「日本は何もしなかった」 女性活躍、法律は骨抜きWAN理事長・社会学者 上野千鶴子氏

2020/1/28

――育児休業の期間を延ばすなどの施策もあります。

「育児休業ははあまりいい制度とは思いません。男性より賃金の低い女性が育休を取るケースが多いですが、乳児と24時間向き合う“べったり休業”は母親を育児専業にさせます。産前は対等だった夫婦の関係が、1年の育休で変わり、家庭内で役割分担が固定します。女性たちもべったり休業ではなく1日1時間でも職場とつながっていたいと希望していたはずです」

「“べったり休業”を、というのであれば父親の取得を義務化すべきでしょう。これも日本の企業風土に合わないと言われそうです。でもスウェーデンも導入時には反対する男性もいたけれど、やったら大歓迎でした」

――働く女性は3000万人を超えましたが、6割が非正規雇用です。男女の賃金格差も大きな問題です。

「シンプルな解決方法があります。最低賃金を全国一律で1500円にすること。年2000時間で300万円の収入になります。この年収額は夫婦の関係を変える分岐点です。パートナーの年収が300万円を超えると生活水準が変わり、お互い相手が辞めないように、という力学が働きます」

「風土」とはなにか ~取材を終えて~

ランキングは4つの分野で構成される。日本は教育(91位)、健康(40位)に対して経済(115位)、政治(144位)が著しく劣るのが特徴だ。さらに詳しく見ると、政治における「閣僚の男女比」(139位)と「国会議員の男女比」(135位)、経済分野での「管理職の男女比」(131位)に行き着く。改善ポイントははっきりしている。

「海外は同じ問題を解決するため、過去にあらゆる方法をとってきた。成功例はいくつもあるから、後発の日本は外国の成功・失敗に学べばいい」と上野氏は話すが、それができずに今回も順位を下げた。風土とはなにかを明らかにし、どうしたいのか議論する場を広げたい。

(女性面編集長 中村奈都子、南優子)

注目記事