NIKKEIプラス1

■7位 旭川駅(北海道旭川市)320ポイント
ガラス多用の現代的デザイン

外観がガラスを多用した現代的なデザインであるのに対し、内部は北海道産の木材をふんだんに使っていて温かみがある。「木材産業が盛んな街に寄り添ったデザイン」と三好隆之さん。「駅前のにぎわいを駅裏の広大な自然公園につないでいる点が秀逸」(酒井喜市郎さん)という指摘もあった。

街のシンボルとしての役割についても評価が高い。「駅前広場の開放感や、ホテル・商業施設に直結している利便性はポイントが高い」(西崎さん)。構内にはコンビニエンスストアや郵便局、飲食店など生活に必要な機能も備わっている。

(1)10年(2)5196人・乗車数(3)函館本線

■8位 たまプラーザ駅(横浜市)280ポイント
吹き抜け構造の開放感

大勢の乗降客がスムーズに移動できるようにプラットホームを半地下に設ける一方、改札階から屋根までを吹き抜け構造にして開放感をもたせた。「いい意味で『駅を感じさせない空間』に仕上がっている。今後、ほかにも広がってほしいスタイル」(大内さん)

「たまプラ」の愛称で親しまれ、周辺には高級住宅地が広がる。そうした土地柄に配慮して、駅舎は商業施設部分も含めて地上3階に抑えた。「低層で落ち着きのある駅舎空間を実現している」と浅野さん。日比野さんは「東京の私鉄代表として選んだ」。

(1)09年(2)8万3922人・乗降者数(3)東急田園都市線

■9位 高知駅(高知市)250ポイント
南国のおおらかさ表現

「くじらドーム」と呼ばれる大屋根が駅を覆う構造で、南国のおおらかさを表現したという。駅前広場から立ち上がる柱が大屋根を支える。屋根材には高知県産の杉を使っており、木の温かみを感じさせる。

「杉を仕上げやコンクリート型枠だけでなく、プラットホームを覆う屋根の集成材として使用することで、土佐らしさを実現している」(三好さん)

高架上の駅はホームすべてを覆うと細長い筒のような外観になりがちだが、「ドームを中央部に限ることで『建物』として見えるようにした点に好感がもてる」(大内さん)。

(1)08年(2)5270人・乗車数(3)土讃線

■10位 長野駅(長野市)210ポイント
善光寺の門前町イメージ

駅舎の前面には大きな庇(ひさし)がかかり、それを支える柱が並ぶ。善光寺の門前町として栄えた仏都の歴史を踏まえ、「長野の門」を表現したという。「大きな寺を想起させる木の柱がかっこいい」(谷田さん)

夜には柱に取り付けられた巨大ちょうちんの光が大庇に反射し、ノスタルジックな雰囲気になる。駅前の広場には善光寺にゆかりのある如是姫(にょぜひめ)像がある。

大勢の観光客がスムーズに移動できるよう導線にも配慮した。「新幹線から在来線に乗り換える際に段差が少なくて楽」(瀬端さん)という評価も。

(1)15年(2)2万862人・乗車数(3)信越本線など

今年の話題は高輪ゲートウェイ駅

新幹線・新線の開業、都市再生などのイベントに合わせ、21世紀に入り毎年のように新しい駅舎が全国で産声を上げている。

今年の話題はJR東日本が3月に開業する「高輪ゲートウェイ駅」(東京・港)だ。山手線では1971年開業の西日暮里駅、京浜東北線では2000年開業のさいたま新都心駅以来の新駅となる。

専門家の関心も高い。「通常なら同じ山手線の鶯谷駅(乗車数1日平均約2万6000人)程度の大きさになるはずが、今後の周辺開発を見込んで恵比寿駅(約15万人)と同程度に造られている」と日比野直彦さん。東京の多くの駅は通勤・通学に外国人観光客が加わり混雑しており、新駅が乗り降りの負担をどれだけ減らせるかは見どころだ。

折り紙をモチーフにした和風デザインの屋根が話題を呼んでいるが、熱反射率が高い屋根による電力消費の抑制や太陽光発電パネルの設置など、地球環境に配慮しているのも特徴。「次世代の駅に向けた試みとして実を結べばいい」と酒井喜市郎さんは期待する。

■ランキングの見方 数字は10人の専門家の評価を点数化。(1)駅舎の新装時期(2)1日平均の乗車または乗降者数(直近2018年度ベース)(3)主な路線名。写真は1~3位三浦秀行、ほかは各施設の鉄道事業者が提供。

■調査の方法 駅舎、鉄道建築に詳しい専門家の協力で21世紀に入ってから新装された主要駅22カ所をリストアップ。「意匠、土木工学的に優れている」「機能・特徴が秀でている」「土地柄、歴史性に即している」の3つの観点から、専門家が1位から10位まで順位付けし、編集部で集計した。(木ノ内敏久)

■今週の専門家 ▽浅野清(オリエンタルコンサルタンツ関東支社都市政策・デザイン部部長▽大内雅博(高知工科大学教授)▽酒井喜市郎(鉄建建設土木本部副本部長)▽瀬端浩之(日本旅行鉄道プロジェクト次長)▽谷田望美(「進研ゼミ 小学講座」教材開発担当)▽西崎さいき(駅舎ライター)▽日比野直彦(政策研究大学院大学准教授)▽真柄智充(「旅と鉄道」編集長)▽三好隆之(日本工営都市空間事業部課長)▽渡辺隆(中央復建コンサルタンツ建築グループ統括リーダー)=敬称略、五十音順

[NIKKEIプラス1 2020年1月25日付]