねられた「結果を出すチームのリーダー」であり、「にらみをきかせ、規則を守らせる係ではない」(野見山氏)。

管理職への昇進を働き手が嫌うのは、管理職の苦労や悲哀を部下として知っているからだ。「あんな思いはしたくない」「大変そう」「嫌われたくない」といった思いで昇進を敬遠する。出産や子育てといったライフイベントとの兼ね合いを懸念する女性も多い。だが、野見山氏は「過去に自分が見てきた管理職が報われない姿だったからといって、自分も同じ働き方に染まる必要はない。むしろ、自ら新しい管理職のイメージを体現するうえでの参考にすればよい」という。働き方改革を追い風に職場の環境が様変わりしつつあるのだから、「管理職のありようを変えるチャンス」とみる。

野見山氏は自らも管理職の経験を持つ。外資系製薬会社のメルクセローノ(現メルクバイオファーマ)で医薬品や医療機器の品質保証責任者を務めた。自身の体験に基づいて、「管理職という仕事は一般に思われているほどおもしろくない業務ではなく、むしろやりがいや手ごたえを感じやすい」という。ただし、それは旧弊にとらわれず最大限にリソースを活用して、目標を達成しようとポジティブに取り組む場合の話。タイトルには「女性」とあるが、「管理職としてのふるまいに本来、性別はあまり関係ない。日本企業での管理職を巡る課題も男女共通」とみる。

コミュニケーションが8割

もっとも、世の中では「女性は感情的な生き物」といった男性目線の意識もくすぶる。野見山氏は「確かに女性同士のいざこざは珍しくなく、感情の働きがネガティブに作用することはある」と認めながらも、「管理職になったからといって、妙にクールにふるまったり、男性的に考えようと努めたりする必要はない」という。女性が自ら「らしさ」を封じ込めて男性化するのは「多様性を損なう点で逆効果ですらある」(野見山氏)。職場における考え方や行動スタイルに女性の感覚を生かす意味からも、「従来の管理職イメージに、新任の女性管理職が自分から進んでフィットさせる意味はない。経営者も男性的な思考を求めるべきではない」という。

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