USJ再建立役者が学生に説く 自分をレアにする戦略刀CEO 森岡毅氏

これからのリーダーシップのかたち

遠矢 経営者としての森岡さんにお聞きしたいのが、チームづくりについてです。僕は高校でバレーボール部の主将を務め、弱小だった部を東京都10位まで引っ張るという経験をしました。大学で体育会に入り、チームを変えようとしましたが、うまくできずにやめてしまいました。チームの方向がばらばらになってしまったときに、どうすればよかったのかいまだに答えが見つかりません。

森岡 リーダーのモデルは2つあって、まずリーダーに人間力を求めるタイプ。もう一つは達成したいビジョンで引っ張っていくタイプで、私はこちらをおすすめしています。オーケストラで言えば、マエストロ(巨匠)といわれる指揮者です。

マエストロの仕事は、皆が弾きたくなる楽曲を持ってくること。一人ひとりの演奏家が持っている最高の音色を知っているということです。ここはあなたのこういう音色を下さいとリクエストする。そこで相手が、ああこの人は自分の音をわかってくれているなと思えば、人は最高の音色を出します。そして最高の演奏ができて、振り返ったら観客が増えている、それがビジネスを作るということなんだと思います。

学生時代は自由ですから皆のベクトルを合わせるのは特に難しい。だから気に病む必要はないと思います。高校時代に成功体験があるなら十分リーダーシップがあると思いますし、これからマエストロの資質をみがける舞台を探せばいいのではないでしょうか。

伊豆田 友人と話していると「成長できる企業に入りたい」という言葉をよく聞きます。でもそもそもなぜ成長しなければならないのか、よくわからなくて……。

森岡 すごく本質的な質問ですね。私の考えでは、成長は目的ではないと思うんです。成長するために頑張るのではなく、自分が幸せである状態を手に入れるために、自分の実力とその間のギャップを埋める手段が成長なんです。私の経験から言うと、成長は走っている最中には見えにくい。

図にすると、成長は直線でも曲線でもなく、階段状になっている。なかなか上がらず平行線ということが常にありますから、成長だけを目的にして自分の人生を正当化するというのはすごくしんどい。だから意識の高い学生さんによくお伝えしているのは、もうちょっと肩の力を抜いて、成長するということを懸命に因数分解するのは横に置いて、まず自分がどういう状態になれば幸せになるのか考えるということをおすすめしています。

モチベーションが自分の中から生まれるという、この回路を持つことは大事なことです。社会人になったら誰も褒めてくれませんから、自分で自分を褒められる自己肯定こそが、最大のガソリンです。自分のために頑張れる人と、何かよくわからないけど頑張らなきゃいけないと思っている人は、伸びしろが全然違うはずです。

(文・構成 安田亜紀代)

森岡 毅氏
神戸大学経営学部卒業後、1996年プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)入社。ブランドマネージャーとして日本ヴィダルサスーンの黄金期を築いた後、04年にP&G世界本社へ転籍。北米ヘアケア事業責任者、ウエラジャパン副代表を経て、10年にUSJ入社。12年、同社CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)。17年、独立して刀CEO。著書に「苦しかったときの話をしようか」(ダイヤモンド社)など。

苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」

著者 : 森岡 毅
出版 : ダイヤモンド社
価格 : 1,650円 (税込み)

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