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花粉症、今年は早めに初期療法 どんな薬を使うの?

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

花粉シーズンになると、鼻がグズグズ、目もかゆくてたまらない。マスクやメガネでしのいでみるも、だんだん症状がひどくなり慌てて病院へ…。このように例年、花粉症でつらい思いをしているなら、今年は早めに予防治療の「初期療法」を試してみてはどうだろう。発症時期を遅らせる、症状を軽くする、つらい時期を短縮できるなどの効果が期待でき、「鼻アレルギー診療ガイドライン」[注1]などでも推奨されている。初期療法の効果的な始め方・やり方や、タイミング、使用する薬の情報など大切なポイントについて、専門医に聞いた。

影響が小さいうちに症状を抑えることが目的

2020年、スギ花粉の飛散開始時期は全国的に例年並み(最も早い東京、福岡で2月10日頃から)、飛散量は広い範囲で例年より少なくなるといわれている。しかし、だからといって油断は禁物。花粉症は、繰り返し花粉を吸い込んでいるうちに症状が悪化していくものだからだ。ひどくなってから薬を使うのでは、症状が改善するまでにより多くの時間がかかってしまう。だから、その前に積極的に手を打ち、ピーク時から春先まで楽に過ごそうというのが、近年、推奨されている予防治療「初期療法」の目的だ。

「花粉症の初期療法とは、火事で言えば初期消火です。ボヤのうちなら容易に消し止められても、大火事になると火はなかなか消えません。それと同じで、アレルギー症状がひどくないときから、治療をすれば悪化しにくくなります。初期療法は、ピーク時の症状を、かなり抑えることができる療法です」と、アレルギー性鼻炎に詳しい日本医科大学耳鼻咽喉科学教室准教授の後藤穣さんは話す。

効果を得るために知っておきたいポイント5つ

(1)開始のタイミングを逃さない 

~「んっ?花粉症かも?」と思ったらすぐに!

以前は、「花粉飛散開始日の2週間くらい前から薬の治療を始める」とされていた初期療法。最近は「即効性のある薬剤が登場してきたことから、花粉飛散開始とともに、または症状が少しでも表れた時点でスタートすればよいというルールに変わりつつある。2020年中に発行が予定されている次回の診療ガイドラインで改訂される見通し」と後藤さん。初期療法は、鼻の症状については、重症や最重症(鼻の症状分類に基づく)の人に推奨されている療法だが、「軽症・中等症の人も楽になるため、症状の程度に限らず勧められる」(後藤さん)という。

花粉の本格的な飛散は通常2月上旬ぐらいからスタートするため、少しの花粉でも症状が出やすい人は、できるだけ1月中、もしくは2月上旬までに耳鼻科を受診し医師に相談するのが目安。症状が出ていないのに病院を受診していいものか、迷う人もいるかもしれないが、心配は無用。初期療法は少し早く薬を使うだけなので、保険診療として認められている。

(2)症状や目的に合った薬剤を選択

~中心となるのは第2世代抗ヒスタミン薬

鼻の症状に関する初期療法では、内服薬として第2世代抗ヒスタミン薬、抗LTs薬、遊離抑制薬のいずれか、またはステロイド点鼻薬が推奨されている(※目については(5)以降でまとめて紹介)。このうち、中心となるのは第2世代抗ヒスタミン薬。「より新しい非鎮静性の第2世代抗ヒスタミン薬は、第1世代の欠点とされた副作用(眠気、口の渇きなど)が軽減されている。また、軽症から重症まで幅広く使用可能で、鼻づまりにも効果が期待できる」(後藤さん)という。

初期療法に抗ヒスタミン薬が有効なのには理由がある。ヒスタミンとは、目や鼻で炎症を起こし、くしゃみや鼻水、目のかゆみの原因となる体内物質。鼻腔(びくう)内の粘膜にあるヒスタミン受容体に花粉が付着すると、くしゃみ中枢や鼻汁の分泌腺、目の神経などを刺激してアレルギー反応が起こる。それを抑えるのが抗ヒスタミン薬なのだが、近年、そのヒスタミン受容体に活性化しているものと活性化していないものがあることが分かってきた。

「抗ヒスタミン薬を服用すると、活性化していない受容体が増え、花粉が入ってきても反応しにくくなるという仕組みで、『インバースアゴニスト作用』と言います。アレルギー反応自体が『おとなしくなる』とイメージすると分かりやすいでしょう」(後藤さん)

症状によっては、市販薬でも十分効果が得られるという。使用する薬剤は以下の通り。

●毎年、症状が重い(重症、最重症)

耳鼻科を受診して処方してもらう。初期療法で使われる薬剤には様々な種類がある(飲み薬、貼り薬、点鼻薬など)。「仕事上眠気は避けたい」「1日に飲む回数を減らしたい」など、希望があれば伝えた上で、医師に相談を。アレルギー検査もできれば受けておきたい。

●毎年、比較的症状が軽い(軽症、中等症)

上記同様、医師に処方してもらう方法のほか、「市販薬で対応してもよいでしょう」と後藤さん。市販薬の場合は、副作用が出にくく初期症状に効果のある第2世代抗ヒスタミン薬[注2]や、副作用の少ないステロイド点鼻薬(べクロメタゾン)を、症状によって組み合わせる。「中等症では、飲み薬と点鼻薬を組み合わせることを推奨しています。軽症の人は、どちらか好きな方1種類でよいでしょう」(後藤さん)

ステロイド点鼻薬は、鼻粘膜でのみ作用を発揮するため副作用が少なく、初期療法のように継続して使用する長期間投与に適している。血管収縮剤入りの点鼻薬は即効性はあるが、リバウンドしやすく長期使用で鼻炎が悪化しやすいので初期療法には適さないということだ。

