老け顔すぎて夫の祖母と思われそう
脚本家、中園ミホさん
若い頃から老け顔に悩んでいます。長男が小学校に入った時、私は40代前半だったのに、先生から「おばあちゃんですか」と聞かれました。私と同い年の夫は、シワがなく髪は黒々としていて若々しく見えます。そのうち夫のおばあちゃんにも間違えられそうです。(大阪府・50代・女性)
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相談者さんの夫は妻が老けて見えることをどう思っていらっしゃるのでしょうか。もし、若いころから老け顔の相談者さんを好きになって、なんとも思っていないのであれば、今のままでいいのではないですか。
アナウンサーの近藤サトさんが髪を染めるのをやめて、注目を集めましたよね。ご本人にお会いしたのですが、グレーヘアーが本当にカッコよくて、何よりも表情がすごく生き生きとされていました。
そもそも若く見せることが、本当にすばらしいことなのでしょうか。そんなことよりも日々が楽しく充実していることの方が、その人を魅力的に見せるのではないでしょうか。
シワがまた増えたとか、白髪ができたとか、鏡を見てため息をついていると、本当にそれしか目に入らなくなってしまいます。自分の失っていくものばかりが気になって、そういうことをきっと「老け込む」というのではないでしょうか。
私がそんな思いを強くしたのは、亡くなった樹木希林さんの本を読んだからでもあります。若い時に当たり前だったことができなくなっても不幸と思わない。老いは当たり前にやってくるもので、ブレーキをかけずにそのまま死んでいく。その潔さとか格好良さに、だれもが心を揺さぶられたのだと思います。
私は、相談者さんの「そのうち夫のおばあちゃんにも間違えられそう」という一文にくすりと笑ってしまいました。自虐的なユーモアがあって、もしかすると内心では夫が若く見えることがうれしいのかもしれません。
そうであれば「年より上に見えて、どこが悪い」とバーンと覚悟を決めて、老け顔を受け入れるのも、それはそれですごく格好いいと思います。
もし夫が「もっと若々しくしてくれよ」と言っていて、そんな夫に気に入られたいのであれば、お金をかけて努力すればいいだけです。今どき、お肌の手入れとか化粧品とかアンチエイジングの手立てはたくさんあるし、いざとなれば美容整形だって可能です。
でも、お金がかかるし、手術は痛いですよ。それより老いる哲学を持って、どんどん好きなことをしていった方がいいと思います。
[NIKKEIプラス1 2020年1月25日付]
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