[注1]科学的根拠などに基づいて治療法などに関する最新情報を専門家がまとめたもので、医療者や患者が治療法を決める際の判断材料となる。

[注2]第2世代抗ヒスタミン薬に該当する市販の鼻炎薬(内服)の主な医療用成分は次の通り。フェキソフェナジン、エピナスチン、アゼラスチン、セチリジン、メキタジン、ケトチフェンなど。商品名ではアレグラ、アレジオン、スカイナー、ザジテンなどが該当。

(3)薬は継続して使用する

~時々では効果は望めない

花粉飛散量は日々変化する。症状が落ち着いてきたと思っても、途中でやめずに続けることが肝心だ。シーズン中に薬を使ったり使わなかったりした人よりも、継続して服用した人の方が、初期療法の効果が高いというデータも出ている[注3]。そのメカニズムとして「薬を飲むのをやめて2、3日たつと、体内にはもう有効成分が残っていない。そこに花粉が入ってくれば症状がぶり返します。それから薬を再開しても、効き目が出るまでには数日かかってしまうことも。安定して軽い症状で抑えておくには継続が大事。市販薬の場合でも同様です」と後藤さんは説明する。

●薬はいつまで?

原則として花粉飛散が終了するまで。例年、スギ花粉は4月中、ヒノキ花粉は5月上旬まで飛散する。「スギ花粉症の6、7割はヒノキ花粉症も陽性である場合が多い」と後藤さん。特に重症な人では、ゴールデンウイーク明けぐらいまで続けよう。

(4)並行して日常ケアも行う

~マスク、鼻うがいなどが大事

予防策として、花粉の接触を避けるために手洗い、うがい、洗顔などを行う。メガネやマスクは正しく装着しよう。鼻に付着した花粉を洗い流す「鼻うがい」も効果的だが、誤ったやり方で鼻粘膜を傷めることも。必ず生理食塩水を使用し、正しいやり方で行う必要がある。

(5)目のかゆみにも初期療法は有効

~抗アレルギー点眼薬が基本

以上、鼻の症状を中心に解説してきたが、目の症状に関しても、初期療法が有効だ。東京女子医科大学眼科教授・高村悦子さんによると、症状発現時期、初期症状を調査した結果では、スギ花粉飛散開始日前に約60%の患者にすでに症状が認められることが報告されているという[注4]

「炎症が最小のうちに積極的に治療して『かゆくならない目』をつくることが初期療法の基本的な考え方。やるとやらないとでは、ピークとなる3月、4月のQOL(生活の質)に大きな差が出る可能性があります」と高村さんは話す。

目の症状に対する初期療法で押さえておきたいポイントは以下の通り。

●開始時期

花粉飛散開始の少し前(2020年であれば1月中)、またはその前であっても、11月ごろから、花粉は飛び始めているのでなんとなく症状が出たと思ったら眼科を受診する。花粉症シーズンに本格的に突入してしまう前に相談を。

●薬について

「目のアレルギー症状の治療では、眼科での処方薬が勧められる」と高村さん。花粉症の初期療法では、抗アレルギー点眼薬が選択され、花粉飛散ピーク時に、それだけでは症状が治まらなければステロイド点眼薬を併用するというのが、基本ルールだ。

「ステロイド点眼薬には、眼圧上昇という副作用があることから、長期に投与することは好ましくありません。そのためにも副作用がほとんどない抗アレルギー点眼薬による初期療法が勧められます。安全性の高い抗アレルギー点眼薬を、点眼回数を守り、継続して用いることが大切です」と高村さん。

抗アレルギー点眼薬には、ケミカルメディエーター遊離抑制薬やヒスタミンH1受容体拮抗薬があり、基本的にはどの抗アレルギー点眼薬を用いても初期療法の効果は得られるという。

「強いて言えば、インバースアゴニスト作用を有する抗ヒスタミン薬は、ヒスタミン受容体そのものを不活性化させることができるため、より効果的に炎症を封じ込めることができます。そして、その作用を有する薬剤がエピナスチン。点眼回数もほとんどの抗アレルギー点眼薬が1日4回なのに対して、0.1%エピナスチン点眼薬(商品名 アレジオンLX点眼液0.1%)は1日2回となっており、継続しやすいという利点があります。また、初期療法では点眼薬の使用が長期にわたるため、防腐剤が含まれていないものが好ましい。その点でも、エピナスチン点眼薬は勧められます」(高村さん)

新しい薬剤・治療法が登場すれば、初期療法の考え方も変わる。2020年は1月中か2月上旬までが初期療法を始めるベストタイミング。初めての人も、一度試して効果が感じられなかった人も、正しいやり方をきちんと理解した上で試してみてはどうだろう。

[注3]後藤穣 花粉症の理想的治療法「望まれる花粉症の初期療法」 臨床免疫・アレルギー科 2009.12;52(6):636-42.

[注4]芝山明博ほか アレルギー・免疫 2018;25:100-04.

(ライター 及川夕子、図版作成 増田真一)

後藤穣さん
日本医科大学耳鼻咽喉科学教室准教授。日本医科大学医学部卒業後、同大学耳鼻咽喉科学講師、同大学多摩永山病院病院教授などを経て現職。専門は、アレルギー性鼻炎、花粉症。日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医・専門研修指導医、日本アレルギー学会認定アレルギー指導医。
高村悦子さん
東京女子医科大学眼科教授。東京女子医科大学卒業後、同大学眼科講師、准教授を経て現職。専門は角結膜感染症、アレルギー性疾患など。同大学眼科にドライアイ外来を開設。日本眼科学会専門医・指導医、日本眼科アレルギー学会監事なども務める。

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